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JOURNAL / JAPAN

日本 [京都]

果物で体感する伝統と進化

在来種を守ることと新品種への挑戦が未来をつくる

2016.06.25

「柿屋で干す干し柿」は、全国でここだけ
「孤娘(ころう)柿」(カキ)

11月上中旬、刈り取りの終わった田んぼに立ち始める干し柿用の柿屋。綴喜郡宇治田原町で作られる「古老(ころう)柿」は、「鶴の子柿」という小ぶりの渋柿を使います。柿屋の棚に並べて15~20日乾燥させた後、むしろに広げたり、柿を躍らせたり(柿を乾燥機で回転させること)してさらに乾かし、表面に白い粉が吹いたら完成。12月の「初市」を皮切りに出荷されます。

その昔、村に突然現れた娘(地元禅定寺本尊の十一面観音の化身と伝えられる)に干し柿の製法を教わったという言い伝えから、「1人の娘の柿」という意味で「孤娘柿」と呼ばれるのだとか(一般的には「古老柿」)。人々は「柿屋」の登場で冬の訪れを知り、立て壊しで年越しの準備に入る。甘味を湛えた「孤娘柿」は、正月の贈答品やお茶受けとして、人々に寄り添い、新年を迎えるのです。


晩夏の喉を潤す豊かな果汁
「京たんご梨」(日本ナシ)

そんな昔ながらの風物詩が見られる一方、府では二十世紀梨が現代のブランドとして注目を集めています。豊かな自然に囲まれ、府有数の果樹生産地である丹後地域。平成12年から、この地域の二十世紀梨(ゴールド二十世紀、おさゴールド、おさ二十世紀、二十世紀)は、「京たんご梨」ブランドとして販売されています。

中でも糖度が極めて高い11.5度以上のものは、ブランド品として京阪神に向けて市場出荷へ。果物では唯一、府のブランド産品の称号を受けている自信作です。硬めの果肉で、シャリッと切れのある食感は小気味よく、口いっぱいにほおばれば、みずみずしくて甘い果汁が、暑さの続く晩夏の喉を潤します。

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