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FEATURE / MOVEMENT

中村孝則が挑む絶対作れる!挑戦レシピ 番外編グラナ・パダーノPDO&パルマハムPDO vol.1

2020.03.31

text by Miyo Yoshinaga / photographs by Hide Urabe

本誌で10年続いた人気連載「絶対作れる! 挑戦レシピ」で毎月、プロの厨房に弟子入りしてきた中村孝則さんが、再び四谷のイタリアン「オステリア デッロ・スクード」小池教之シェフに弟子入り。
ヨーロッパが誇る食材、イタリア生まれのグラナ・パダーノPDOとパルマハムPDOのおいしい食べ方を教わります。


教える人
東京・四谷 「オステリア デッロ・スクード」小池教之(右)

1972年埼玉県出身。麻布十番「ラ・コメータ」(6年)などを経て、03年渡伊。ピエモンテ、トレンティーノ=アルト・アディジェ、プーリア、シチリア、カンパーニャ、ウンブリアで計7軒、約3年間修業を積む。帰国後、広尾「インカント」シェフを経て2018年2月現店をオープン。

挑戦する人
中村孝則(左)

1964年神奈川県葉山町生まれ。ファッションやカルチャー、旅やホテル、ガストロノミーからワイン&シガーまで、ラグジュアリー・ライフをテーマに執筆活動を行う。2017年よりグラナ・パダーノPDO、パルマハムPDOの共同プロモーション「ヨーロッパから届くしあわせ」キャンペーンアンバサダーを務める。



挑戦レシピ1「グラナ・パダーノPDOのコトレッタ」

“グラナ(粒)”が感じられる塊で味わうのも醍醐味

中村 「ヨーロッパから届くしあわせ」キャンペーンのアンバサダーとして北イタリアを訪れた際に、現地のサルメリアや家庭にも取材をしたのですが、グラナ・パダーノPDO(以下グラナ・パダーノ)は想像以上にイタリア人にとって身近な存在なのだと実感しました。

小池 僕はイタリアの南から北までさまざまな地方で修業しましたが、修業地の1つであるトレンティーノ=アルト・アディジェは、トレンティングラナという高品質のグラナ・パダーノの名産地でもありました。グラナ・パダーノはほかにもポー川流域など北イタリアの広い地域で作られていますが、北イタリアだけではなくイタリア全国で親しまれる存在で、日本で言えば味噌や醤油と同じような感覚に近いかもしれないですね。イタリアだけではなく、世界中でも一番食べられているチーズのひとつです。

中村 価格も手頃なので気軽に使えるのもいいですよね。僕はグラナ・パダーノと沖縄特産のハーブ・長命草、オリーブオイル、カシューナッツでペーストを作って常備しています。パスタはもちろんご飯にも合いますし、豚肉やパルマハムに載せてもおいしいです。グラナ・パダーノはビタミンB12とカルシウムが豊富だから、骨粗しょう症が気になる母にもよくプレゼントしています。



小池 グラナ・パダーノは塩気が穏やかで食べやすいですものね。日本では薄切りにして出されることが多いですが、イタリアではゴロゴロと砕いた塊で食べるのがポピュラーです。「グラナ」は「粒」という意味ですが、塊で味わうと、名前の由来にもなった粒がほどけるような食感がよくわかりますよね。ちなみに「パダーノ」は発祥の地であるパダノ平野からきています。

中村 そうそう、現地で味わってみて、大きな塊で食べるおいしさを発見しました。レストランでは、大きく砕いたグラナ・パダーノにモスタルダ(マスタード風味の果物のシロップ漬け)を添えたものが前菜として登場したんですが、チーズは食後というイメージがあったので驚きました。

小池 長期熟成のグラナ・パダーノは食後にも合う味わい深さがあるし、熟成期間の短いものはミルク感豊かで、若々しい良さがあります。幅広い楽しみ方があるのがグラナ・パダーノPDOの魅力でもありますね。


一見、肉のカツレツ!? 驚きの未体験食感

小池 今回は、グラナ・パダーノのクリーミーさを存分に味わえるコトレッタを作ってみましょう。

中村 ええっ、パン粉に削ったチーズを混ぜるのはよくありますが、そのものを揚げるんですか!



小池 モッツァレッラなどのチーズを揚げるのは、イタリア料理でもおなじみですよね。そこからの発想です。

中村 でもグラナ・パダーノを揚げた料理なんて、見たことも食べたこともないなあ。どんな食感になるのか想像もつかなくて、ワクワクします。

小池 さまざまな熟成度合いのグラナ・パダーノで試作したんですが、12カ月熟成の若めのものがこのレシピには一番合いました。早速作ってみましょう。まずは油をフライパンに注いで弱火にかけます。チーズの片面が浸るくらいの量で大丈夫ですよ。

中村 これは何のオイルですか?

小池 ひまわり油です。オリーブオイルでもいいんですが、グラナ・パダーノの風味を活かすために、香りの少ない油を選びました。

中村 なるほど。次は衣付けですね。最初に霧吹きで湿らせるのはなぜですか?



小池 表面を湿らせて小麦粉が付きやすくするためです。なのでベタベタにせず全体が薄く湿る程度でOK。トンカツを作る要領で、衣を付けていきます。衣はなるべく薄くするのがはがれにくくするコツ。卵にダマがあると衣が均一に付かないので、よく溶いておきましょう。途中で網に載せて、余分な卵液を切るのもポイントです。

中村 このパン粉はどういうものですか?

