France[Paris]
老舗が出す今のブーランジュリーの形
2017.06.12
-
創立1582年の歴史を誇る「トゥール・ダルジャン」。高級レストランの代名詞として知られるが、1996年ミシュラン二ツ星に、2006年一ツ星に降格した。以降、立て直しに試行錯誤を重ねてきたが、2016年4月、総料理長に名シェフ、フィリップ・ラベを抜擢。メニューを一新し、2016年11月にはブーランジュリーを開店した。
パン部門の責任者アレクシィ・ブルジョは弱冠25歳。「パンはフィリップ・ラベの料理に合うように研究を重ねました。でも我々は地元に根付いた町のパン屋を目指しています」。看板商品のバゲットは1ユーロと、トゥール・ダルジャン経営とは思えない価格だ。自家製醗酵種を使い長時間発酵させた生地は、軽い酸味があり、粉の味わいが力強い。
その他クロワッサン、マドレーヌ、ディアモンといったヴィエノワズリーや焼き菓子など、奇をてらわないフランスのおやつが並ぶ。店の奥の工房はガラス張りで、きびきびと働く職人の姿が見える。今の気分にふさわしいアットホームな空間が魅力だ。
(『料理通信』2017年5月号/「ワールドトピックス」より)
◎ Le Boulangerie de la Tour
15-17 Quai de la Tournelle 75005 Paris
☎ +33.(0)1.43.54.23.31
7:00~20:00(土曜、日曜は8:00~)
無休
クロワッサン 1.1ユーロ、マドレーヌ 0.9ユーロ
text & photograph by Sakurako Uozumi
JOURNAL / 世界の食トレンド
JOURNAL / 世界の食トレンド