外資系ホテルのオープンラッシュで活況を呈するベトナムのファインダイニング
Vietnam [Ho Chi Minh City]
2025.05.01

text by Rie Suzuki
「パークハイアット・サイゴン」のメインダイニング「スクエア・ワン」の2024年メニューから「削いだイカ、ウニのビスク添え」。
2025年、開業20周年を迎えたホテル「パークハイアット・サイゴン(Park Hyatt Saigon)」。ホーチミンやハノイなどベトナムの主要都市で外資系ホテルのオープンラッシュが続く中、いち早く上陸し、外国人シェフによるファインダイニングシーンを長く牽引してきた。
メインダイニングの「スクエア・ワン(Square One)」は、2つのオープンキッチンを持ち、ベトナム人シェフ、ニン・ル・トラン・ハン(Ninh Le Trung Hau)氏によるベトナム料理と、フランス出身のシェフ、アルノー・ショータームフ(Arnaud Schutturmpf)氏によるフランス料理を提供。アニバーサリーレストランとして地元ベトナム人の憧れの場所であり、また、ランチタイムには近隣オフィスからのビジネスランチの需要も高い。


いっぽう、1日中ホテル内外のゲストで賑わうオールデイダイニング「オペラ」を率いるルカ・カペラート(Luca Cappelato)氏はミラノ出身。東南アジアのラグジュアリー外資系ホテルのキッチンを経て、2024年、オペラのシェフに着任した。現在はベトナムの風土や地元客の嗜好を理解した上で、イタリア伝統の食文化を伝えながら、海外からのビジネスや旅行客にとっても居心地のよいダイニングであるよう、地元のマネージメントやスタッフらと良好なチームを組む。
著しい経済成長を続けるベトナムでは、ますますファインダイニングへの需要が期待される。2012年にオープンした、ラグジュアリーホテル「インターコンチネンタル・ダナン・サン・ペニンシュラリゾート」のメインダイニング「ラ・メゾン1888」では、フランスの星付きシェフをプロデューサーに、総料理長も国外から迎え、2024年にはベトナム中部で初のミシュランを獲得している。外国人シェフにとっても、現地の食文化への知見を深めながら、自身のルーツや経験をいかに表現できるかが求められるだろう。美食都市としての将来が楽しみだ。



◎Park Hyatt Saigon
https://www.saigon.park.hyattrestaurants.com/
*1ドン=0.0056円(2025年4月時点)