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JOURNAL / 世界の食トレンド

“アジアの西洋料理を出す食堂”が開いた“世界のどこかにあるかもしれない社員食堂”

Germany [Berlin]

2024.11.14

“アジアの西洋料理を出す食堂”が開いた“世界のどこかにあるかもしれない社員食堂”

text by Hideko Kawachi
(写真)社員食堂をイメージした「ダシ・カンティーン」の店内。レトロモダンでどこか懐かしさを感じる。photo by DASHI Canteen

“アジアの西洋料理を出す食堂”というコンセプトと昭和レトロを思わせる内装で注目を集めた「DASHI Diner(ダシ・ダイナー)」が、2024年8月、新たに「DASHI Canteen(ダシ・カンティーン)」をオープン。世界中の社員食堂を参考に、世界のどこかにあるかもしれない社員食堂(カンティーン)を作り上げ、好評を博している。

食を通じて、多様な味覚と視点を結びつけることを目指すカンティーン。例えば、今のメニューはこんな感じだ。

日本風の食パンをイメージし、ポルトガル系ベーカリー「ベケライ」のブリオッシュトーストに、チキンのシュニッツェル(カツレツ)を挟んだサンドイッチ。タバスコやタルタルソース、ケチャップを添えたフライドポテトには、ほんのりと甘い冬瓜茶のゼリー入りドリンクを添えて。シーザーサラダには、カリッと揚げたワンタンの皮がクルトンの代わりにたっぷりとのせられている。

ふわふわのブリオッシュトーストでサンドしたチキンサンド&フライ、ドリンク付き(15ユーロ)。パンはベルリンのポルトガル系ベーカリーが「SHOKUPAN」として販売しているもの。photo by Hideko Kawachi
(写真)ふわふわのブリオッシュトーストでサンドしたチキンサンド&フライ、ドリンク付き(15ユーロ)。パンはベルリンのポルトガル系ベーカリーが「SHOKUPAN」として販売しているもの。photo by Hideko Kawachi
シーザーサラダ、チキンカツ、ドリンク付き(15ユーロ)。味噌とパルメザンチーズのドレッシングに、タイ製の小魚の塩漬けをアンチョビーの代わりに加えている。photo by Hideko Kawachi
(写真)シーザーサラダ、チキンカツ、ドリンク付き(15ユーロ)。味噌とパルメザンチーズのドレッシングに、タイ製の小魚の塩漬けをアンチョビーの代わりに加えている。photo by Hideko Kawachi

オーナーの1人、トゥー・トゥイ・ファムさんはベトナム系のドイツ人。自分たちは文化を横断する、“間にいる(in-between)”人間であると表現する。

「各国の多彩な食文化が出会い、ダイナミックに変化し進化を続けていく様子に惹かれます。私が日本の喫茶店や、香港の喫茶と大衆食堂が合体した“茶餐廳(チャーチャンテーン)”を面白いと思うのは、まさにその点なのです」

ヨーロッパから入ってきた食文化が、日本で“洋食”として発展を遂げ変化したものが、再びヨーロッパに上陸し、進化する。
「常に動き続ける乗客が出会い、物語を共有する・・・列車の旅を食文化の発展になぞらえたのがダシ・ダイナーでした。カンティーンは、もっと自由に、国境を一足飛びにして様々な場所が結びつけられる、空の旅からインスピレーションを受けています」とファムさん。

店名や料理から「日本の店だ」と言われたり、逆に「本物の(オーセンティックな)和食ではない」と批判されたこともあった。「その“オーセンティックな食文化”というのは、そもそも何なのでしょうか?」と、ファムさんは問う。

様々な文化背景を持つ多くの人が、短い時間、カンティーンで行き交い交流する。ドリンク付きのセットメニューで、天気が良ければ外の芝生でピクニックすることもできれば、店内の1人席で食事をすることもできる。ヨーロッパでは1人では外食をしにくいが、そんなところにも一石を投じる店なのだ。

ワインの瓶と共に、パフェやプリンアラモードに使うようなガラスの器が飾られていた。ダシ・ダイナーではこの器に、昔懐かしいメロンソーダを入れて提供している。photo by Hideko Kawachi
(写真)ワインの瓶と共に、パフェやプリンアラモードに使うようなガラスの器が飾られていた。ダシ・ダイナーではこの器に、昔懐かしいメロンソーダを入れて提供している。photo by Hideko Kawachi

DASHI Canteen
Englische Straße 21, 10587 Berlin
12:00~16:00
日曜休
DASHI CanteenのInstagramアカウント:@dashidiner

*1ユーロ=165円(2024年11月時点)

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