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FEATURE / MOVEMENT

「金のチーズ フレッシュチーズ イタリアンタイプ」料理通信×AKOMEYA TOKYO「お宝食材」を今日の食卓へ! | 料理通信

1970.01.01


Photographs by Tsunenori Yamashita


「あまちゃん」で一躍注目を集めた岩手県。三陸海岸から内陸へ入った、山々が連なる奥中山高原で、放牧酪農のジャージー牛乳を使ったチーズ&ヨーグルトを作るのが、「おさんぽジャージー三谷牧場」の三谷ご夫妻です。

三谷剛史さん(1975年生まれ)、雅子さん(1978年生まれ)ご夫妻。奥中山高原に牧場を構え、6年目。
現在は2人の息子さんと4人暮らし。



ともに農大生だった三谷剛史さん、雅子さん。夢を同じくする2人が将来を誓い合ったのはまだ在学中のことでした。卒業後、剛史さんは牧場へ修業に入り、雅子さんは開業資金を貯めるため2年間会社員生活をします。
ともに実家は酪農と縁のない家庭。いざ開業の地を求めて、まず北海道を訪れました。「酪農しやすい風土に加え、就農支援も充実していた」のだけど、「仔牛何頭に、整備済みの牧草地、牛舎まで付いた支援プランが用意されていて。有難いことなのですが、放牧でという夢があったので、決まらなくて」と雅子さん。徐々に南下し、やっと出会えたのが岩手県二戸郡奥中山高原でした。一帯は明治18年から馬の飼育が盛んで、当地も元は“馬場”。ある程度拓かれつつ、長い間人の手が入らず、牧場には理想的な環境でした。
2007年、秋田のジャージー牛農家から購入した仔牛5頭からスタート。ジャージー牛は乳量は少ないけれど乳質が良く、小柄で斜面でもよく動くので、山岳酪農に適した性質です。現在は4haの土地に20頭前後が生活しています。

はしゃいだり、甘えたり、いたずらしたり、やんちゃしたり。三谷家の牛たちは個性豊か。一頭一頭表情が違う。

2013年11月上旬、初雪が降った後。冬場はマイナス20度にもなる厳しい寒さ。


三谷牧場の牛たちは、雪に閉ざされるまでの毎日、敷地を伸び伸びと遊び回り、青草を食んで育ちます。春はクローバーにタンポポ、夏はオーチャード……雪深い冬場は干し草。季節によって牛乳の風味も変わるのも魅力のひとつ。「放牧でたい肥が循環するし、牛も食べたがらないので」牧草に化学肥料は不使用です。
「牛が元気で機嫌がよいのが一番なので、配合飼料も“おやつ”程度に少し与えています。また、乳も搾り過ぎないことで、我が家の牛たちは生涯現役で長生き」。

「環境を整えてやって、乳酸菌と乳にお任せ」。低温長時間発酵のヨーグルトは、ジャージー乳らしい甘味とコク、軽やかな風味が生きた可憐な味わい。

栄養分も乳脂肪も濃く、黄色味が強いジャージー乳。成分無調整乳を使うことで生まれる「黄金色」から「金のチーズ」と命名。



三谷牧場のチーズは、ストリングタイプ、イタリアンタイプ、フロマージュブランの3種類。「ジャージー乳らしさと放牧牛の乳ならではの季節変化を表現したい」を至上命題に、基本のレシピに剛史さん独自の工夫を加え、作っています。ほの甘くコクがあり、ふわっとジューシー。水彩タッチのピュアな味わいは、まさに「日本らしい」チーズといえます。

1.日に最大300Lを搾乳。そこに酵素を注ぎ、しばらく置いてから凝固した「カード」。2.カードを掬い取り、熱湯をかける。 3.溶かし、練りながら成形してゆく。4.内から外へと練り広げるように 5.親指と人差し指の輪から「にゅ~っ」と絞り出すと可愛らしい球形に。6.ストリングタイプは、これを飴細工のように何度か伸ばして練って折り畳むのを繰り返す。この後塩水に浸漬して完成。


三谷夫妻に厚い信頼を寄せるシェフ達も少なくありません。三谷さんは、彼ら一軒一軒に合わせて「塩加減強め」「柔らかめ」「少し小さく」など作り分けているそうです。
すべて手作業のため、チーズづくりのある日は朝4時の搾乳から日暮れまで作業はエンドレス。生産量も限りがありますが、「現在の搾乳、生産の規模が、牛にも私たちにもバランスがよい。持続可能な形で、コツコツ続けてゆきたい」と三谷ご夫妻。がんばってください!

◎おさんぽジャージー三谷牧場
住所 岩手県二戸郡一戸町奥中山字西田子1276
☎  0195-36-1348
URL  www.k5.dion.ne.jp/~mitani/

「日本のチーズには、日本のお酒」。日本ワインと好相性なのはもちろんですが、このピュアな味わいには日本酒が抜群。お米にも寄り添います。今回は日本酒に合うつまみ3品と、丼料理が登場です。
※11月30日~12月25日の期間中、AKOMEYA TOKYO 店頭にて、お宝食材を活用したレシピを配布しています。

「金のチーズ 三色おつまみ」

どれも刻んでさっと和えただけ。和の素材を組み合わせた、超簡単な新感覚のアテ3種。
上:塩昆布、刻み三つ葉と。
中:刻んだ梅と。
下:からすみ(生タイプ)と。


「たまチーどんぶり」

白だしをきかせた割り下で卵とチーズを閉じ、アツアツのご飯に載せ、刻み大葉を添えて。ふわふわ、とろとろの食感にご飯が絡まり、チーズの豊かな風味が香り立つ。


◎AKOMEYA TOKYO
住所 東京都中央区銀座2-2-6
☎  03-6758-0270
SHOP 11:00~21:00 
RESTAURANT  11:30~22:00(LO21:30)
無休
URL http://www.akomeya.jp/


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