軽い食感が後を引く「オーツクッキー」
フェーズフリーな食材レシピ:オートミール
2025.09.22

photographs by Santo Sai
乾物や缶詰など常温で長期保存できる食材は、備蓄食品にも向く優れもの。普段の食事にも取り入れることで、「いざという時に賞味期限が切れていた」「食べ慣れない味で食が進まない」という問題も避けられます。「いつも」と「もしも」をつなぐフェーズフリー*な食材を、おいしく活用するレシピ。今回は、オートミールとナッツを使った「オーツクッキー」です。栄養価が高く、忙しい朝や小腹を満たすのにもおすすめです。
*フェーズフリー(Phase Free)は、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が2014年に提唱した考え方。
目次
教えてくれた人:東京・初台「マチルダ」町田洋子さん

洋菓子店を経て、2010年3月、現店をオープン。ナチュラルワインやオリジナル果実酒と共に、酒呑みの心をつかむ料理を提供している。
チョコチップは1枚に6粒
6席の小さなワインバーを開く前は洋菓子店を営んでいた町田洋子さん。でも「当時焼き菓子に対しては苦手意識があったんです」。理由を聞くと「シンプルな分、店ならではの味を作るのが難しいと感じていた」から。
オリジナリティがあって、自分が食べておいしいと思える味をどう作る? 試行錯誤してできたのがこのレシピ。
「たまごボーロを食べると、じわっと口の中が温まる。あの感覚に食感をプラスしました」。噛んで粉を味わうというより、舌の上でほろりと崩れる、その感じを大事にしたいから粉は少なめ、そして甘さも控えめ。その分、アーモンドにピスタチオ、クルミ、白ゴマ、コーンフレークと食感や風味を増幅させるものをたっぷり使うのだそうだ。
生地はグルテンが出て焼き上がりが重くならないよう混ぜすぎないでまとめる。クルミは軽く焼いて香りを出し、苦味の元になる渋皮を除き、ほかのナッツ類や白ゴマも香ばしさが出るよう乾煎りする。チョコチップは1枚につき必ず6粒! 「6粒より多くても少なくてもダメ。大量に作らなくていい店だからそこまで細かくできるんです」。
素朴な表情をしているけれど、かける手間はきっちりかけ、意外なほど細部まで決めこんで作られている。口当たりはざっくり、含めばほろりと口の中でほどけるナッツが利いたクッキーは、たとえば軽やかな赤ワインなんかととてもよく合う。
「オーツクッキー」の材料と作り方
[材料](22~23枚分)

無塩バター・・・120g
三温糖・・・60g
シナモンパウダー・・・小さじ1弱
卵・・・M1個
オートミール・・・80g
クルミ・・・60g
白ゴマ・・・20g
カレンツ・・・20g
薄力粉・・・120g
ベーキングソーダ・・・小さじ1
コーンフレーク・・・35g
<飾り用>
アーモンドダイス(ロースト)・・・以下、すべて適量
ピスタチオ(ローストして刻む)
チョコチップ
コーンフレーク
白ゴマ(煎る)
[作り方]
[1]下準備
![[1]下準備](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/phasefree_recipe_36_machilda_04.jpg)
白ゴマはフライパンで軽く煎っておく。クルミはトースターで10分焼き、粗熱が取れたら手ですり合わせて薄皮を取り、包丁で刻んでおく。【POINT】薄皮が苦味の元となるので取り除く。
[2]バターを泡立てる
![[2]バターを泡立てる](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/phasefree_recipe_36_machilda_05.jpg)
室温に戻したバターをミキサーボウルに入れ、高速で泡立てる。三温糖、シナモンを加え、さらに白くなるまで泡立てる。
[3]卵を加え混ぜる
![[3]卵を加え混ぜる](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/phasefree_recipe_36_machilda_06.jpg)
溶いた卵を少量加えてミキサーを回し、十分に混ざったら次の卵を入れてさらに混ぜる。卵が全量入ったら高速で泡立てる。【POINT】バターが冷え固まり分離しないよう、卵は常温に。
[4]ナッツ等を加える
![[4]ナッツ等を加える](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/phasefree_recipe_36_machilda_07.jpg)
オートミール、刻んだクルミ、煎った白ゴマ、カレンツを加えて、軽く混ぜる。
[5]薄力粉を加える
![[5]薄力粉を加える](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/phasefree_recipe_36_machilda_08.jpg)
薄力粉はベーキングソーダと合わせてふるい、2回に分けて加え、低速で混ぜる。【POINT】粘りが出るので混ぜすぎない。
[6]コーンフレークを加える
![[6]コーンフレークを加える](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/phasefree_recipe_36_machilda_09.jpg)
粉が見えなくなったらコーンフレークを一度に加え、数秒混ぜる。
[7]休ませる
![[7]休ませる](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/phasefree_recipe_36_machilda_10.jpg)
2等分してラップで包み冷蔵庫で一晩休ませる。2㎝ほどの厚さにし、四角く整えておくとあとで使いやすい。
[8]成形する
![[8]成形する](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/phasefree_recipe_36_machilda_11.jpg)
天板に紙を敷き、生地をちぎって25gずつに分け、間隔をあけて置いていく。指先で押し広げる。
[9]焼成
![[9]焼成](https://r-tsushin.com/wp-content/uploads/2025/09/phasefree_recipe_36_machilda_12.jpg)
飾り用のナッツ、チョコチップ、手で砕いたコーンフレーク、白ゴマを散らし、170℃のオーブンで18分焼く。【POINT】トッピングは指先で軽く押しつけて。

オーツクッキー1個150円。ピスタチオにクルミ、白ゴマなどそれぞれの風味を楽しんでいるうちに、生地が口の中で崩れ溶ける。
(雑誌『料理通信』2013年9月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)
東京・初台「マチルダ」の店舗情報
◎マチルダ
東京都渋谷区初台1-36-1
☎ 03-5351-8160
18:00~24:00(土曜20:00~24:00)
日曜休、不定休
京王新線初台駅より徒歩1分
Instagram:@winemachilda
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
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