世界的ベストセラー、朝食の定番「ヌテッラ」にプラントベース版が登場!
Italy [Piemonte]
2024.10.31
text & photographs by Sayaka Miyamoto
(写真)2024年9月に発売になったばかりのヌテッラ・プラントベースド。今のところイタリアをはじめ、フランスとベルギーで販売されている。2025年にはその他の国々へも拡大予定。グルテンフリーでもあり、イギリスのベジタリアン協会からヴィーガン認証を受けている。
欧米を中心に世界中で愛されているチョコレートスプレッド「ヌテッラ(Nutella)」。ピエモンテ州のフェレロ社が、郷土の人気チョコレート「ジャンドゥイオッティ」にアイデアを得て発売した、世界的ロング&ベストセラーだ。
その生誕60年を記念して発売されたのが「ヌテッラ・プラントベースド(Nutella Plant-Based)」。従来のヌテッラにはミルクの風味を加えるための脱脂粉乳が使われていたが、健康上の理由や動物愛護の側面から動物由来の食品は食べない人や、乳製品にアレルギーのある人でも食べてもらえるよう新しく生まれ変わったというわけだ。
イタリア社会を分析調査するEurispesが、2024年5月に発表したイタリア人の食動向レポートによると、イタリア人の9.5%がベジタリアン(7.2%)もしくはヴィーガン(2.3%)のどちらかで、これは過去10年間で最高値だという。この数字は、欧州で一番ヴェグ(ベジタリアンとヴィーガンの両方を指す”菜食主義”)な国と言われるイギリスの36%と比べればとても低い。こと食に関してとても保守的なイタリアでは、例えばEUが培養肉を受け入れてもイタリアは販売を禁止するなど、新しい食や食スタイルを受け入れるのにとても時間がかかるのだ。そんなイタリアでも、健康上の問題や動物愛護の盛り上がりは、もはや無視できない存在になっている。
だが興味深いのは、本気のヴィーガンやべジタリアンでなくても、健康のため、環境のためにと、ヴェグな食品を選ぶ人が増えていることだ。例えば調査中、無乳糖食品を選ぶと回答した30.9%の人のうち、19.8%は乳糖不耐性ではないという結果が出ている。健康のため、環境のために、よりヘルシーなものを選びたいという社会情勢を反映している。
そんな“ガチな”菜食主義でない消費者たちをもターゲットにしたのが、まさにこのプラントベースの新ヌテッラ。清涼飲料などに対し、砂糖含有量に応じて課税する「シュガータックス」など、砂糖を嫌う動きも進む現代で、無糖バージョンの計画はないのかどうかが、少し気になるところだ。
◎Nutella Plant-Based
参考価格 350g入り4.49ユーロ/350g
www.nutella.it
*1ユーロ=163円(2024年10月時点)