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JOURNAL / 世界の食トレンド

Finland [Helsinki] 障がい者や学生の自立を手助け。ヘルシンキで話題の社会貢献型カフェ

2023.01.16

障がい者の自立を手助け。ヘルシンキで話題の社会貢献型カフェ

text & photographs by Asaki Abumi

フィンランドの首都ヘルシンキのカフェ「イピ・クルマクッピラ(Ipi Kulmakuppila)」は、独自の社会貢献型ビジネスモデルで地元の人々から愛されている。店員の多くは知的障がい者とインターンシップの学生たちで、店と関わる人々の自立を支援しているのだ。


責任者であるマルヤ・ヴィスティ・コスキネンさんが、店の説明をする際に手渡してくれたのは組織図。どの専門学校から、どのような学生が職業体験に来ているかなどの詳細が記載されており、地域の施設や教育機関との深い連携で成り立っていることがわかる。

(写真)「イピ」がどのように成り立っているのかが一目でわかる組織図。

(写真)「イピ」がどのように成り立っているのかが一目でわかる組織図。

短期店員のバックグラウンドも幅広く、労働監督の教育・体験がある人や6週間ほどの職業体験中の専門学校生もいる。学生の専攻も、社会サービス・地域社会教育・職業セラピーと様々で、必要なスキルを職業体験で身につける。

マニュアルは電子書籍アプリ「Book Creator」を活用し、写真や動画、わかりやすい言葉で作成。その日のタスクを、それぞれのタブレットで確認できるように工夫している。また障がいがあるスタッフには常に学生たちが付き添い、チームとなってカスタマーサービスに励む。

「17年前に知的障がいがある人が『いつか本当のカフェで働けたらいいな』とつぶやいたことがきっかけで、この願いを叶えるまでに10年かかった」と振り返るコスキネンさん。市民の自立を手助けすることに特化したユニークなカフェは、2015年のオープン以来、今や地元で愛される場所に成長した。

職業体験が必要な学生や障がい者を地域と結ぶ場所として、これからのカフェのモデルとなりそうな場所だ。

(写真トップ)店名の「イピ」は、弁護士でありサッカー選手でもあったヘルシンキの著名人ペッカ・ハマライネンのニックネームで、彼の孫に障がいがあったことに由来している。

(写真)店内は障がい者によって制作された作品も含むギャラリーにもなっており、交流の場にもなっている。

(写真)店内は障がい者によって制作された作品も含むギャラリーにもなっており、交流の場にもなっている。



◎Ipi Kulmakuppila
Porthaninkatu 13, 00530 Helsinki FINLAND
8:00~16:00、土曜10:00~15:00
日曜休
モーニング 8.9ユーロ(平日8:00~11:00、土曜10:00~13:00)
サラダランチ 11.3~14.9ユーロ(平日11:00~)
https://ipikulmakuppila.fi

*1ユーロ=143円(2022年12月時点)

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