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MEETUP

福山剛シェフの料理で発見する、うきはテロワールの魅力

2018.03.08

text by Shinichi Mojimaphotographs by Sakura Takeuchi

福岡県うきは市は、福岡市内から車や電車で1 時間ほどの距離にありながら、多くの良質な食材を生み出す一大農業地帯。恵まれた地理的環境には、「うきはテロワール」という名称がついています。福岡で予約が取れないといわれる人気フレンチ、「ラ・メゾン・ドゥ・ラ・ナチュール ゴウ」の福山剛シェフの料理で「うきはテロワール」の魅力を味わう MEETUP を2月3日、うきは市で開催。『料理通信』が初めて福岡で開催したMEETUPの模様をレポートします。



白壁木造の町屋が、モダンなレストランに

会場となったのは、うきは市吉井にある「町並み交流館 白花綜(しらかべ)」。吉井地区は江戸時代に豊後街道の宿場町としてにぎわい、今も風情ある白壁土蔵造りの町並みが大切に保存されています。その一角にある「白花綜」は、町家を使った交流スペース。太い柱や梁、漆喰の壁など、昭和3年建築当時のままの重厚な和の空間が、この日はモダンなレストランに。和と洋が溶け合う空間に参加者の皆さんの期待も高まります。

応募者多数のため、抽選で今回のMEETUPに当選した皆さんは、福岡市内、佐賀、熊本、遠くは大阪から集まった31人。「友人らと、最近うきはが熱い!と注目しています。『料理通信』の1月号の記事を読み、応募しました」と話す読者や、福山シェフのファン、飲食関係者。地元からは、うきは市の髙木典雄市長、今回の使用食材を手掛ける生産者さんに参加していただきました。

うきは市の髙木典雄市長。「今日のこの出会いをきっかけに、うきはのファンになってください」

MEETUPは、うきは市の髙木典雄市長のスピーチから始まりました。「うきは市は、“フルーツ王国”とも呼ばれています。ブドウだけで47種類、桃は37種類、梨は11種類、柿は14種類も作られているんです。果物の品数では間違いなく日本一です」。なぜ、それほど果物が豊富に作れるのか、「科学的に説明する必要がある」と考えたうきは市は、同市の農業を取り巻く環境を、約2年をかけて調査しました。「実は、うきは市が、世界的に有名なワイン産地、フランスのボルドーやアルザスによく似た、日本でも珍しい地質・地形を有していることがわかりました。耳納連山の麓に広がるゆるやかな地形は日当たりがよく、水はけと保水性を両立。四季を通じて気温の日較差があり、絶妙な温度バランスを保っている。こうした自然要素を『うきはテロワール』と命名し、ブランド化を推進しています」

「ラ・メゾン・ドゥ・ラ・ナチュール ゴウ」福山剛シェフ。
1971年福岡県生まれ。福岡市内の老舗店などで修業後、02年に現店開業。16年、「Asia’s 50 Best Restaurants」に九州から初選出。国内外のシェフとのコラボも多い。

◎ ラ・メゾン・ドゥ・ラ・ナチュール ゴウ
☎ 092-724-0955
http://www.gohfukuoka.com/





続いて、うきはの食材を使った料理を担当する福山剛シェフがあいさつ。「昨秋、『料理通信』の取材で、うきは市の生産者さんを訪ね、たくさんのすばらしい食材に出会い、こだわりを持ってものづくりに取り組んでいる生産者さんの思いに触れました。その時に得たインスピレーションをもとに今日の料理を考案しました。“うきはテロワール”の魅力を存分に味わっていただきたいと思います」



うきはの風土を、料理とドリンク、器と空間で体感する

福山シェフによる“うきはテロワール”づくしのフレンチは、前菜からデザートの計 5 品。それぞれの皿に、うきはの食材を使ったドリンクをペアリングして提供。テーブルに用意されたメニューを前に、「どんな料理なんだろう?」。緊張と期待が入り混じるなか、料理のサービスが始まりました。




「穴子 富有柿 チーズ」。ドリンクは、柿の果汁、シャンパンと炭酸水、うきはの果実酢工房「SU(スー)」の「ショウガ酢」を加えたもの。

最初の品は、「穴子 富有柿 チーズ」。福岡県は日本一の富有柿の生産地。なかでも、うきは産の完熟の富有柿は糖度が高く、薄くスライスにしても甘味がしっかり感じられるほど。蒲焼仕立てにした穴子とクリームチーズの塩気を合わせ、フルーティーな甘さを一層引き立てる。

