呑兵衛が毎年仕込む「レモンサワーの素」
スローレシピ
2025.01.09
photographs by Kiyu Kobayashi
連載:スローレシピ
材料をイチから用意し、時間をかけて、料理すること自体をゆっくりと楽しむ。それが“スローなレシピ”。時短とは真逆の価値観の先に、とびきりの味が待っています。今回は今が旬のレモンとジンを使った「レモンサワーの素」の作り方を紹介します。爽やかな酸味でぐいぐい進む、呑兵衛絶賛の超人気レシピ。1カ月後の晩酌が待ち遠しくなります。
目次
- ■教えてくれた人:東京・門前仲町「酒肆 一村」大野尚人さん
- ■ジンで爽やかな酸味を際立たせる
- ■「レモンサワーの素」材料と作り方
- ■「レモンサワーの素」のバリエーション
- ■酒場流! おいしいレモンサワーの作り方
- ■東京・門前仲町「酒肆 一村」の店舗情報
教えてくれた人:東京・門前仲町「酒肆 一村」大野尚人さん
1980年千葉県生まれ。大学時代に酒場巡りに目覚め、東京・銀座「銀座KAN」、市谷「煮込 肴 あて」などで研鑽を積む。2013年に日本酒酒場「酒亭 沿露目(ぞろめ)」開店。16年に同じく門前仲町にレモンサワーをメインにした現店を、22年月島にホッピーとシュウマイをメインにした「酒房 蛮殻(しゅぼうばんから)」をオープン。著書に『レモンサワーと酒場のつまみ』(柴田書店)がある。
ジンで爽やかな酸味を際立たせる
レモンサワーには、焼酎にレモン果汁を加えて炭酸やトニックで割るタイプと、あらかじめレモンの果肉や皮を焼酎に漬け込んだものを炭酸で割るタイプの2つがあります。
レモンサワーに「自家製」の文字を見るようになったのは、後者の漬け込みタイプを自分で仕込む店が出てきたからです。ここでは「レモンサワーの素」と呼ぶことにします。
レモンサワーの素には、甲類焼酎を使用することが多いのですが、僕がお勧めしたいのは、ドライな味わいのジン。甲類焼酎ですと、レモンから出るえぐみを消すために、砂糖をたくさん加えて、シロップのような甘い仕上がりになりがち。ジンなら酒の香りと味が移り過ぎないため、えぐみを感じにくく、爽やかな酸味が際立ちます。
また、一見、えぐみの元にもなりそうな白い中ワタが、ジンのほのかな苦味とうまく同調し、果物由来のフレッシュな苦さをプラス。皮も一緒に漬け込めば、液体がきれいなレモンイエローになります。砂糖は、溶けやすいグラニュー糖を。1日1回かき混ぜて、全体を均一に、1カ月間置きましょう。
他のバリエーションも作れます。スパイシーレモンサワーは、唐辛子等、スパイス類をすべてホールのまま使用。漬けてすぐはえぐみがきついので、1カ月以上は置いてください。桜と日向夏のレモンサワーは、優しい桜の風味に合わせ、穏やかな酸味の日向夏を使用します。ちなみに、店のレモンサワーは、レモン果汁を搾るタイプですが、鹿児島で見つけた黒糖焼酎で作れないか思案中です。
「レモンサワーの素」材料と作り方
レモン:ノンワックスのものを選ぶ。無農薬のものだとなお良い。
砂糖:氷砂糖でもよいが、溶けやすく、味が馴染みやすいグラニュー糖がおすすめ。
蒸留酒:蒸留酒は、長く漬けてもレモン本来の風味が損なわれないジンを使用。
[材料](2L分)
レモン・・・6個
グラニュー糖・・・300g
蒸留酒・・・900ml
[作り方]
[1]レモンを準備する
果肉に中ワタを残して、黄色い外皮のみをらせん状にごく薄く剥いていく。皮は3cm幅にカットする。実は1.5cmの厚さの輪切り。種は除かない。
[2]瓶を用意する
瓶をよく洗い、ジンを塗って消毒しておく。
[3]レモンを入れる
1/4量のレモンの皮と、輪切りにしたレモンの果実を瓶の底に敷く。
[4]砂糖を入れる
1/4量の砂糖をまんべんなく重ねる。
[5]重ねる
3と4の作業を3回繰り返す。
[6]ジンを入れる
レモンに被らないところまでジンを注ぎ、混ぜる。
1日に一度、マドラーで混ぜ、1カ月で飲みごろに。
「レモンサワーの素」のバリエーション
<+スパイスで>
スパイシーレモンサワー
レモンの甘酸っぱさの後に、辛味と苦味、2つの刺激が訪れる。酒粕塩でまろやかさを加えることでスパイスのえぐみが抑えられ、甘味も際立つ。
[作り方]
レモン(6個)は中ワタを残して皮を剥き、1.5cm幅に輪切りにする。レモンを瓶の底に並べ、砂糖(400g)、酒粕塩(20g)、唐辛子(20g)、シナモン(1本)、クローブ(10g)をホールのまま、順に層になるように重ねていく。ジン(900ml)を注ぎ、よく混ぜる。ローリエ(1枚)を浮かべて1カ月ほど漬け込む。
<レモン以外の柑橘で>
桜と日向夏のサワー
日向夏の穏やかな酸味が、桜の優しい香りとマッチする。桜の塩漬けで、ほのかな塩気をまとわせて。まるでサクランボのような、甘酸っぱく、優しい味わい。
[作り方]
桜の塩漬け(150g)は、水に30分漬け、塩気を少し抜く。日向夏(3個)は中ワタを残して皮を剥き、1.5cm幅に輪切りにする。日向夏を瓶の底に敷き、その上に、桜と砂糖(300g)を順に重ねていき、ジン(900ml)を注ぎ、混ぜる。1カ月程漬け込む。
酒場流! おいしいレモンサワーの作り方
[1]氷を入れる
グラスの8分目まで氷を入れる。大きなものでなくてもよい。
[2]レモンサワーの素を注ぐ
氷に当てながらグラスの2分目くらいまでレモンサワーの素を注ぐ。
[3]炭酸を注ぐ
グラスに炭酸の瓶の口を付けて、グラスの8分目くらいまでそっと注ぐ。
[4]混ぜる
必要以上に泡を立てないように、マドラーをグラスに沿わせてゆっくりと2~3回ステアする。お好みでレモンの皮を浮かべて。
東京・門前仲町「酒肆 一村」の店舗情報
◎酒肆 一村(しゅし いっそん)
東京都江東区深川2-1-2岡野ビル2F
☎03-5875-9963
18:00~24:00LO
不定休
東京メトロ、都営線門前仲町駅より徒歩3分
Instagram:@isson_monnaka
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2017年5月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)
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