野菜の手くずで作る、始末のまかない料理「野菜のおやき」
レスキューレシピ【捨てないレシピ編】
2022.10.13
photographs by Hide Urabe
連載:レスキューレシピ
日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。生鮮食品においても、豊作で余ったり、規格外、傷、スレがあって売り物にならず、行き場のない食品が日々廃棄されているのです。家庭内で料理中に出る端材や余らせがちなパーツも、新たな魅力を見出し、活用法を考えることで捨てる量を減らせます。生産者が丹精込めて作った食材を無駄にせず、おいしく食べるための活用術をシェフの技に学びます。
*農林水産省「日本の食品ロスの状況(令和元年度)」
目次
教えてくれたシェフ:東京・駒場東大前「七草」前沢リカさん
旬の野菜と乾物が主役の和食を提供する「七草」店主。茨城県出身。日本での会社勤務を経て渡英。英国滞在時に料理を職業にすることを決め、1998年に帰国。渋谷「やさいや」、大塚「なべ家」で修業後、2003年下北沢に「七草」開店。17年4月、現在地に移転。料理教室、雑誌等へのレシピ提供、機内食監修なども手掛ける。
丹精込めて作った野菜は“手くず”もおいしい
ウドの皮、春キャベツの外側の硬いところ、スナップエンドウの端っこ・・・。「七草」の前沢リカさんが作る店のまかないは、店で使う折々の野菜の切れ端、野菜の手くずがメインだ。普通なら捨ててしまうところだが、顔の見える農家の人が丹精込めて作った野菜は手くずだっておいしい。
一番いいメニューは「おやき」だ。手くずを全部投入しても違和感なくまとまるし、切り分けられるから、トーストのようにパクッと口にくわえて動けて、立ち仕事の合間につまめる。何より、「野菜や豆は充実感があるんです」。営業中はお腹十分目だと動きたくなくなるので、「野菜いっぱいで嬉しい」くらいがお腹にもちょうどいい。
まかないにしても家の食事にしても、前沢さんは、「作り込み過ぎない」「過剰にならない」を旨とする。きちんとだしをとったり、ちゃんとしようと気張ると、それが負担になる。だから、できるだけシンプルに、素材が持つ力を借りて気負いなく作れば、身体も心も心地よく保てる。
「野菜のおやき」材料と作り方
[材料](直径20cm×1枚分)
野菜の手くず・・・150~200g
※撮影時は山独活の皮、クレソンの茎、長ネギの青い部分、春キャベツの外側の葉
【衣】
小麦粉・・・30g
卵・・・1個
水・・・30ml
醤油・・・小さじ1
鰹節・・・軽くひとつかみ
油・・・大さじ2
[作り方]
[1]野菜の手くずは食べやすい長さ(4~5cm)にし、細く刻む。
[2]ボウルに衣の材料を合わせ、1を加えてざっと混ぜる。
[3]フライパンに油大さじ1を中弱火で熱し、2を流し入れ、スプーンで表面を平らにならす。
[4]3分ほど焼いて返し、油大さじ1を鍋肌から回しかけ、もう2~3分焼く。
[5]器にとり、鰹節をふわりとのせる。
店で使う折々の野菜の切れ端を捨てずに、野菜たっぷりの「おやき」に。おいしい野菜の手くずなら、立派なまかないの一品になる。
「七草」店舗情報
◎七草
東京都渋谷区富ヶ谷2-22-5
☎03-3460-7793
17:00~22:00(20:00最終入店)
日曜、月曜、第2火曜休 要予約
京王線駒場東大前駅より徒歩8分
https://www.nana-kusa.net/
※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2017年7月号掲載)
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