HOME 〉

JOURNAL / 世界の食トレンド

France [Paris] パリのガストロノミーを牽引する「アストランス」が、店舗を拡大して再始動!

2023.02.13

アストランス

text by Sakurako Uozumi / photographs by Pauline Gouablin(photo1), Anne-Emmanuelle Thion(photo2,3)

パスカル・バルボ率いる「アストランス(Astrance)」が、店舗拡大のため、20年営んだ16区ベートーヴェン通りの店をクローズしたのは2020年3月。コロナ禍と工事の諸問題によって再始動は遅れに遅れていたが、2022年暮れ、待望の新店舗で営業を再開した。


ドリック・マントノーによる内装

(写真)室内建築家セドリック・マントノーによる内装は、ブラウンやベージュを基調に暖色を組み合わせた。ミニマルだが温かみがあって自然を感じさせる空間だ。「お客様からは日本っぽい内装だと言われるんです」と誇らしく語るバルボ。

店舗は同じ16区のロンシャン通り、ジョエル・ロブションの「ジャマン」跡地で、200万ユーロをかけて大改装。旧店舗時代17㎡だった厨房は70㎡に、全面積は120㎡から360㎡へと拡大した。

バルボはサバのような庶民的な食材を高級素材と同等に扱い、食材革命を起こしたフランス料理界の第一人者。
「近年のガストロノミー店はシェフのおまかせコースが主流でしたが、食傷気味な人もいたはずです。新店ではコース以外にアラカルトの選択肢を増やし、お客様のニーズに応えました」とバルボ。

バルボ

(写真)「料理をしている時が最も幸せ」だというバルボ。「アストランス」では研修生や見習いも正社員と同じように大切にされる。とりわけ、いまのフランス料理界で活躍する女性シェフや外国人シェフを多く輩出していることでも大きく評価されている。

オープン前の2カ月間、日本を旅して、貝の処理や魚の温度管理、発酵技術に磨きをかけた。新店では貝や甲殻類に新たなアプローチを施し、クロック・ムッシュなど親しみのある料理もレストランの一皿に昇華する。近い将来にはエピスリーを併設し、オンライン販売も計画しているという。パリの美食家は彼の新境地に興味津々だ。

(写真トップ)共同経営者でメートル・ドテルのクリストフ・ロア(左)と、シェフのパスカル・バルボ(右)。彼らは旧店舗がオープンした2000年から、ずっとタッグを組んできた。



◎Astrance
32 rue de Longchamp, 75016 Paris
12:00〜14:00LO、19:30〜21:30LO
土曜、日曜休
ランチおまかせコース 125ユーロ
ディナーおまかせコース 285ユーロ
アラカルト20〜175ユーロ
https://www.astranceparis.fr/

*1ユーロ=141円(2023年1月時点)

料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。