「食材・生産者の価値を高める」
ビーノ 阿部 剛 Tsuyoshi Abe
2014.10.01
-
店名
ビーノ/binot
2012.3.1 open ビーノのページを見る
1972年5月28日生 / 埼玉県出身 / B型
94 年、22 歳で調理師学校に入学。代官山「リストランテASO」(5 年)、三田「コート・ドール」(2 年)、用賀「ル・コック」(半年)を経て、03 年渡仏。語学学校に通った後、ルーアンの魚料理のレストランとシャルキュトリーで働く。04 年帰国。青山「ベロワ」(2 年)、恵比寿「ビストロ・デ・ザール」(半年)を経て、09 年鎌倉に「鎌倉惣菜」をオープン。12 年ワインバーに改装。
FAVORITE
音楽 : 大橋トリオ
本 : 『メディア・バイアス―あやしい健康情報とニセ科学』(松永和紀著)
映画 : 『ブルー・レクイエム』
-
旬の温野菜
500円
畑の季節が見える1皿。蒸した野菜にオリーブ油を垂らしただけのシンプルさゆえに、素材の味はごまかせない。ゆくゆくは自家製の野菜のみで提供することも含め、「これだけは出し続けたい」と言う。
-
パテ・ド・カンパーニュ
500円
フランス修業時代のレシピそのままに、鶏レバーなど入れず豚肉のみで作るパテ。本来、豚の脂は好きではないという阿部さんでも、庄内豚の臭みのない脂は「これなら食べられる」。今後は湘南の「みやじ豚」でも作る予定。
必要とされるためのキーワード
昼は畑で働く。
昼は畑で働く。
- 阿部剛さんは今年3月、人気惣菜店「鎌倉惣菜」をワインバー「ビーノ」へとつくり変えた。「昼は百姓見習いを始めたんです」。2、3年後の就農を予定していたが原発事故で早まったという。消費者の「安全を手に入れよう」とする感情がむき出しになり、「西日本の食材だけで弁当を作って」という要望も受けた。「その時、何か違うと感じたんです。食材を選ぶより、むしろ今、畑に行くべきじゃないかって」。
昼は畑に立ち、夜は6席だけのワインバーをオープンする。店のイメージは、修業先だったフランス北西部の海岸地帯にありそうな、小さな社交場。出すのは10種類前後のグラスワインと野菜、パンとスープと少しの惣菜。格子がついた窓とドアを変え、気軽に入れるようにした。
畑が身近になり、「ワインも野菜も、より?人〞で選ぶようになった。その人を好きだから、その人の作った野菜も好きになれる」。信頼で結ばれた生産者の食材で作る一皿は、力強く滋味に満ちている。
満月の夜は「満月ワインバー」に。震災以降、このイベントは仙台、盛岡、山形、博多、松本と全国へ広がりを見せる。「満月ワインバーからはたくさんのものをもらっています。一緒に始めたソムリエの石井英史さんと、さらに楽しめるような形で続けていきたい」。
ところで、「binot(ビーノ)」とはフランス語で犂(すき)を意味する。掘り返すのではなく、ほぐし、かき寄せる。意のままにするのではなく自然と共存する農具を選んだのは、阿部さんの人生への決意表明にも見える。
text by Reiko Kakimoto / photographs by Kouichi Takizawa
ビーノ 神奈川県/鎌倉 ビーノのページを見る
住所 | 神奈川県鎌倉市小町1-5-14 |
---|---|
電話番号 | 0467-50-0449 |
営業時間 | 17:00~21:00 LO |
定休日 | 日曜、祝日 ※毎月の満月とその前日は「満月ワインバー」になる |
カード | 不可 |
座席 | 全13席 |
タバコ | 禁煙 |
アクセス | JR鎌倉駅より徒歩3分 |
URL | http://binot.blog.fc2.com |
備考 | アラカルト315円、515円~(税込) 【WINE】 グラス赤白各6種515円~、ボトル2800円~ |
- 「2012年05月100人のシェフが考える「必要とされる店」になるために」 掲載
- バックナンバーはこちら