羽のように軽く、花びらのように儚い「ポテトチップス」
【DIYレシピ】「ビキニ」ジョセップ・バラオナ・ビニェスさん
2025.10.01

photographs by Masahiro Goda
連載:DIYレシピ
塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。今回は、スペインでは昼呑みのつまみの定番「ポテトチップス」。透けるような薄さと繊細な味わいに、手が止まりません。
目次
- ■教えてくれた人:「ビキニ」ジョセップ・バラオナ・ビニェスさん
- ■160℃でゆっくり揚げる
- ■自家製ポテトチップスの極意
- ■「ポテトチップス」材料と作り方
- ■東京・日本橋「ビキニ・ピカール」の店舗情報
教えてくれた人:「ビキニ」ジョセップ・バラオナ・ビニェスさん

故郷スペインで料理の基本を学んだ後、1991年来日。スペイン大使館観光局の仕事などを経て、97年、東京・内幸町に「エル・パティ・ディ・バラオナ(現在閉店)」を独立オープン。その後、若松河田「小笠原伯爵邸」の総料理長などを経て、現在はアトリエ 「L’estudi レ・ストゥディ」を主宰。「BIKINI ビキニ」をはじめとする店舗プロデュース、セミナー、ケータリングなど多方面で活躍中。
160℃でゆっくり揚げる
見てください。この透けるような薄さ。羽のように軽く、サクッとした歯応えと繊細な質感、ふわっとしたオリーブ油の香り、これがスペインのポテトチップスです。
スペインのポテトチップスは、日曜12時半頃から始めるアペリティフのつまみ。店がお休みの天気がいい日に、屋台が家のすぐ近くまでやってきます。フライヤーが2つあって、1つはチュロス、もう1つはポテトチップス。定番の光景です。合わせるお酒は、北部ならビール、ベルモットやマルティーニ。南はシェリー酒を合わせたりします。さらにベルベレッチョやアサリなど貝の缶詰と一緒に並べるのも定番です。
コツはとにかく薄く薄く。花びらのようになったスライスしたイモを、氷水に浸してぬめりを洗いおとし、やさしく、けれどしっかり水気を切る。揚げ油はE.V.オリーブ油を。香りが強い? そんなこと言うのは日本人だけ(笑)。苦手ならピュアでもよいです。
最も大事なのは揚げ温度。極薄のチップスは高すぎると焦げるし、低すぎると油ばかり吸ってべちゃっとなる。イモを入れたらぶくぶく泡立ち、白い状態から少しずつ黄金色に色づくのが理想です。この温度管理は難しい! 温度計に頼るのがお勧めです。
家で作ると、どうしても重なった部分ができるけれど、実はこの部分、ちょっと生っぽくておいしいから争奪戦。僕なんかは最初に素早くゲットする! ぜひ味わってみて。
自家製ポテトチップスの極意
1.ジャガイモは水分が適度に抜けた“ひね”がよい。
2.スライスは1㎜を厳守し、ぬめりは氷水で徹底して取り除く。
3.揚げ温度は160℃をキープ!
<道具のポイント>
スライサーで均等に

シェフは約4万円の仏製のスライサーを使用。家庭では1㎜幅に調整できるならどのメーカーでもOK。作業上、固定できると使いやすい。
<調理のポイント>
160℃がベストな理由

一瞬が勝負の極薄チップスは油の温度が重要。温度が高いと中央まで火が入らないうちに焦げる。入れた瞬間黄色くなるのは温度が高い。
「ポテトチップス」材料と作り方
[材料](作りやすい分量)

ジャガイモ(メークイン)※・・・2個(1個約200g)
塩・・・ふたつまみ
オリーブ油・・・適量
※ジャガイモは水分が少ないひねを使うと、揚げ上がりが カラリとなる。
[作り方]
[1]ジャガイモの皮を剥く
![[1]ジャガイモの皮を剥く](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/DIY_recipe_47_bikini_picar_06.jpg)
ジャガイモを水で洗い、皮を剥く。
[2]1㎜厚にスライスする
![[2]1㎜厚にスライスする](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/DIY_recipe_47_bikini_picar_07.jpg)
スライサーで1mm厚にスライスする。【POINT】揚げ上がりは縮むので、断面が大きくなるよう縦に切る。
[3]スライス後のジャガイモ
![[3]スライス後のジャガイモ](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/DIY_recipe_47_bikini_picar_08.jpg)
一枚一枚が形を保てず、花びらのようにひらひらした状態。
[4]氷水でデンプンのぬめりを洗う
![[4]氷水でデンプンのぬめりを洗う](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/DIY_recipe_47_bikini_picar_09.jpg)
氷水につけて、全体をかき混ぜながら一枚一枚、デンプンのヌメりをとる。
[5]水気を切る
![[5]水気を切る](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/DIY_recipe_47_bikini_picar_10.jpg)
4をザルにあげ、キッチンペーパーを敷いたバットに並べ、上からペーパーを重ね、軽く押さえる。
[6]水気が切れた状態
![[6]水気が切れた状態](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/DIY_recipe_47_bikini_picar_11.jpg)
表面に浮かぶ水分まで完全に拭き取った状態。この状態で、初めてからりと揚がる。
[7]最初は白い状態が少し続く
![[7]最初は白い状態が少し続く](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/DIY_recipe_47_bikini_picar_12.jpg)
160℃で約1分50秒。黄金色になるまで揚げる。イモを入れたらぶくぶく泡立ち白い状態が続く。
[8]網杓子で絶えずイモを動かす
![[8]網杓子で絶えずイモを動かす](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/DIY_recipe_47_bikini_picar_13.jpg)
絶えず網杓子で動かしたり、裏返しながら揚げる。イモが重なっている部分は一枚ずつ押し広げる。
[9]取り出して、塩を振る
![[9]取り出して、塩を振る](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/DIY_recipe_47_bikini_picar_14.jpg)
キッチンペーパーに取り出し、約20㎝の高さから塩を振りかけ、器に盛る。

ポテトチップスは、スペインではアペリティフのつまみの定番。極薄で噛まずとも、舌の上の熱でほろりと溶けるような、繊細な味わいが魅力。止めどころがわからない、手が進む一品。
東京・日本橋「ビキニ・ピカール」の店舗情報
◎BIKINI PICAR
東京都中央区 日本橋室町2-2-1 コレド室町2F
☎03-6202-3600
11:00~23:00
定休日は施設に準ずる
https://bikini-spanish.jp/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2017年5月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)
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