豊かさの連鎖
目黒浩敬さん連載「アルフィオーレの農場日記」第13回
2019.01.17
連載:目黒浩敬さん連載
会津の山奥のお蕎麦屋さんを訪れて。
豊かさを感じる時。
それは“想い”を感じた瞬間ではないでしょうか?
先日、福島県会津地方の山都町(やまとまち。現在は合併により喜多方市の一部。新潟県や山形県との県境にある)の宮古という集落まで、蕎麦を食べるだけのために、3時間かけて行ってきました。
「蕎麦の里 宮古 権三郎」。
80歳間近のおばあさんと2人の娘さん、3人で切り盛りしているお蕎麦屋さんです。
決まって年に2回。
キノコの多い秋と山菜の多い春に出かけていました。
10年くらい前から通っていたのですが、震災を機に何かと忙しく、ここ数年はめっきりご無沙汰でした。
しばらく行っていないけれど、おばあさんはまだ元気に蕎麦を打っていらっしゃるのかな?
元気でいてほしいな。
勝手な想像を膨らませながら、伺いました。
店に入ると、いつもの長女の娘さんが出てきて、その笑顔に安堵を覚えました。
それは“想い”を感じた瞬間ではないでしょうか?
先日、福島県会津地方の山都町(やまとまち。現在は合併により喜多方市の一部。新潟県や山形県との県境にある)の宮古という集落まで、蕎麦を食べるだけのために、3時間かけて行ってきました。
「蕎麦の里 宮古 権三郎」。
80歳間近のおばあさんと2人の娘さん、3人で切り盛りしているお蕎麦屋さんです。
決まって年に2回。
キノコの多い秋と山菜の多い春に出かけていました。
10年くらい前から通っていたのですが、震災を機に何かと忙しく、ここ数年はめっきりご無沙汰でした。
しばらく行っていないけれど、おばあさんはまだ元気に蕎麦を打っていらっしゃるのかな?
元気でいてほしいな。
勝手な想像を膨らませながら、伺いました。
店に入ると、いつもの長女の娘さんが出てきて、その笑顔に安堵を覚えました。
思わず涙が溢れそうになった。
「権三郎」の料理はすべて、ここの土地で採れたものだけで作られています。
その日の摘み草はいつも真新しい油で揚げててんぷらに。
ほかにも煮物、蕎麦がき、などなど。
山菜やキノコは一年分、塩蔵や乾燥させて保存しているそうです。
旬でない時期は、それらを小鉢や煮物などにして供してくれます。
その日の摘み草はいつも真新しい油で揚げててんぷらに。
ほかにも煮物、蕎麦がき、などなど。
山菜やキノコは一年分、塩蔵や乾燥させて保存しているそうです。
旬でない時期は、それらを小鉢や煮物などにして供してくれます。
蕎麦はといえば、ここは昔からの蕎麦農家の集落です。
蕎麦農家が家を改装して、お蕎麦屋さんも営んでいます。
会津の山奥の自然豊かな所だからこそ、その大地や水のミネラルで育った蕎麦を、天日干しで乾燥させ、すべて手選別して、石臼で挽いて打つ。
それをこの地の水で茹で、その水でいただく水蕎麦。
こんなにシンプルで贅沢な料理もないだろうと思います。
究極のスローフードかもしれません。
すべて自然が育んだ、母なる大地と温かい人の手でつくられた、全く肩の力の入らない料理です。
そんな料理を久しぶりに口にした瞬間、懐かしさからか、今まで走り続けた緊張の糸が解けたからなのか、わからないけれど、思わず溢れそうになる涙をこらえながら、食べました。
料理で泣いたのは、これが最初の経験でした。
食べ終えて帰途に着いた頃には、終始豊かな気持ちでいっぱいでした。
蕎麦農家が家を改装して、お蕎麦屋さんも営んでいます。
会津の山奥の自然豊かな所だからこそ、その大地や水のミネラルで育った蕎麦を、天日干しで乾燥させ、すべて手選別して、石臼で挽いて打つ。
それをこの地の水で茹で、その水でいただく水蕎麦。
こんなにシンプルで贅沢な料理もないだろうと思います。
究極のスローフードかもしれません。
すべて自然が育んだ、母なる大地と温かい人の手でつくられた、全く肩の力の入らない料理です。
そんな料理を久しぶりに口にした瞬間、懐かしさからか、今まで走り続けた緊張の糸が解けたからなのか、わからないけれど、思わず溢れそうになる涙をこらえながら、食べました。
料理で泣いたのは、これが最初の経験でした。
食べ終えて帰途に着いた頃には、終始豊かな気持ちでいっぱいでした。
豊かさとは愛である。
「豊かさ」を感じる時。
それは、たくさんの愛を感じている時だと思います。
母なる大地の愛。
蕎麦を育て、料理を作ってくださっているこの店のご家族の愛。
一緒にこのおいしさを共有している家族の愛。
おいしいものを食べて豊かさを感じられる時、その人がそもそも豊かなのだと思います。
そして、豊かさゆえ、自然に周りの人へも優しさを共有することができる。
それはきっと、自分の家族と家での何気ない食事を共有することから始まっているのではないかと思うのです。
忙しい時には、家での食事を簡素化したり、外食に頼りがちになってしまいがちです。
でも、一番身近な家族と豊かな気持ちを共有できたなら、それがきっと一番贅沢な豊かさなのではないでしょうか?
そう考えると、ちょっぴり面倒かもしれませんが、少しでいいから家の食卓を食材から豊かに変えていく必要があるかもしれません。
そして、それを積み重ねていけたのならば、豊かさは巡り巡って、笑顔の絶えない環境になっていくのだと思います。
さらにはそれが派生して、地域が、そして日本が、世界が平和になることへの近道なのだとも思っています。
それは、たくさんの愛を感じている時だと思います。
母なる大地の愛。
蕎麦を育て、料理を作ってくださっているこの店のご家族の愛。
一緒にこのおいしさを共有している家族の愛。
おいしいものを食べて豊かさを感じられる時、その人がそもそも豊かなのだと思います。
そして、豊かさゆえ、自然に周りの人へも優しさを共有することができる。
それはきっと、自分の家族と家での何気ない食事を共有することから始まっているのではないかと思うのです。
忙しい時には、家での食事を簡素化したり、外食に頼りがちになってしまいがちです。
でも、一番身近な家族と豊かな気持ちを共有できたなら、それがきっと一番贅沢な豊かさなのではないでしょうか?
そう考えると、ちょっぴり面倒かもしれませんが、少しでいいから家の食卓を食材から豊かに変えていく必要があるかもしれません。
そして、それを積み重ねていけたのならば、豊かさは巡り巡って、笑顔の絶えない環境になっていくのだと思います。
さらにはそれが派生して、地域が、そして日本が、世界が平和になることへの近道なのだとも思っています。