台湾の家庭の味を忠実に再現「魯肉飯(ルーローハン)」
スローレシピ13
2023.12.21
photographs by Hide Urabe
連載:スローレシピ
材料をイチから用意し、時間をかけて、料理すること自体をゆっくりと楽しむ。それが“スローなレシピ”。時短とは真逆の価値観の先に、とびきりの味が待っています。寒い日に体も心も温まる、スローな煮込みレシピを紹介します。
目次
教えてくれた人:「関山米穀店」店主・関山真平さん
皮付きブロック肉でとろりコク深く
「関山米穀店」を開いてしばらく経った頃、「ロックフィッシュ」間口一就さんに台湾へ連れて行ってもらいました。台湾のローカルフードが知りたくて、現地在住の女性ジャーナリストを案内役に、市場や街場の味を探訪しました。「魯肉飯」は、この旅の“お土産レシピ”。彼女の「お家の味」を直々に教えてもらったもので、そのレシピに今も忠実に作っています。
まずは、皮付きの豚バラ肉をブロックで用意すること。初めに塊のままで下茹でして、臭みと余分な脂を落とします。一晩置くと肉が締まり、切りやすくなります。
カットしたら、氷砂糖とスパイスを入れ、氷砂糖をゆっくり溶かしながら照りを付けるように煮ます。最初に甘味を含ませることで肉が硬くならず、その後に加えるオイスターソースや醤油も上手く馴染んで入っていきます。
フライドオニオンをたっぷり加えるのも現地流。香ばしくコク深い仕上がりになります。2時間ほど煮て、表面の皮目が煮溶けたら頃合い。深みのある醤油色が一層濃くなり、艶やかなとろみも増して、炊きたての白いご飯の進むこと。
店では小ぶりのご飯茶碗で提供します。「酒場アレンジだね」なんてお客さんに言われますが、作り方も提供の仕方も何もアレンジしてないんですよ(苦笑)。日本の魯肉飯は、丼にどーんと、青菜や煮玉子と一緒に盛って、それ1品で食事として出されることが多いですが、台湾ではどこも小ぶりのお茶碗に盛られ、メインのおかずが更に別に付いてきました。いわばふりかけご飯のような立ち位置なんだなと。
だから僕も、量はもちろん余計なものは極力のせません。ちなみに、醤油も五香粉も現地で超メジャーなメーカー製。現地っぽさを大切に作り続けたいです。
「魯肉飯(ルーローハン)」材料と作り方
[材料](作りやすい分量)
皮付き豚バラ肉・・・1㎏
ヒマワリ油・・・20~30ml
氷砂糖・・・60g
五香粉・・・5g
白コショウ(粉)・・・4g
オイスターソース・・・30g
台湾醤油(「金蘭醤油」)・・・100ml
酒・・・80g
フライドオニオン・・・30g
水・・・200ml
【シェフの素材選び】
デンマーク産皮付き豚バラ肉を塊で
使うのは皮付きの豚バラ肉のブロック。塊のまま下茹でしてから刻んで使うことで、余計な脂と臭みが落ち、火の入りもいい。よく煮込まれた肉は、皮はぷるん、脂身はとろけ、熱々のご飯と絡み合う。国産はさっぱり大人しすぎる印象だったので豚肉特有の香りが強いデンマーク産に。
【作り方】
[1] ブロックのまま下茹でする
豚バラ肉を8等分(15~20㎝四方)に切り分け、沸騰した湯に入れて5分程度火を通す。
[2]おか上げして一晩冷やす
肉をバットに上げてそのまま粗熱を取り、一晩冷蔵庫で休ませる。冷めて硬くなることでカットしやすくなる。
[3]2㎝角にカットする
肉の皮目を上にして2㎝幅にスライスする。さらに2㎝四方にカットする。
[4]中華鍋に油を引いて熱する
中華鍋に油を引き、強火にかけてよく熱し、油を鍋肌に馴染ませる。
[5]肉を炒める
十分に熱くなった鍋にカットした肉を入れ、全体に香ばしい焼き色が付くまで約5分程度中強火で炒めていく。
[6]氷砂糖、スパイス類を加える
氷砂糖、五香粉、白コショウを加え、中火でかき混ぜながら炒め、氷砂糖を時間をかけて溶かしていく。
[7]残りの調味料を加える
砂糖が溶け切って全体に照りが出たらオイスターソース、醤油、酒とフライドオニオンを加え、ひと煮立ちさせる。
[8]鍋に移して煮込む
蓋ができる鍋に移し、全体が浸る程度まで水を加えたら、蓋をして2時間程度、中弱火で煮込む。
[9]完成!
皮目のゼラチン質がやわらかく煮溶けたら完成。一晩休ませれば全体に馴染んで味に深みが出て美味。
五香粉がほんのり効いた甘辛旨い味わいは、台湾現地の味を忠実に再現。現地流に従って小ぶりのご飯茶碗で供されるスタイルは、酒場の〆にも程良いサイズ。豚肉はよく煮込まれ、皮目がとろりと煮溶けてぷるぷる。
東京・神保町「関山米穀店」の店舗情報
◎関山米穀店
東京都千代田区神田小川町3-9 AS ONE神田小川町ビル1F
☎03-5244-5446
16:00~23:00
日曜休
都営線、東京メトロ神保町駅より徒歩4分
Instagram: @sekiyama_beikokuten
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2019年10月号掲載)
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