火も鍋も使わず2分で完成「豆乳と落とし卵のスープ」
フェーズフリーな食材レシピ:豆乳
2023.09.14
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photographs by Masahiro Goda
乾物や漬物など、常温で長期保存でき、ビタミンやミネラルなど栄養価も高い食材は、備蓄食品にも向く優れもの。普段から食事に取り入れ、使い慣れることで、「いざという時に賞味期限が切れていた」「食べ慣れない味で食が進まない」という問題も避けられます。9月は防災月間。「いつも」と「もしも」をつなぐ“フェーズフリー”*な食材をおいしく活用するレシピをシェフに教わります。
常備したい食材:豆乳
教えてくれた人:スープ作家 有賀 薫さん
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photograph by Sayaka Masumoto
スープ作家。10年間毎朝作り続けたスープが評判となる。素材の味を生かしたシンプルなスープレシピや今の暮らしに添ったキッチンの考え方を、雑誌・ウェブ・TVなど各種メディアで発信。『ライフ・スープ くらしが整う、わたしたちの新定番48品』(プレジデント社)、2020年レシピ本大賞入賞で12万部越えの『朝10分でできる スープ弁当』(マガジンハウス)、『有賀薫の豚汁レボリューション』(家の光協会)、エッセイ集『こうして私は料理上手になってしまった』(大和書房)など著書多数。最新刊は、野菜料理の本『有賀薫のベジ食べる!』(文藝春秋)。
具材や調味料を変えればアレンジ自在
買ったお惣菜ばかりでは満足できず、もっと食を大切にしたいと感じながらも多忙な日々の中、料理のスキルもなく実現が難しい・・・。そんなジレンマを抱える人は大勢います。いわゆる“ズボラ飯”と呼ばれるものもありますが、糖質や脂質中心で、その食生活を長く続けるのはどうなのかと。家に帰って作って食べて、体と心がほっと休まる簡単で豊かな食。それがスープなら実現しやすいだろうと、手間なく作れるわが家のスープをSNSで発信し始めました。現在は様々なメディアで、家庭の食卓の見直しをレシピを通じて伝えています。
誰もが使い慣れた食材を使い、少ない食材で、お鍋一つで作れるレシピがほとんどです。調理法は同じでも、オイルやだし、調味料を差し替えるだけで、バリエーションは無限に広がります。強い旨味や複雑な掛け合わせに慣れた舌には物足りないかもしれません。でも、ほっとさせる味で人を回復させることができ、自分で工夫する余地があるため料理を作る喜びも生まれます。
どこから料理を始めればいいか迷っている方にとって、私のレシピが起点となり、料理の楽しみへと向かう力になってくれたら幸いです。
「豆乳と落とし卵のスープ」材料と作り方
[材料](1人分)
卵・・・1個
豆乳・・・200ml
めんつゆ・・・大さじ1
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ゴマ油やオリーブ油、ニンニク、ショウガ、コショウ、ゴマなどを仕上げにひとふり。香りや辛味のアクセントを効かせて立体的に。
[作り方]
[1]器に卵と豆乳を入れる
深めの器に卵を割り入れ、豆乳を注ぐ。
[2]電子レンジで加熱する
500~600wのレンジで時折混ぜながら2分温める。
[3]調味する
めんつゆ、具(展開例を参照)を加え、卵をほぐしながら食べる。
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ほっとやさしい味で手間なく作れるため、風邪の時や深夜の食事、朝食にもおすすめ。
[展開1]ベーコン、冷凍ホウレン草
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冷凍ホウレン草を加えてからレンジで加熱し、カリカリに焼いたベーコンをのせて洋風に。
[展開2]乾燥ワカメ、干しエビ、ゴマ油
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すべて仕上げにのせて、台湾朝食の定番・鹹豆漿(シェンドゥジャン)風に。ワカメと干しエビからだしも出る。
[展開3]天かす、青ネギ
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和風に。天かすで食べ応えを、青ネギで香味を添えて満足感をアップ。ゴマを振っても。
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◎スープ作家 有賀 薫
note連載 https://note.mu/kaorun
*フェーズフリー(Phase Free)は、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が2014年に提唱した考え方。
(雑誌『料理通信』2019年10月号掲載)
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