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RECIPE

牛乳で煮込む、ほくほくジャガイモグラタン

「グラタン・ドフィノワ」

レスキューレシピ【牛乳編】

Jan 06, 2022

photographs by Hide Urabe

年末年始、乳製品の原料となる生乳の供給過剰による大量廃棄が懸念されました。酪農や農作物は短期的に供給をストップできないからこそ、今後も同じような状況に直面する可能性があります。そこで、普段の食事はもちろん、緊急時にこそ思い出してほしい、レスキューレシピ【牛乳編】をお届けします。食材が余ったときは消費レシピを上手に活用する。 “料理する力”を磨くためのレシピです。

教えてくれたシェフ
東京・世田谷代田「イブローニュ」有馬裕孝さん

ランスやサヴォワ、ランド地方などフランス各地の星付きレストランで修業後、2005年東京・池尻にて独立。2013年、池尻から現在地に移転。余剰牛乳の状況を知って、カリフラワーやニンジンなどの野菜にたっぷりの牛乳を使ってミルクスープにしたり、ジャガイモのポタージュを作ったりも。「食材があってこその料理ですから、生産者さんが困っているときはできることをやりたい。ミルクを使った料理はお子さんも喜んで食べてくれますよ」とシェフ。


ジャガイモが主役

グラタン・ドフィノワは、ジャガイモを薄くスライスしてクリームを注ぎ、生のままオーブンで焼くのが基本的な作り方です。ジャガイモを分厚く切って、煮込んでからオーブンで焼くこの作り方は、正確にはドフィノワではないかもしれません。

なぜジャガイモを厚くするかというと、これ自体を一品として提供しているからです。ドフィノワを肉の付け合わせにするなら、薄いスライスがいいのですが、これはジャガイモが主役のひと皿。ほっくりしたジャガイモの甘味と存在感が感じられる仕上がりを目指しました。

一晩寝かせて芋の甘味を引き出す

気を付けるところは、ジャガイモを煮崩さないことと、甘味を引き出すことです。ジャガイモは最初に塩をしてから炒めることで、水分が抜けてデンプン質が出てきます。煮崩れないよう、途中でグラタン皿に移してオーブンで煮込み、火が通ったら一晩休める。2日目のカレーがおいしいのと同じで、一晩寝かせるとジャガイモのデンプンが糖になり、甘味が増すんです。ここまで仕込んでおけて、営業中はチーズをかけて焼くだけだから、うちみたいに一人で営業している店にとっては効率的な作り方でもあります。どんなに仕込みに手間をかけても、営業中はお客様を待たせたくないですからね。

それから、このグラタンに欠かせないのが、おいしいチーズ。安いミックスチーズやスライスチーズを使ったらダメですよ。いくらジャガイモがおいしくできていても、チーズがおいしくなければ台無しです。逆に言えば、チーズがおいしければおいしく作れる(笑)。種類はお好みでよいので、コンテでもグリュイエールでも、おつまみのチーズが残ったら冷凍しておいて、あとでグラタンにまとめて使うと便利ですよ。

「グラタン・ドフィノワ」の極意


・ ジャガイモは強めの塩をしてから炒める
・ 煮てから一晩寝かせ、ジャガイモの甘味を引き出す
・ 香りのいいチーズをたっぷり使う


「グラタン・ドフィノワ」材料と作り方

【材料】(4皿分)
ジャガイモ(メークイン)・・・800g
無塩バター・・・50g
ニンニク(みじん切り)・・・1.5片(5g)
塩・・・7g
牛乳・・・300g
生クリーム(乳脂肪分38%)・・・200g
ラクレットチーズ・・・40g

(A)
ローリエ・・・1/2枚
フレッシュタイム・・・2枝
ナッツメグ、黒コショウ・・・各少量

ラクレットチーズ・・・40g

 

【1】ジャガイモの皮を剥く

ジャガイモは皮を剥き、乾燥しないように水に浸けておく。デンプンを逃さないよう、長時間浸けずに次の工程へ。

【2】厚さ5㎜にスライス

厚さ5㎜の輪切りにする。煮崩れず、食べた時にジャガイモの存在感が残るよう、これ以上薄くしない。
POINT:切った後は水に浸けない。

【3】バターを溶かす

無塩バターとニンニクを鍋に入れて弱火にかけ、バターを溶かす。ニンニクに色を付けないように注意する。

【4】最初に塩をしてから炒める

ジャガイモと塩を加え、弱めの中火で炒める。最初にしっかり塩をすることで、ジャガイモの水分が抜けやすくなる。

【5】混ぜすぎず、ジャガイモを崩さない


デンプンで表面がネバネバしてきたら、焦げ付かない程度に時々かき混ぜる手を止めながら、じっくり炒める。

【6】クリームでさっと煮る

表面が透き通ってきたら牛乳、生クリーム、Aのハーブ類を加える。沸いたらひと呼吸おいて火を止め、ハーブを除く。

【7】オーブンで火を通す

バター(分量外)を塗ったグラタン皿に分ける。180℃のオーブンで、クリームが沸騰するまで10分火を入れる。しっかり沸いたらOK。

【8】寝かせて甘味を引き出す

完全に冷ましてからラップをかけ、冷蔵庫で一晩寝かせる。

【9】チーズはたっぷり贅沢に!

電子レンジで1分温め、ラクレットチーズをかける。180℃のオーブンで約10分、チーズに焼き色が付くまで焼く。

【完成】

厚めに切ってゆっくり火入れしたジャガイモが主役の一皿。ねっとりとしたジャガイモの甘味を、濃厚なラクレットチーズの香りが包み込む。ジャガイモの旨味を含んだクリーム部分も余さずパンに付けて楽しんで。


【シェフが選ぶ素材と道具】

●チーズが要。ラクレットやグリュイエールなどを
このレシピの味の決め手は、最後にのせるチーズの芳醇な香り。チーズの種類にこれという正解はないので、コンテやグリュイエールなど好みのものを。シェフが使うのはラクレットチーズ。冬はホールで、夏場は保存しやすいシュレッドタイプを仕入れている。

●ル・クルーゼのグラタン皿
「リヨンの街場の老舗ビストロなんかだと、この頑丈で汚れにくいはずのグラタン皿の縁が欠けたり焦げ付いていたりして、そういうところにお店の歴史とロマンを感じます。何年使ったらああなるんだろう」とシェフ。便利なサイズで洗いやすく、壊れにくい。


◎イブローニュ
東京都世田谷区代田1-30-12-102
☎03-6805-5951
18:00~23:00(22:00LO)
水曜休
小田急線世田谷代田駅より徒歩10分
Instagram: @ivrognetokyo

※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

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