「蕗の薹 流川蓮根 金柑」。ドリンクは、酒蔵「いそのさわ」の「柚子リキュール」を炭酸水で割ったもの。

2 品目は、「蕗の薹 流川蓮根 金柑」。「流川れんこん」は江戸時代から続く在来種。糸を引くほど粘りがあり、ホクホクした食感のレンコンをマッシュして揚げた中に、とろりとしたふきのとうのクリームを詰め、サクッと揚げた。うきは産金柑で作ったソースを添えて。コンソメにも流川レンコンを加え、滋味深い味を引き出した。

「酒粕 リバーワイルドポーク 梨」。ドリンクは、「いそのさわ」の「本醸造 一番流」に果樹園「やまんどん」の梨を漬け込んだ。

メインは「酒粕 リバーワイルドポーク 梨」。豚肉は、養豚場「リバーワイルド」で吟醸酒の酒粕を与えた「吟醸豚」。酒粕と和だしで 低温調理し、しっとりするように火を入れた豚肉に、うきはの唯一の酒蔵「いそのさわ」の酒粕で作ったソース、「やまんどん」の「新興」という品種の梨のコンポート、うきは産野菜のローストを添えて。この日のために、うきは市在住の陶芸家・大村剛さんに依頼して作ってもらった皿に盛り付け、まさに「メードインうきは」の一皿。ペアリングのドリンクは、「甘酸っぱくて、ワインみたい!」と大好評。「日本酒に梨を1日漬けただけ。こんなにおいしくなるのは、素材がいいから」と福山シェフ。

福山シェフが各テーブルをまわり、ソースをかけていくと、酒粕の豊かな香りが立ちのぼり、「うわ、いい香り!」と小さな歓声が。

養豚場兼カフェ「リバーワイルド」を運営する杉勝也さん。ブドウや桃、柿など農家が出荷できない規格外の果物を豚肉に与えて育てていること、希少なデュロックの純粋種にこだわる理由など、おいしい豚肉作りへの思いを語った。

「吟醸豚」を育てた「リバーワイルド」の杉勝也さんは、「ほんわか、淡雪みたいな旨味を期待して、豚肉に酒粕を与えて育てました。福山シェフはやりすぎることなく、その旨味を引き出してくれました。僕の豚肉をこんなにおいしく料理してくれて、ありがとうございます!」と、福山シェフとがっちり握手。福山シェフは、「杉さんは、料理した時にどうなるか、料理人と同じ目線で豚肉を作っている気がします。だから使ってみたくなるんです」と話します。

「蟹 小塩ほたる米 咖哩」。ドリンクは、晩白柚の皮をウォッカに加え、トニックウォーターで割ったもの。晩白柚の果肉は冷凍して氷に。

主役は、耳納連山の山あい、小塩地区の棚田で生産された米、「小塩ほたる米」。標高の高さと日当たりのよさ、昼夜の大きな寒暖差とホタルが生息する清らかな環境が、一粒一粒に存在感があるおいしい米を育てる。カニたっぷりのカレーは、福山シェフがタイのモダン・インド料理「Gaggan」とのコラボイベントの時だけ作るプレミアムなレシピ、「ゴーガンカレー」。

デザート「ショコラ うきはの山茶 あまおう」。ドリンクは、無農薬有機栽培の「新川製茶」による緑茶。

無農薬有機栽培の緑茶「うきはの山茶」を、うきは産の牛乳とホワイトチョコレートに煮出し、泡状に。下には、「いそのさわ」の酒粕入りのバニラアイスクリーム、濁り酒のゼリー、ブリオッシュのラスク、うきは産のイチゴ「あまおう」が隠れている。

最後に福山シェフが、うきはへの思いを語ります。「うきはの生産者さんは、本物を食べてほしい!という思いで、努力をされていて感激しました。皆さんもぜひ、うきはの食材に触れてみてください」。福山シェフによる“うきはテロワール”づくしの時間を満喫した参加者の皆さんも、「うきは市でブドウが47種類もとれるなんて驚きました。全種類食べてみたいと思いました」「イベントに参加するまでうきは市のことをよく知りませんでしたが、うきはテロワールの話は興味深かった。友達にもうきはを紹介したい!」とすっかり魅了された様子。MEETUPの後は、白壁のまち並みを散策し、うきは食材の直売所へ……。皆さんもぜひ、うきはテロワールが育んだ豊かなまち、うきはの魅力を発見する旅へ!

うきはテロワールに関するお問い合わせ


◎ うきは市役所 ブランド推進課

☎ 0943-76-9029
https://ukiha-terroir.jp/






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