常温で1週間で完成! ふんわり甘く香る「すり潰しイチゴの酵母」
【DIYレシピ】
2026.04.02
photographs by Hide Urabe
連載:DIYレシピ
塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。今回は、旬のイチゴを使った自家製発酵種を教わります。パンやパンケーキに使えば、甘い香りがふんわり口の中に広がります。
目次
- ■教えてくれた人:埼玉・浦和「タロー屋」星野太郎さん
- ■ふんわり、ほんのり〝香る〞パン
- ■自家製発酵種のポイント
- ■「すり潰しイチゴの酵母」材料と作り方
- ■展開例:すり潰しイチゴの酵母✕パンケーキ
- ■埼玉・浦和「タロー屋」の店舗情報
教えてくれた人:埼玉・浦和「タロー屋」星野太郎さん
デザイナー事務所勤務を経て、植物から起こす発酵種づくりをきっかけにパン職人の道へ。2007年夫婦で独立。工房前の庭と小さな畑、身近な環境でとれる四季折々の恵みから酵母を培養し、季節が香るパンを作る。著書に『春夏秋冬、季節の酵母が香るパン』(グラフィック社)。
ふんわり、ほんのり〝香る〞パン
あくまでほんのり。噛むほどに香る。甘く、時に清涼感ある香りが、ふんわり優しく鼻に抜ける。
星野さんが焼き上げるパンは、私よ!と主張する香りではない。かすかにフレーバーが香るパンだ。折々の季節の発酵種を主役に、レシピの殆どは粉と砂糖と塩と自家製発酵種のみ。中種を利用しない、ストレート法でシンプルに焼く。
だから発酵種は瓶から溢れ出るくらい元気でないといけない。酵母液は使用前に必ず常温に戻し、蓋を開けて噴き出すくらい、元気かどうか確認する。塩はミネラル分の多いゲランドの塩を、砂糖はきび砂糖など未精製のものを使う。朝食にぴったりのすり潰しイチゴのパンケーキは、もちろんソースなしでも充分楽しめる。
自家製発酵種で作るパンは、ピザやサンドイッチなど具の組み合わせも楽しい。来店する料理研究家の女性はすり潰しイチゴ酵母の食パンで、フルーツサンドを作るのだとか。
ちなみにこの工房、そこかしこに「蓋を開ける!」の張り紙が。「酵母は元気。開け忘れると隣家に轟く爆発音で瓶が破裂しますよ」。みなさまご注意を。
自家製発酵種のポイント
<道具について>
ネジ蓋式の密閉ガラス瓶(750ml)を準備。密閉瓶は蓋との間に隙間が入りにくい、ネジ蓋式の瓶を使う。ゴムパッキンは不可。事前に熱湯で煮沸消毒しておく。
<素材について>
使う素材は市販のものでもOK。イチゴはとちおとめを使用。甘味が強いイチゴは酵母の育ちが速く、初心者にもおすすめ。
<発酵に向く素材>
基本は花や果物、野菜、少しでも甘味のあるものならば発酵種は起こせます。ただし、マンゴーやパイナップル類はタンパク質を壊す作用があるので、うまく酵母が活動しません。僕が経験した中では、菜の花類は沢庵のような臭いがしますし、ジャスミンの花は青臭い感じがして、失敗でした。また、植物の中には毒性のあるものも存在します。その点は充分に気を付けてください。
ex.)
【野菜】 トマト
【果物】 イチゴ、リンゴ、柑橘類、 洋梨、モモ
【花】 八重桜、バラ、柚子(花)
【ハーブ】 ローズマリー、カモミール、バジル、オレガノ
「すり潰しイチゴの酵母」材料と作り方
[材料](750ml/1瓶分)
イチゴ(とちおとめ)・・・1パック(約300g)
[作り方]
[1]瓶に入れる(1日目)
ヘタを取ったイチゴを清潔な瓶に1/3の量まで入れて、ハンドブレンダーで撹拌する。密閉し、常温で保存する。【POINT】写真は作成直後の状態。イチゴは甘味と水分が多いため、水を加えず、すり潰した素材だけで作れる。
[2]酵母菌に呼吸させる(3日目~)
3~4日経過し、小さな気泡がたくさん立ってきたら、第一段階の発酵が進んだ証。蓋を一度開けて、酵母菌に呼吸をさせる。以後、1日2~3回、瓶を上下に振り、蓋を開け閉めする。【POINT】写真は3日目。酵母菌がイチゴの糖分を食べて、小さな気泡がむくむくと立ち始める。イチゴの赤い色素が少し薄まり、液体は約2倍程度までかさを増す。
[3]冷蔵保存する(7日目)
6~7日後。気泡が蓋に届くぐらいまで増えてきたら、蓋を閉めて冷蔵で保存する。風味のよい1カ月以内が使い切りの目安。【POINT】写真は6日目。酵母菌はさらに増え、蓋付近までかさを増して、イチゴの赤い色素はさらに薄まっている。
旬のイチゴの濃厚で甘い香りが存分に生かせる酵母。甘味が多いので発酵のスピードも速く、香りも芳醇。
展開例:すり潰しイチゴの酵母✕パンケーキ
すり潰しイチゴ酵母を使った生地を一晩寝かせて作る発酵パンケーキ。噛むほどに生地からイチゴの香りが豊かに広がる! どら焼きの生地にもぴったりの食感。ベリーソースをかけて楽しむ。
[材料](10枚分)
薄力粉・・・300g
砂糖・・・30g
すり潰しイチゴ酵母・・・300ml
卵・・・1個
塩・・・少量
オリーブ油・・・適量
ベリーソース※・・・適量
※鍋にイチゴやラズベリー、ブラックベリーなど、好みのベリーと、その半量分の砂糖、レモン汁少量を入れてかき混ぜながら弱火で10 分ほど煮詰める。
[作り方]
[1]生地の材料を混ぜる
ボウルに生地の材料を入れて、泡立て器で粉気がなくまるまで混ぜる。
[2]発酵させる
ラップをして8時間~1晩冷蔵庫に入れて発酵させる。
[3]フライパンに生地を流す
生地がプツプツ発酵したら、フライパンに油を引いて熱し、生地を流し入れる。
[4]裏返す
表面に小さな空気の穴ができ始めたら 返して、両面を焼く。
[5]仕上げ
皿に盛り、好みでベリーソースをかける。
埼玉・浦和「タロー屋」の店舗情報
◎タロー屋
埼玉県さいたま市浦和区大東2-15-1
☎048-886-0910
木曜、土曜のみ営業
10:00~売り切れ仕舞い
JR北浦和駅よりバス(約7分)木崎中学校前より徒歩7分
https://taroya.com/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2017年5月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)
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