艶やかに、美しく。フランス風筑前煮「根菜とプラムの赤ワイン煮」
プラントベースの始め方58
2026.01.15
photographs by Hide Urabe
連載:プラントベースの始め方
健康や環境への配慮から、植物性の食材を主体とする“プラントベース(Plant Based)”な食事法が注目されています。肉や魚や乳製品に頼らずとも「おいしい」料理を作る知恵は、世界各地に存在します。身近なレシピからおいしくプラントベースを始めるヒントを紹介します。
目次
教えてくれた人:神奈川・平塚「binot」阿部剛さん
都内各店やフランスでの修業を経て、2009年に神奈川・鎌倉に「鎌倉惣菜」をオープン。同年からソムリエの石井英史氏とスタートした、満月の夜にナチュラルワインで乾杯するイベント「満月ワインバー」は、東日本大震災をきっかけに日本各地に波及。2012年からは野菜をふんだんに使ったやさしいフレンチ総菜と共にナチュラルワインを提供するワインバー「binot」としてリニューアル。2021年に閉店し、農業やワイナリー巡りを経て2023年、神奈川・平塚で再スタート。併設の酒屋「さかえ」では、国産を中心に厳選したナチュラルワインを販売している。
プルーンで甘さを、ワインでコクと酸味を
北イタリアの赤ワイン、「ヴァルポリチェッラ」を飲んだ時のことです。焼き芋や焼き栗を思わせる、ほっこり香ばしい味わいに、「寒さ深まる頃、このワインを煮込み料理と合わせて楽しみたいな」と思い、「しみじみおいしい根菜類を、赤ワインで煮よう」と、このひと皿を作りました。
「フレンチ風筑前煮」と捉えればわかりやすいでしょうか。筑前煮に用いる根菜を使って、醤油を赤ワインに、みりんをプルーンに置き換えます。出来る限り削ぎ落としたいから、肉や魚など動物素材は使いません。また、ゴボウやレンコン、里芋など白い根菜に絞っています。ニンジンやコンニャクが入ると、一気に所帯じみた景色になってしまうので(笑)。
押さえておきたいツボはまず、食材の大きさを揃えること、ごく弱火で沸かさないように炊くこと。それを守ることで、味も煮汁もクリアなまま、濁りません。里芋など溶けやすい食材は面取りをしておくとよいでしょう。また煮汁の中で冷ましてひと晩置くとしっかり味が沁みます。
お店で出す、ワンランクアップのひと手間としては、煮汁だけをとり分けて煮詰め、ソースを作ること。新たに赤ワインを足して煮詰め、シェリービネガーと塩で調え、シャープな味に決めます。里芋から出たとろみで、艶やかなソースに仕上がります。好みでてんさい糖などを加えれば、また違った趣が楽しめます。
「根菜とプラムの赤ワイン煮」材料と作り方
[材料](作りやすい分量)
赤ワイン・・・400ml
水・・・400ml
ゴボウ・・・1/3本
レンコン・・・10㎝
里芋・・・3個
プルーン・・・3個
塩・・・少量
ローリエ・・・2枚
クローブ・・・2粒
<仕上げ用>
赤ワイン・・・200ml
シェリービネガー・・・適量
てんさい糖・・・適宜
[作り方]
[1]野菜の下ごしらえ
レンコンは皮付きで5mm幅の半月切り、ゴボウはたわしで皮をこそげ5cm長さの四ツ割りに、里芋は皮を剥いてくし切りにし、面取りする。【POINT】荷崩れしやすい食材は角を面取りしておくこと。角が尖っていると煮崩れしやすく、溶けた芋の成分で煮汁も美しく仕上がらない。
[2]硬い順に野菜を煮る
野菜を硬い順に煮る。赤ワインと水を鍋に注ぎ、ゴボウを入れて1時間、沸かさないよう極弱火で煮る。【POINT】湯がポコポコと沸くと、鍋の中で食材が踊り、ぶつかり合い、どうしても角が落ちて美しく仕上がらない。
[3]野菜を煮る(2)
レンコンを入れてさらに30分煮たら、プルーンと里芋、クローブとローリエを入れ、30 分煮る。
[4]ひと晩寝かせる
野菜に火が通ったら(煮汁が半量くらいに煮詰まっているのが理想)鍋ごと冷まし、そのままひと晩寝かせる。
[5]煮汁と野菜を分ける
煮汁から野菜類を引き上げ、別途保存用器などで保存する。煮汁はそのまま鍋に残し、煮詰める。
[6]アクをとり煮詰める
一度ひと煮立ちしたらアクを引き、火を弱める。半量になり、とろみが出るまで煮詰める。
[7]ワインを別鍋で煮詰める
別の小鍋に仕上げ用赤ワインを熱し、半量になるまで煮詰める。香りが飛んでしまうので、沸かさないよう注意。
[8]漉して合わせる
煮詰めた赤ワインに、煮詰めた6の煮汁を、シノワなどで濾しながら合わせる。
[9]シェリービネガーで調味
シェリービネガー、塩、好みでてんさい糖などを加え、甘くしても美味。艶や照りが出るまでよくかき混ぜる。
[10]仕上げ
鍋で煮汁と野菜を合わせて温め、絡めてから皿に盛る。
根菜類は、シャキッとした歯触りは残しながら、赤ワインの風味、酸味、コクがしっかり沁み、プルーンの仄かな甘味がアクセントに。艶やかなソースは、ビネガーと塩でシャープにまとめたが、好みで甘味を加えても。
(雑誌『料理通信』2016年1月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)
神奈川・平塚「binot」の店舗情報
◎binot
神奈川県平塚市宮の前6-20 クリオ平塚七番館102
☎0463-79-8239
月曜・火曜・木曜16:00~21:00、金曜~日曜16:00~23:00
水曜休
JR平塚駅より徒歩5分
Instagram:@winestore_sakae_binot
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
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