シェフのオフタイムオールドパーのある暮らし
Vol.1 「ランタン」丸山智博シェフ
2017.11.06
text by Noriko Horikochi photographs by Kiyu Kobayashi
ワイン一辺倒から、時々ウイスキーに。
特に最近は、友人たちを招いての家飲みで、「ハイボールから始める楽しみに開眼」したという丸山智博シェフ。
ウイスキーソーダのバリエーションと、ぴったりのつまみ。
どちらにも、すぐにでも真似したくなるアイデアと工夫がいっぱい詰まっています。
泡には揚げ物。
口の中に広がるジューシーな脂をソーダ割りが洗い流す。
――ウイスキーはカクテルに使われるくらいですから、意外と甘味との相性もいいのですね。
丸山 ほんのり甘味を添えることで、隠れていたスモーキーなコクが引き出されてくる。今日のソーダ割には、淡路島のレモン農家さんの発酵レモンで作られたシロップを加えています。「ランタン」でも使っているのですが、穏やかで上品な甘味と酸味が、オールドパー シルバーの柔らかさと、すっとなじむ感じがしませんか? ともすると粗めに感じがちな泡の口当たりを、ピチピチと繊細に変えてくれる効果もあるように思います。
――合わせる「サーモンのフリット」は、パブフード定番のフィッシュ・アンド・チップスから思いつかれたとか。やっぱりビールのおつまみと同じテイストでいこうと?
丸山 泡には揚げ物。ありきたりに思われるかもしれないけれど、やっぱり鉄板の組み合わせでしょう。特にガス感の強いソーダを使ったハイボールの場合ほど、カリッとした食感がおいしく感じられるはず。「ランタン」でもハイボールと鳥唐揚げのセット“ハイカラ”が看板メニューですが、今日は魚で。噛んだときにあふれてくるジューシーな感じがほしいので、脂がおいしいニュージーランド産オーラキングサーモンを選んでみました。
――切り身に衣をまぶして揚げるだけ。とても簡単で、すぐに作れそうです。
丸山 自分も飲んで、おしゃべりしながら作りたいほうだから、簡単じゃないと!(笑)。
ポイントは、衣のクリスピー感と、サーモンのふんわり柔らかな食感との、明快なコントラスト。半生のレアに火を通したいから、サーモンでも日本の秋鮭でもいいけれど、刺身で食べられる鮮度の素材を選ぶのがおすすめです。
――こちらも、料理そのものはシンプルですが、仕上げのソースづかいが丸山ワールド全開ですね(笑)。
丸山 フィッシュ・アンド・チップスにはモルトビネガーをじゃばじゃばかけますが、このフリットにはボジョレー産のホワイトバルサミコを。酸味が平板でなく、独特のコクがあるので、同じ発酵の旨味をもつシロップといいバランスではないでしょうか。オレンジのジャムは、シロップのレモン風味だけでなく、オールドパー シルバーに含まれるほんのり柑橘系のフレーバーにインスパイアされたので。
――合わせてびっくり。ジャムがあるとないとでは、印象がまるで違います。
丸山 ちょっとした遊び心ですけど。好奇心が刺激されて、いろいろ工夫したくなる。それも、ハイボールというシンプルなカクテルの実力なのかもしれませんね。
Recipe
サーモンのフリット
[材料(4人分)]
サーモン(刺身用)……4切れ
塩……適量
コショウ……適量
小麦粉……100g
炭酸水……200g
揚げ油……適量
オレンジのジャム……適量
クレソン(パセリ、マジョラムなど香りのあるハーブでも)……適量
ホワイトバルサミコ酢……適量
[作り方]
1. サーモンに軽く塩をして30分ほど置き、水気をふく。
Point 軽く脱水することで身がむっちり、下味が入ります。
2. ボウルに小麦粉と炭酸水を合わせ混ぜ、衣を作る。
Point 炭酸水で作ると衣がパリッと軽く仕上がります。
3. サーモンにコショウを振り、軽く打ち粉をして衣にくぐらせる。220℃に熱した油に入れ、表面はガリッと、中は半生に仕上げる。
Point 高温の油で短時間揚げることで、ジューシーなフリットに。
4. 器に盛り、オレンジのジャムをのせ、クレソン(またはハーブ)を散らす。ホワイトバルサミコをつけて食べる。
Point フィッシュ・アンド・チップス感覚で、レモンではなく酸味の穏やかな酢をつけて。
◎ ランタン
東京都渋谷区西原3-5-3 ルネ代々木上原 B1F
☎ 03-6407-1863
17:00~24:00LO(翌1:00閉店)
日曜休(月曜が祝日の場合は営業、翌月曜休)
小田急線、東京メトロ代々木上原駅より徒歩30秒
※2017年10月6日から約2カ月間、ランタンにてオールドパー シルバーの発酵レモンシロップソーダ割りをお楽しみいただけます。詳しくはお問い合わせください。