料理、工芸、アートを通してベトナム北部少数民族の文化を体験するレストラン
Vietnam [Hà Nội]
2025.01.06
text by Rie Suzuki
「皆で食事をすれば異文化を学べ、相互理解が深まる」という考えの通り、料理はシェアをするスタイル。
ベトナム北部山岳地帯の少数民族、タイ(Thai)族・ムオン(Muong)族・モン(Mon)族・タイー(Tay)族の料理を、ベトナムの首都ハノイからより多くの人に発信したいと、「ア・バン・マウンテン・デュー・レストラン(A Bản Mountain Dew Restaurant)」がオープンした。店名の「バン」は北部サパで春になると咲き誇る花バウヒニア・バリエガータ、そして村を意味する。
「料理は誰もが理解できる言語と言えるだろう」と話すア・バンのスタッフ。皆で食事をすれば異文化を学べ、相互理解が深まるという意味である。その言葉通り同店は、ベトナムの習慣や伝統など文化的アイデンティティを料理で表現する。
ベトナムには53の少数民族が存在し、中でもタイ族、ムオン族、モン族、タイー族は主要な4つの民族だ。
「酸味、辛味、塩味、甘味、苦味の味が混ざり合うタイ族料理。ベトナム北中部~中部高地で育つモクレン科の木の実・ミケリアを使った特製調味料を使用し、健康に焦点を当てたムオン族料理。厳しい気候と起伏の多い地形から生まれる力強い味わいの野草や牛、鶏を食すモン族料理。野草酵母の発酵酒を使うタイー族料理・・・どの民族にも特徴的な料理や豊かな文化があるからこそ、私たちは少数民族の料理に惹かれるのです」
料理には4つの民族の食材やスパイスを融合している。たとえばタイ族の「水牛の皮のサラダ」には、扱い方が難しい水牛の皮とマカエンベリー(ベトナム北西部の森林に自生するアニス科の果物)やバナナの花、レモングラスなどを合わせ、味の決め手に1年以上発酵させた酸っぱいタケノコのソース(醃酸筍)を使う。
ベトナムの古い学校を改装した店内には、浅浮き彫りなどの装飾芸術を飾ったり、モン族の織機で織られたテーブルクロスを使用して、北部少数民族の多様な文化を表現。同時にベトナムの現代アートをコラボレーションさせモダンな空間に仕上げている。
少数民族の食の体験や文化を通して、自国のアイデンティティと向き合う貴重な場となるに違いない。
◎A Bản Mountain Dew Restaurant
76 Trần Phú, Điện Biên, Ba Đình, Hà Nội
☎+84-856-787-678
10:00~14:00、17:00~23:00
https://aban.com.vn/en/
*1ベトナムドン=0.0059円(2024年12月時点)