インド産スペシャルティコーヒー×インド産クラフトジンで新しいカクテル体験を提案
India [Mumbai]
2025.01.16
text by Akemi Yoshii
サブコー・コーヒーのラーフル・レッディ氏は、コーヒー鑑定士の難関国際資格であるQアラビカグレーダーの保持者。写真は伝統的なカーピの混ぜ方。高い位置からカーピを何度も注ぐと、泡立ってクリーミーかつまろやかな味わいになる。
インドの飲み物といえばチャイがおなじみだが、実は南インドはコーヒー文化圏として知られる。たっぷりのミルクと合わせる南インド式フィルターコーヒー「カーピ」は、食サイト「tasteatlas」が2024年11月に更新した「世界のおいしいドリンク」で、見事2位にランクインした。
さらに近年、全国でコーヒー人気が高まり、新しいスペシャルティコーヒーブランドが各地で続々誕生している。ムンバイを拠点とする「サブコー・コーヒー・ロースターズ(Subko Coffee Roasters)」もそのひとつ。ベイクショップやチョコレート工房も手がけ、総合的なコーヒー文化を提案するとともに、インド産コーヒーを、世界のコーヒームーブメントの最前線に立たせることをビジョンに掲げている。
そんなサブコー・コーヒーと、国際的にも評価が高いインド産クラフトジン「ストレンジャー&サンズ (Stranger & Sons)」を手がける、ゴアの「サードアイ蒸溜所(Third Eye Distillery)」が、遊び心あふれるコラボレーションを10月中旬に発表した。エスプレッソとウォッカを合わせたエスプレッソ・マティーニが当たり前になったカクテル界に、型破りな提案をする「FILTR – SMALL BATCH COFFEE MARTINI(フィルター – スモールバッチ・コーヒーマティーニ)」だ。
FILTRは、インド各地にあるウドゥピダルシニ(南インド料理食堂)で出てくる素朴なカーピにインスピレーションを受けたスペシャルティコーヒーと、インド産ジンを合わせてボトルに詰めた、そのまま飲めるコーヒーマティーニ。
カーピ専用珈琲パウダーは通常、ロブスタ種とアラビカ種コーヒーをブレンドし、さらに独特の風味を出すチコリが少量加えられている。その抽出液とホットミルク、砂糖を、高い位置から注いで混ぜる。
FILTRも同様に、カルナータカ州のロブスタ豆とアーンドラ・プラデーシュ州産のアラビカ豆をブレンドし、ビターなコクが特徴のチコリをプラス。ストレンジャー&サンズの個性的なジンやボタニカルにうまく調和する抽出液になるよう工夫されている。
リリース後最初の週末に、ムンバイのサブコー・コーヒーの1店舗で FILTRをテーマにしたブランチを開催。そのままサーブするだけでなくソーダで割ったハイボールや、カフェモカに混ぜたスパイク(アルコール入り)コーヒーなど、 FILTRの様々な楽しみ方を紹介した。また、別のイベントではオーツミルク割が好評だったという。
インドの伝統文化を大胆かつユニークに再解釈したFILTRの初出荷は非常に大きな反響を呼び、1 週間足らずで 12000 本以上を販売。伝統を大切にしながらも革新的な挑戦を続けるインドのコーヒー文化とカクテル文化は、今まさに新たな時代を切り拓いていると言えるだろう。
◎ Third Eye Distillery (販売窓口)
FILTR – SMALL BATCH COFFEE MARTINI
2999ルピー(マハーラーシュトラ州の価格。インドでは州によってアルコールの値段が変わる)
https://strangerandsons.com/
*1ルピー=1.8円(2024年12月時点)
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