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RECIPE

温度管理と材料選びで理想の食感に「モッツァレッラ」

【DIYレシピ】「ラッテリア ベベ カマクラ」山崎大志郎さん

2025.06.02

温度管理と材料選びで理想の食感に「モッツァレッラ」

photographs by Daisuke Nakajima

連載:DIYレシピ

塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。今回はモッツァレッラ。特別な道具がなくても温度管理と材料選びに気を付ければ、理想のむっちり食感が叶います。

目次






教えてくれた人: 神奈川・鎌倉「ラッテリア ベベ カマクラ」山崎大志郎さん

山崎大志郎さん

2013年に渡伊。南イタリア・プーリア州でチーズ作りを学び、帰国。2015年、ピッツァイオーロの兄とともに、チーズ工房を併設したピッツェリアを開店。


失敗が少なく短時間で作れる本場のレシピ

自家製チーズに挑戦する際、一番のハードルとなるのが材料です。特に、流通している牛乳はホモゲナイズト(均質化。乳の中のクリームが浮いて分離しないように加工すること)が一般的。ホモ乳でも作れないことはありませんが、モッツァレッラの場合、成形する際の伸びが弱くなります。できればやはりノンホモ乳を使いたいですね。

今回は、皆さんが手に入れやすい材料を使って、pH測定計など特別な道具がなくても作れる方法をご紹介します。イタリアでもポピュラーな作り方で、家庭で作るには失敗が少なく、時間もかからないためおすすめです。

乳酸菌を使ったレシピに比べて賞味期限が短いので、ぜひ出来立てのおいしさを楽しみ、翌日までには食べ切ってください。


自家製チーズ作りの鉄則3カ条

【1】必ず「生乳」の「低温殺菌」を。できれば「ノンホモ」で!
原材料は乳100%の生乳で。高温殺菌乳はタンパク質が変性して固まらないので、必ず低温殺菌乳を使う。また、通常乳は脂肪分の均質化処理(ホモゲナイズド)をしてあるため、結着しにくい。モッツァレッラを作る際はノンホモ乳を使うとより固まりやすい。

【2】計測は1℃、1g、1秒単位まで正確に!
酵素や乳酸菌の働きを活用して作るチーズ。1℃、1g、1秒の違いで、菌の環境は急速に変わる。

【3】使用道具は熱湯やスプレーで除菌して使う!
望ましい菌だけが活発に活動できるよう、清潔な環境を整えて。


「モッツァレッラ」材料と作り方

[材料]
タカナシ低温殺菌乳・・・500g
クエン酸・・・1g
レンネット・・・適量*
塩・・・適量(湯量の2%)

レンネットは商品によって添加量が異なるため、添付の説明書を参照すること。

[作り方]
[1]牛乳にクエン酸を加える
冷たい牛乳を鍋に入れ、少量のぬるま湯で溶かしたクエン酸をゆっくり加え混ぜる。

[2]温める

[2]温める

を38℃程度に温める。【POINT】湯煎で温めると温度調節がしやすい。湯温も乳温も測れば安心。

[3]レンネットを加える

[3]レンネットを加える

レンネットを少量の湯冷ましで溶かし、一気に加える。ゴムベラで静かに大きくかき混ぜる。スプーンの柄で少し持ち上がる程度に固まるまで3分程置く。

[4]カットする

[4]カットする

凝固したら(この状態を「カード」という)、ゴムベラで指先程の大きさにカットする。

[5]撹拌する
鍋の縁に付いているカードをゴムベラで落とし、全体が細かくなるまで攪拌する。

[6]水切りする

[6]水切りする

下にボウルを置き、ガーゼを敷いたザルに移して包む。水分(ホエー)が抜けて、カードが木綿豆腐のような状態になる。【POINT】ホエーが抜けない場合は、軽く絞ってもよい。

[7]塩を加えた熱湯の中で練る
ボウルにのカードを手で細かくほぐして入れ、2%の塩を加えた熱湯(80-90℃)を注ぎ入れる。カードを熱湯の中で練る。【POINT】湯が熱いので、ゴム手袋をして作業するとよい。

[8]成形する

[8]成形する

カードが温まったら一つに丸める。何度か練り伸ばしてから、ひと口大に丸く押し出し、冷水に取る。

モッツァレッラが完成

一口大の弾力あるモッツァレッラが完成! できたてが一番おいしい。翌日までには食べきること。


神奈川・鎌倉「ラッテリア ベベ カマクラ」の店舗情報


ラッテリア ベベ カマクラ
神奈川県鎌倉市御成町11-17
☎0467-81-3440
11:00~15:00LO、17:00~20:00LO
月曜、不定休(月曜が祝日の場合は翌日休)
JR、江ノ島電鉄鎌倉駅より徒歩2分
http://latteria-bebe.com/

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2017年5月号掲載/本文とレシピは一部調整しています)

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