デュカスの右腕ロマン・メデールがついに独立!「プレヴェル」で見せる新たな挑戦
France [Paris]
2025.06.16

text by Sakurako Uozumi
ロマン・メデールは1978年生まれ。2006年にアラン・デュカス・グループに加わり、モーリシャス島やカタールの店舗でシェフを務める。2012年には「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ(ADPA)」の料理長に就任。21年、ADPA閉店後は、デュカスと共に野菜中心のカジュアルビストロ「サピド」や、女優カトリーヌ・ドヌーヴの旧邸を改装した高級ホテル「ドメーヌ・ド・プリマール」の料理長を務めた。photo by Marie Callaud
アラン・デュカスの右腕として「プラザ・アテネ」をミシュラン三ツ星へと導き、グループ内の数々のレストランを率いてきたロマン・メデール(Romain Meder)が、2025年4月、待望のオーナーレストラン「プレヴェル(Prévelle)」を、パリ7区サン=ドミニク通りにオープンした。
料理は、デュカスと共に一貫して追求してきた「ナチュラリテ(自然主義)」の哲学を継承しながら、より洗練され、自由な発想が際立つ。食材のエッセンスを抽出・凝縮して旨味に奥行きを持たせたり、従来のフォンに頼らず、野菜や海藻をベースにしたブロスを多用するなど、素材本来の力を引き出す工夫が随所にみられる。

プラザ時代から信頼関係を築いてきた生産者との取引は継続しており、野菜の皮や残ったパンなども余すところなく料理に活用。食品ロスへの配慮も徹底している。とはいえ、それは単なるエコ意識に留まらない。「味覚的に意味があるものしか残さない」と語るように、そこには食材の可能性を広げようとする真摯な探求心がある。食材に第二の命を与えるだけでなく、ゲストに新たな味の発見を届けるという「環境への意識」と「美味の追求」が、この店では見事に共存している。
店名「プレヴェル」は、彼の故郷オート=ソーヌ県の村「コンブ・オ・プレヴェル」に由来する。
「すべてが始まった場所であり、思考の源なのです」とメデールが語る通り、後戻りではなく、原点から再び歩み出すという意思表示でもある。パリの食シーンに新たな風を吹き込むこの店に、美食家たちの視線が集まっている。



◎Prévelle
34 Rue Saint-Dominique, 75007 Paris
☎+33.(0)1.40.67.12.12
12:15~14:00、19:30~22:00
土曜、日曜、月曜昼休
ランチ65ユーロ(2皿)、85ユーロ(3皿)
ディナー145ユーロ(5皿)、165ユーロ(7皿)
https://prevelle.fr/
*1ユーロ=164円(2025年6月時点)