美食家たちも注目!ミシュラン三ツ星店の“マッシュルーム・キャビネット”
England [London]
2024.04.22
text by Yuka Hasegawa
(写真)レストランの地下に設置されたキノコ栽培のキャビネット。シイタケ、エリンギ、オイスターマッシュルーム、ヤマブシタケなど、大地を彷彿させる野趣溢れるキノコの造形はインパクト大。photo by Justin De Souza
2024年2月下旬、イングランド北部のマンチェスターで『ミシュランガイド2024』グレートブリテン&アイルランド版の発表セレモニーが開催された。ヘストン・ブルメンタールの「ファットダック(The Fat Duck)」やロンドン・チェルシーにあるゴードン・ラムゼイの旗艦店など、英国最高峰のカリスマ店がミシュラン三ツ星を維持したのに加えて、英国を代表するオーストラリア人シェフ、ブレット・グレイアム氏の「ザ・レッドブリー(TheLedbury)」が悲願の三ツ星に昇格。これで英国の三ツ星は9店となり、グレイアム氏がステージに登壇すると、セレモニー会場は大歓声に包まれた。
現在多くのメディアで引っ張りだこ状態であるグレイアム氏だが、それに伴い、キノコを店内で栽培する氏のユニークなプレゼンテーションもレストラン業界で話題沸騰中だ。もともと国内に自営の牛、豚、鹿の農場を抱え、休店中に養蜂場を拡張するなど、多くの食材を自ら生産するシェフとしても名高い。22年からは店内に特別なキャビネットを設えて、様々な種類のキノコを栽培している。
「(英国西部)ブリストルを拠点とする、キノコのスペシャリストのアドバイスを受け、シイタケ、エリンギ、オイスターマッシュルーム、ヤマブシタケ、ナメコ、シャンテレールなどを栽培しています。シェフもゲストたちも、キャビネット内で育つ、キノコの風変わりでインパクトのあるシェイプを見て楽しんでいるようです」とグレイアム氏。
現在はおまかせメニューの「マッシュルーム・フロム・ザ・キャビネット」――エリンギなどをフライパンでキャラメリゼし、そば由来の麹をインフューズしたクリームとジャガイモのピュレで仕立て、酢漬けの行者ニンニクを添えた一皿が、美食家たちから好評を得ているそう。
キノコを自家栽培するという、サステナブルかつ斬新な氏のアイデアが注目され始めたことに端を発し、ロンドンの厨房でキノコ栽培を始めるシェフが出てきているというのも、頷ける話だ。
◎The Ledbury
127 Ledbury Road, Notting Hill, London W11 2AQ
https://www.theledbury.com/
*1ポンド=192円(2024年3月時点)