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JOURNAL / 世界の食トレンド

France [Paris]

新世代シェフが手掛ける“ソースを味わう”現代フレンチ

2022.04.11

text by Sakurako Uozumi / photograph by Antoine Motard

地産地消、オーガニック、自家培養酵母パンなど、より自然に近いエシカルな取り組みが本格化する今、フランスでは“原点回帰”の風潮にある。


パリ東駅近く、10区の人気エリアにオープンした「ショショ(Chocho)」は、TV番組「トップシェフ」出身のトマ・シショロム(Thomas Chisholm)氏による注目の新店だ。シグネチャーは日替わりで供される「ソース料理(plat à saucer)」。様々な野菜や肉の旨味を凝縮したソースを、パンでぬぐって食す。
「食事の時に一番幸福を感じる時間は、お腹いっぱいになっても、最後まで一滴残らずソースをすくって食べる瞬間だと僕は思うのです」とシショロム氏。

メニューはアラカルトのみ。「ポワローの炭火焼き+燻製ムースリーヌ」「マスとウイキョウ+アサツキのソース」「仔羊の脳みその天ぷら+カボチャソース」など、素材の組み合わせやテクスチャー、香りを生かしたソース使いが秀逸だ。

1991年、ニューヨークで生まれ、14歳で両親の故郷の南仏に移住。パリの人気ビストロや日本人シェフの高級店を経て独立した。新店では発酵や燻製などの技術を活かして、古典フレンチに敬意を表しながらも、束縛から解放された現代的フレンチを提供する。新しい風を吹き込むミレニアム世代の代表例と言えるだろう。

(写真)日替わりの「ソース料理」(10ユーロ)。ローストしたサツマイモのピュレ、ローリエで香り付けしたバター、ジュ・ド・ヴォー、もみの木ビネガーのジュレ。こっくりしていて香ばしい風味が口いっぱいに広がる。自家製セーグルのパンは、マフィンのような食感とドーナッツを思わせる素朴な味わい。



◎Chocho
54 rue de Paradis 75010 Paris
☎+33.(0)1.42.28.26.03
12:00~14:00、19:00~24:00
日曜、月曜休
日替わりのソース料理 10ユーロ
https://chocho.becsparisiens.fr/en/

*1ユーロ=135円(2022年3月時点)

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