HOME 〉

JOURNAL / 世界の食トレンド

農家の自家製品を巡る旅。SNSで火が付いたグロッサリー・ストア・ツーリズム

Sweden [Stokholm]

2025.04.21

農家の自家製品を巡る旅。SNSで火が付いたグロッサリー・ストア・ツーリズム

text by Sakiko Jin
ストックホルムの旧市街ガムラスタンにあるレスタ農園の直売店。遠くまで足を延ばせなくても観光気分を味わえる。photo by Sakiko Jin

グロッサリー・ストア・ツーリズムをご存知だろうか。
その名の通り“スーパーマーケットの旅”だが、ソーシャルメディアをきっかけにじわじわと流行り出している。元々は旅行先で食べるところが見つからない時に、スーパーで食べ物を調達することから始まったものだ。地方のスーパーにはその土地でしか見られない特産品にありつけることもあり、地域の食文化を知ることもできる。

ガムラスタンのレスタ農園の直売店
ガムラスタンのレスタ農園の直売店では、ヘラジカやトナカイの乾燥肉なども販売しており、常温保存可能で日持ちもするため旅行者にはありがたい。photo by Sakiko Jin

スウェーデンも例に漏れず、地方のスーパー巡りは楽しいものだが、近ごろは田舎の農家の自家製品を巡る旅が流行っている。

スウェーデンの田舎には息を呑むほど美しい場所がたくさんあるが、日本やイタリアと違い、田舎に行けば行くほど、食べるところに困るという悩みがあった。しかし、ここ20年来のノルディックキュイジーヌの発展、地産地消の流れに伴い、春から秋まで各地域で「ボンデンスマルクナード(Bondens Marknad)」と呼ばれるファーマーズマーケットや「マートルンダン(Matrundan:地域の食巡り)」という催しが開催されるようになり、地元農家の自家製品に注目が集まり出した。

「レスタ農園(Resta Gård)」はその一例だ。
ストックホルムから車で約1時間北西へ向かうと、1000ヘクタールに及ぶ土地で600~700頭もの動物が自然と戯れている姿を目にすることができる。ウールスンズブローにある同農園では牛、豚、羊を放牧し、屠畜、肉の販売まで手がけている。自家栽培の野菜や、小麦粉などの穀物類、卵や牛乳、バター、ヨーグルトなどの乳製品も販売する他、敷地内ではホテルを営み、レストランも手がける。

レスタ農園の自家製ソーセージ
レスタ農園の自家製ソーセージ。動物たちが放牧されているその場所で加工された商品を買えることは大きな醍醐味だ。photo by Resta Gård
ホテルも併設しているレスタ農園では自家菜園からの野菜や卵、牛乳など、この上ないフレッシュな朝食やピクニック軽食も楽しめる
ホテルも併設しているレスタ農園では自家菜園からの野菜や卵、牛乳など、この上ないフレッシュな朝食やピクニック軽食も楽しめる。photo by Resta Gård

さらにレスタ農園は首都、ストックホルムにも直売店があり、都会に居ながらグロッサリー・ストア・ツーリズムを楽しめるスポットになっている。


Resta Gård
https://www.restagard.se

料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。