フランス料理界きってのシャンパーニュ好き
テタンジェとガストロノミーの幸福な出会い vol.1
「Ryuzu(リューズ)」飯塚隆太シェフ編
2017.03.09
text by Tadayuki Yanagiphotographs by Hide Urabe
「フランス修業時代からシャンパーニュは一番好きなお酒。仕事の後はビールより断然シャンパーニュです」と話す「リューズ」飯塚シェフ。歴史ある家族経営の大手シャンパーニュ・メゾン「テタンジェ」の魅力を、2種類のキュヴェとのペアリングで語っていただきました。
シャンパーニュは華やかな飲み物。仕事を終えた後の一杯は密かな楽しみであり、また自分へのご褒美という、飯塚隆太シェフ。「アペリティフもいいけれど、〆のシャンパーニュも粋ですよ」と破顔一笑。じつは飯塚シェフ、シャンパーニュ・オンリーで食事を通すことも多いらしい。
「シャンパーニュは他のスパークリングワインと違って、単に爽やかなだけではありません。味わいに奥行きがあるので、料理とも十分に合わせられます」。
未来のミシュラン星付きシェフは、
このメゾンの料理コンクールから
そこで飯塚シェフに、グランドメゾンのひとつ「テタンジェ」のシャンパーニュと、料理との相性を検証していただいた。
テタンジェは、今や数少ない家族経営のメゾン。シャルドネを基調としたエレガントでデリケートな風味を、スタイルとして守り続けている。
「とくにノンヴィンテージのブリュット レゼルヴはバランスがよいので、合わせられる料理の幅が広いと思います。さすが、料理コンクールを開催しているメゾンですね」。
テタンジェは毎年、「ル・テタンジェ国際料理コンクール」を開催。未来のミシュラン三ツ星シェフを多数輩出する、若手料理人の登竜門として知られ、昨年は第50回の記念の年を迎えた。
青リンゴ、ハーブ、ハチミツ……
ブリュット レゼルヴの香りから導き出す一皿は?
飯塚シェフが「ブリュット レゼルヴ」に合わせて用意したひと皿は、細切りしたグラニースミス(リンゴの栽培品種)、キュウリ、セロリなどを、低温で火を入れた卵黄と一緒に自家製スモークサーモンで包んだもの。
「このシャンパーニュの香りを嗅いだ瞬間、真っ先に感じられたのが青リンゴでした。それから爽やかなハーブのトーン。そうした香りの要素を一つひとつ拾っていき、自分の引き出しの中にある情報と結びつけると、料理が自然に思い浮かぶんですよ」。
ブリュット レゼルヴのほのかに塩味を伴うミネラル感が、上品な塩加減のスモークサーモンと引き合い、卵黄のねっとりしたテクスチャーを爽やかな酸がきれいにさらう。ソースに使われたハチミツも、シャンパーニュに含まれるフレーバーのひとつ。余韻までみごとに同調するのだ。
熟成したシャンパーニュのコクに
春の食材が絡み合う
ふた皿めはメゾンのフラッグシップ「コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン2006」に合わせた料理。コント・ド・シャンパーニュはコート・デ・ブランのグラン・クリュのシャルドネのみから造られたブラン・ド・ブラン。オークの小樽で熟成させたベースワインが一部ブレンドされている。
「クリーミーでボリューム感のあるシャンパーニュなので、肉料理でもお互い引き立てあえると思いました」と、飯塚シェフが合わせたのは、この季節においしい仔牛のローストだ。バターとタラゴンを絡めた空豆がクリスピーな食感と甘味をもたらし、熟成したシャンパーニュのコクと絡み合う。シャンパーニュから柑橘とイーストの香りを嗅ぎ取った飯塚シェフは、最後にオレンジピールのパウダーとパン粉をアクセントに散らした。
気品に溢れ、バランスに秀でたテタンジェのシャンパーニュと、ミシュランスターシェフによる、素材のポテンシャルを引き出した繊細にして緻密な料理との饗宴。そのハーモニーに、誰もが心を奪われるにちがいない。
◎レストラン リューズ
東京都港区六本木4-2-35 アーバンスタイル六本木B1F
☎ 03-5770-4236
12:00~13:30LO 18:00~21:00LO
月曜休、不定休日あり
昼コース3600円(平日のみ)、5800円、8400円
夜コース8000円、13000円、19000円
(税込、サービス料別)
東京メトロ、都営線六本木駅より徒歩3分
◎「テタンジェ」に関する情報
http://www.sapporobeer.jp/wine/taittinger/