小池 今回はドライパン粉を細かく挽いたものを使います。もちろんイタリア産のパン粉でもいいですよ。さあ、衣を二度付けしたら、いよいよ揚げましょう。

中村 低い温度でゆっくりと揚げるんですね。



小池 高温の油にチーズ全体を浸して揚げるとチーズが溶け出てしまうので、片面ずつ熱を逃しながら揚げ焼きします。

中村 どのくらいが揚げ上がりの目安ですか?

小池 こうして少し表面を押さえてみて、柔らかくなっていればOKです。



中村 (そっと触る)あ、そろそろ柔らかくなっていますね。

小池 揚げ上がったら、ペーパーで油を切り、皿に盛ってバルサミコ酢をかけます。まるでトンカツソースのようでしょう?

中村 本当だ! 一見すると肉のカツレツみたいですね。



小池 さっぱりと酸味の効いたキノコのマリネを口直しに添えて。さあ、これは揚げたてが命なので、すぐ召し上がってみてください。

中村 ではいただきます。……これは未体験の食感! グラナ・パダーノがこんなに柔らかくクリーミーになるなんて、本当に驚きました。ぜひイタリア人にも食べてもらいたいです。ホームパーティーでゲストに出したら、盛り上がること間違いなしですね。





Recipe
「グラナ・パダーノのコトレッタ」


材料(全て適量)
グラナ・パダーノPDO12カ月熟成  小麦粉  全卵  細挽きパン粉(ドライパン粉をフードプロセッサーで細かく挽く)  揚げ油(ひまわり油)  バルサミコ

<付け合わせのキノコのマリネ>
キノコ(エリンギ、しめじ、マッシュルームなど) 適量

<マリネ液>
水 500g  白ワインビネガー 350g  塩 20g  砂糖 80g  黒粒コショウ 1つまみ
コリアンダーシード(ホール)  1つまみ  クローブ  1本  ローリエ(ドライ) 1枚
タイム(ドライ) 1つまみ  エストラゴン(ドライ) 1つまみ  イタリアンパセリ 適量



作り方
グラナ・パダーノPDOを割れないように薄めの包丁でゆっくりと刃を数回に分けて同じ方向に動かし、なるべく大きめの版が取れるように切る。
軽く霧吹きをしてから小麦粉をまぶし、よく割りほぐした卵をくぐらせる。
網に取り余分な卵液を落としてから、パン粉をくぐらせ軽く手で押さえて密着させる。

POINT! 余分な卵液を落とすことで衣が薄付きになり、2度付けしても衣が剥がれにくい



卵、パン粉を2度付けにする。



揚げ油をグラナ・パダーノPDOが半分浸る高さまで鍋に注ぎ、170℃(やや低温)に熱する。

POINT! 温度が高すぎたり完全に油に浸かってしまうとチーズが溶け出るので注意



を揚げるように両面焼き、表面にうっすら焼き色がついたら引き上げる。すぐに皿に盛ってバルサミコを振り、キノコのマリネの汁気を切って添え、粗く刻んだイタリアンパセリを散らす。

キノコのマリネの作り方
キノコは石づきや泥を落としておく。
を沸騰した湯で軽く湯通ししてザルにとり、水気が切れたら保存容器に入れる。
マリネ液(水からエストラゴンまで)の材料を鍋で沸かし、の容器に注ぎ自然に粗熱をとる。
を冷蔵庫で最低1日~1週間寝かして味をなじませる。



◎ オステリア デッロ・スクード
東京都新宿区若葉1-1-19 Shuwa house101
☎ 03-6380-1922
12:00~13:30LO 18:00~21:30LO
土曜12:00~19:00LO
日曜、月1不定休
東京メトロ四谷三丁目駅より徒歩4分



グラナ・パダーノPDOとは?


グラナ・パダーノPDOは、世界で最も愛されているハードタイプのチーズの一つ。北イタリアのパダナ平野で最初に作られ、「ざらざらした粒状の」形状ゆえに「グラナ(粒)」と呼ばれるようになったのが名前の由来。
熟成9カ月後、各ホールは外側・香り・食感について厳密な検査を経て特徴的な焼き印を押され、グラナ・パダーノPDOとなる。20カ月以上熟成を続け、並外れた特質を持ち、さらに厳しい検査にパスしたものには”リセルヴァ“としての特別な焼き印を押すことができる。グラナ・パダーノPDOは24カ月を超えてもなお熟成する。







PDO(原産地名称保護)は、特定の農産物と原産地との関係を認め、保護するEUの認証システムで、製造工程の全段階が既定の地理的領域において実施されることが義務付けられている。PDOは、消費者、流通業者、調理師、食の専門家たちが本物の製品を見分ける手立てとなる。1996年に認定されたグラナ・パダーノPDOとパルマハムPDOは、本物の食体験を提案できるPDO製品である。

ヨーロッパから届くしあわせ キャンペーンサイト http://www.happinessfromeurope.eu/jp/



この記事の内容は著者の見解のみを反映したものであり、欧州委員会とthe Consumers, Health, Agriculture and Food Executive Agency(CHAFEA)は、ここに記載されている情報の使用に起因するいかなる責任も負いません。











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