HOME 〉

RECIPE

臭みがなく、形も食感も自由自在「自家製こんにゃく」

【DIYレシピ】「お酒と料理 えいよう」清水峰夫さん

2024.11.05

臭みがなく、形も食感も自由自在「自家製こんにゃく」

photographs by Masahiro Goda

連載:DIYレシピ

塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。今回は「こんにゃく」。力はいるけど、工程はシンプル。形も食感も自由自在で、臭みがないのでどんな料理にもアレンジできます。

目次







教えてくれた人:東京・武蔵境「お酒と料理 えいよう」清水峰夫さん

西荻窪「たべごと屋 のらぼう」などを経て独立。2016年、和食と日本酒をカウンターで楽しめる現店をオープン。弟や知人が育てた減農薬栽培の野菜を使った体にやさしい料理に定評がある。
西荻窪「たべごと屋 のらぼう」などを経て独立。2016年、和食と日本酒をカウンターで楽しめる現店をオープン。弟や知人が育てた減農薬栽培の野菜を使った体にやさしい料理に定評がある。

茹で時間で好みの食感に

こんにゃくイモって見たことあります? 黒くてごつごつして、大きいものは直径30㎝にもなります。旬は秋から冬。春に種イモを植えて秋に収穫し、次の春に植え戻す。これを繰り返して2年、3年経ってようやく出荷されます。生イモの断面は薄桃色。グレーのこんにゃくからは想像できない美しい色です。

馴染みの薄いこのイモからこんにゃくを作ろうなんて思ったのは、弟の影響です。埼玉県の農家の方と結婚し、こんにゃくイモを送ってくれたことがきっかけ。弟の義母から作り方を習い、作ってみるとおいしい! ねっちりして柔らかく、臭みもなく、即メニュー入りを決定しました。

作り方は茹でたこんにゃくイモをぬるま湯と合わせてミキサーにかけ、炭酸ソーダを加えて練り上げます。ポイントはこの練り上げる作業。大きな鍋を使って、力を入れて手早く混ぜます。混ぜ過ぎてもまとまりません。滑らかになったら終了。後は熱湯で茹でて、冷水で締めるだけ。茹で時間によってわらび餅のようなねっちりした食感からプリッとした弾む食感まで、変化がつけられます。

臭みのないこんにゃくは万能選手のようで、から揚げ、デザート何にでも合います。形が自由に変えられるのも楽しい。まだまだ開拓余地のある食材ですね。


自家製こんにゃくの極意


1 皮の剥き方で、色を調節する
2 大きな鍋を用意し、力強く、手早く一気に練り上げる
3 硬さは、湯の量と茹で時間で調整する


「こんにゃく」材料と作り方

[材料](作りやすい分量)
こんにゃくイモ・・・1個(約479g)
ぬるま湯(40~50℃程度)・・・1.8L
炭酸ソーダ・・・12g

<調理のポイント>
生イモの断面は触らない

アクが強いこんにゃくイモは、触ると強くかぶれるので断面は触らないこと。触ってしまったらすぐに水で洗い流す。

<道具のポイント>
生地を練る鍋は、大きなものを

力を加えて、こんにゃく種を練り上げるには底面の広い、大きな鍋が不可欠。直径約30㎝のものを使い、手早く最後まで一気に練り上げる。

[作り方]
[1]こんにゃくイモを切る

こんにゃくイモを水で洗い、半分に切ってヘタを切り落とす。さらに8等分のくし切りにする。

[2]皮ごと茹でる

圧力鍋にとひたひたに浸かる程度の水を加え、加圧する。圧力がかかったら20分弱火で茹でる。

[3]皮を剥く

のこんにゃくイモを取り出し、手で皮を剥く。【POINT】皮を厚めに剥くと仕上がりが白っぽくなる。

[4]フードプロセッサーで撹拌する

とぬるま湯1.4Lをフードプロセッサーに入れ、滑らかになるまで撹拌する。

[5]一晩寝かせる

を大きな鍋(直径30㎝)に移してラップをして、一晩寝かせる。【POINT】食感が滑らかになる。

[6]炭酸ソーダ湯を作る

400mlのぬるま湯に炭酸ソーダを溶かす。

[7]炭酸ソーダをこんにゃく種に加える

を加え、木べらで手早く、大きく円を描きながら10~15分練る。

[8]全体に粘りを出す

粘りが出てくるので、さらに力強く混ぜる。キメが整い、表面が滑らかになったらOK。

【POINT】茹でる前なら、タッパーに移して冷蔵庫で3週間保存可能!

[9]丸めて茹でて、氷水で締める

好みの大きさに丸めて、沸騰した湯で4~5分茹でる。すぐに氷水で締める。

◆制作日数:2日 ◆食べごろ:すぐ~2日 ◆保存期間:冷蔵庫で2日


こんにゃくの展開例

<さしみ>

<さしみ>

自家製こんにゃくのさしみ ポン酢しょうゆで
柔らかめに茹でたこんにゃくにカブと大葉を挟み、ポン酢しょうゆでさっぱり仕上げた。くにゅっとした食感が心地いい。わさび醤油もおすすめ。

<揚げる>

こんにゃくのから揚げ

こんにゃくのから揚げ
香ばしい衣をまとったこんにゃくのから揚げ。ニンニク醤油の下味を付けて、淡泊なこんにゃくにボリュームをもたせた。仕上げの黒コショウがアクセント。

<煮る>

こんにゃくの煮物

こんにゃくの煮物
だしをふっくら含んだこんにゃくは味わい深く、さらに弾力が増してさしみとはまた違った食感に。根菜は茹でた後、氷水に浸して煮崩れさせないのがコツ。

<焼く>

こんにゃくの田楽

こんにゃくの田楽
小判形に成形したこんにゃくに甘辛い味噌だれをのせて焼く。お酒に合うように、隠し味にゆずコショウをピリリと効かせて。

<デザート>

こんにゃくの黒蜜きなこ

こんにゃくの黒蜜きなこ
臭みの少ない自家製こんにゃくならではの一品。白玉の代わりにころんと丸く茹でたこんにゃくに黒蜜ときな粉をトッピング。体にうれしい、ヘルシーな甘味に。


東京・武蔵境「お酒と料理 えいよう」の店舗情報


お酒と料理 えいよう
東京都武蔵野市境1-12-4
☎080-9513-4054
17:00~23:00
月曜、第2・4日曜休
JR武蔵境駅より徒歩5分
Instagram:@eiyou11

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2017年5月号掲載)

料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。