JOURNAL / JAPAN
日本[むつ] Japan/Mutsu
青森 下北半島の野菜生産者が教えてくれたこと
Apr. 18, 2016

『料理通信』でも紹介している、魚体に傷がつきにくい一本釣り漁法の「風間浦鮟鱇」や、津軽海峡で育つ「海峡サーモン」。そして、極小の菜種を丁寧に選別した後、天日干しをして搾油量を増やす処理をせず、究極まで手間を惜しまず生まれる「御なたね油」などなど。雪の降る2月、青森は下北半島むつ市、素晴らしい食材の現場を訪問しました。
中でも、今回初めて出会った有機自然農法で野菜を育てる「横浜町はまなす生産組合」鈴木譲さんのお話は興味深いものでした。
自然淘汰

「横浜町はまなす生産組合」鈴木譲さん
作物、例えばほうれん草としましょう。
ほうれん草に心地よい圃場では、過酷な環境で生き抜く力を持つ雑草(という名の草は存在しませんが)は、快適すぎて、ひょろひょろと短期間で大きくなります。ほうれん草は丈夫で、雑草は弱々しいのです。
害虫(という名の虫も存在しませんが)は、弱いものを淘汰する役割を持つので、雑草を中心に寄り付く。
圃場には、ほうれん草や雑草といった多種の植物がその身を隠すので、害虫を捕食する虫が現れる。
結果、ほうれん草は虫食いから免れるという訳です。
生きている土を育てる

「養分供給は作物のためではなく土のために行います」。と、鈴木さん。
それは何か?と尋ねたら、
「健康な土になるために必要としている養分を与える。土が肥やしにした養分の残りを作物が摂取。その残りを雑草が吸い上げて、畑全体のバランスを取る。その雑草や収穫後に畑に残った作物を土に鋤きこむことで養分が土に戻ります」。
なるほど。畑にある植物は持ち出さず、土に返しながら時間を掛けて土作りを行っている鈴木さんの圃場。2月の雪に埋もれたハウスの中は、ふかふかで暖かい土にほうれん草が育ち、何とも言えないやさしく、気持ちの良い、ふわっとした香りに包まれていました。
健康な作物は、人に「食べたい」と思わせ、人に元気を与えてくれます。
子どもや元気の無い人ほど敏感に反応を示してくれるそうです。
「水やりは、どのくらいしますか?」との質問に、
「毎日畑と作物を見ていれば、必要なものがわかります」。
本物の作り手に出会えた、青森県下北半島むつ市の旅でした。
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