ずっしり重いパンはもう古い?ドイツで人気を集める日本風SHOKUPAN(食パン)
Germany[Berlin]
2024.05.30
text by Hideko Kawachi
(写真)東部ドイツの街、ワイマールにあるルヴァン種のベーカリー&カフェ「ブロートクラッペ(BROTKLAPPE)」の店先。「Shokupan」は5.60ユーロ/500g。ミルクがふんわりと香る柔らかいパンは朝ごはんにぴったり!とお店の人もイチオシ。photo by Hideko Kawach
ドイツで最近話題のトレンドフードといえば、とろとろのスクランブルエッグを挟んだ韓国発のサンドイッチ「エッグドロップ(EGGDROP)」。韓国ドラマがきっかけで、ドイツ人にもその存在を知られるようになり、作り方も簡単でリーズナブル、ボリュームもあって見た目も映える。ベルリンのエッグドロップ専門店には週末には長蛇の列ができるほどだ。
エッグドロップには、あるものが欠かせない。ふわふわ食感の白パン、いわゆる食パンだ。
ドイツパンには3000を超える種類があるといわれ、無形文化財にも認定されているが、共通するのは噛み締めるほどに穀物の味や香りが立つ、しっかりした食感。しかし近年、ドイツ人が考えるパンとは全く異なるふんわりしっとりした「SHOKUPAN(食パン)」が、エッグドロップ人気も後押しとなり、じわじわ流行中なのだ。
ベルリン市内で人気のベーカリー「ソフィ(SOFI)」や、市内の数多くの飲食店に卸しているベーカリー「ベーカレイ(BEKAREI)」にも食パンが並ぶ。ソフィのヘッド・ベイカー、エリアナ・アトナシスさんは、フランスのパン職人、クエンティン・ベルトノー(Quentin Berthonneau)のサイトで、初めて SHOKUPANを知ったと言う。
試作してみると、これまでに食べたことがないフワッフワの食感で魅了された。パン職人としては、粉の一部に熱湯を注いであらかじめ加熱しておくことで、小麦粉に含まれるでんぷんを糊化し、より多くの水分を含んだ生地にできる湯種製法にも興味が湧いたそうだ。イーストではなくサワードウ(ルヴァン種)を使い、よりしっとり、粉の味と香り豊かに仕上げる。糖分多めのスイートルヴァンリキッドを使い、牛乳やバターをたっぷり使った、リッチで優しい後味のパンだ。
ベルリン以外の街のベーカリーでもじわじわと出す店が増えてきた食パン。ドイツパンのラインナップに並ぶ日も近いかも⁉
*1ユーロ=167円(2024年5月)
関連リンク