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JOURNAL / 世界の食トレンド

ラテ主導の抹茶ブームに一石。イタリア人女性が開いた真の日本茶文化を伝える専門店

America [New York]

2026.01.19

ラテ主導の抹茶ブームに一石。イタリア人女性が開いた真の日本茶文化を伝える専門店

text by Akiko Katayama
2025年、2号店をオープンした日本茶専門店「ソラテ」。マンハッタンの中心ユニオン・スクエアに近いフラットアイアン店は、京都の一角に迷い込んだかのような趣。和の茶文化を身近にさせる空間だ。

米国では抹茶が大人気だ。農林水産省のデータ*によると、2023年の日本茶輸出額は過去最高の292億円を記録。健康志向や和食人気を背景に、米国向けは全体の約4割で、そのうちの8割が抹茶だ。気になるのは、抹茶がドリンクや製菓材料として人気を集めている点だ。つまり現状米国人が求めているのは「抹茶ラテ」であり、精神性を極めた茶道や、奥深い自然の味わいを愛でる日本茶の魅力ではない。

しかし1人のイタリア人女性が、日本茶への想いを募らせ、ニューヨークでその魅力を紹介している。

2020年に「ソラテ(Sōrate)」を開いたシルビア・メラ氏は北イタリア出身。大学卒業後ニューヨークに渡り、念願のファッション系雑誌の仕事に就いたものの、ソーシャルメディアやインフルエンサーが主流化し、深いコンテンツ性を失いつつある業界の様子に失望。虚しさを埋める一人旅の行先に選んだのは、安全かつ以前から漠然と関心を抱いていた日本だった。

何の伝手も予定もなく、3週間京都を放浪しながら自分探しをする中で、最も心惹かれたのが茶の文化だったという。その根幹にあった魅力とは?

「美しい手作りの茶器が伝える季節感から、茶道の儀式が生み出す心の平静、そしてお茶自体がもたらすおいしさ、清涼感・・・日本のお茶文化には、様々な要素が詰まっていました」とメラ氏。

リフレッシュしてニューヨークに戻ったものの、真の日本茶文化を体験するためのインフラがこの街にはないと痛感。自らその場を生み出そうと、氏はソラテを立ち上げた。

「ソラテ(Sōrate)」を開いたシルビア・メラ氏は北イタリア出身
「日本とイタリアには、伝統とその継承を重んじるという、共通の価値観がある。だから私はお茶に強く惹かれたのかも知れません」とメラ氏。

まずは質の高い茶葉を輸入することを目指し、日本を再訪。知人の伝手で、青製煎茶製法の開発者、永谷宗円の血を引く茶園「永谷宗園」とつながることができた。

当初は取引を断られたが、メラ氏が手掛けたプロトタイプのウェブサイトで思いが伝わり、2020年にオンライン販売を開始。以後順調な進展を遂げ、2023年にはマンハッタンのSOHOに、さらに2025年にはフラットアイアン地区にも実店舗をオープン。カフェも併設しながら抹茶、玉露からほうじ茶まで、多彩なお茶の味わいを紹介する。

抹茶
店内のカフェではお茶を点て、市内の和菓子職人の作る各品も提供。店名「ソラテ」とはイタリアのベネチア地方の言葉で「リラックスする」という意味。日本の「空」と掛けて、お茶を通じて開放された心の様子を表現している。

お茶には急須で入れる日常性と、茶道の儀式性があるが、その双方を伝えるべく、ニューヨーク在住の表千家流茶道師範の北澤恵子氏とのコラボで、店内で茶事も開催。茶葉購入の客層は、オンライン・実店舗とも30〜50代の女性が8割。カフェの来訪者はエリアの人口を反映し、20〜30代の女性が中心だ。一方茶事はカップルの参加が目立つといい、日本茶が今後幅広いファンを集める可能性を示唆する。

「質の高い茶葉の味わいや効能、お茶を通じて得られる心のゆとりは普遍的な価値を持ちます。今後は茶室を開き、懐石料理を提供するなどして、さらに深く日本茶文化を広めたい」とメラ氏は話す。


Sōrate
SOHO 103 Sullivan street, 10012 NY
8:00〜19:00  無休
Flatiron 30 East 18th Street, New York, NY
10:00〜18:00 無休
https://sorateteahouse.co/

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