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JOURNAL / 世界の食トレンド

1食20ユーロ以下!観光客も重宝するパリの穴場ランチのガイドブック誕生

France[Paris]

2024.06.13

1食20ユーロ以下!観光客も重宝するパリの穴場ランチのガイドブック誕生

(写真)パリ市を構成する20の区を4つの地区に分けて、それぞれ15〜25軒を厳選。パリ近郊の店を合わせて120軒を紹介している。
text by Sakurako Uozumi/photographs by Lilika Leblanc

非営利団体「Secours populaire francaise(フランス民衆救済)」*によれば、昨今のインフレの影響で3食のうちの1食を抜くフランス国民が15%に上ったという。原材料、光熱費、人件費の上昇により、パリの外食費は高騰する一方で、30ユーロ以内(約5000円)で定食を提供するビストロは、良心的だと言われるほどだ。

そんな中、2024年4月に刊行されたガイドブック『MIDI MOINS CHER(格安のランチ)』が耳目を集めている。作者はボボ*に愛される週刊カルチャー誌『Télérama(テレラマ)』の料理記者エステレル・パヤニ(Estérelle Payany)さん。

著者のエステレル・パヤニさん

(写真)著者のエステレル・パヤニさんは、週刊カルチャー誌『テレラマ』の料理記者。流行に敏感な若い層から絶大な支持を得ている。

「コロナ以降、すべての価格が20%以上も値上がりし、前菜、メイン、デザートからなる伝統的な食習慣から離れつつあります。今は環境、SDGs、従業員の働き方に配慮した店が求められています」

同ガイドブックには20ユーロ以内でランチを提供する庶民的なビストロ、良質なストリートフード店、カーヴ・ア・ヴァン、小さな食の専門店、食事もできるエピスリーなど穴場的な120軒が掲載されている。

一風変わったユニークな場所でランチを!

(写真)一風変わったユニークな場所でランチを!中庭のテラスやレコード店内の食堂、コンテンポラリーダンスのスタジオに併殺されたベジタリアン食堂など面白い店を集めた。


パリを4つの地区に分けて、パリで一番と言われるジャンボン・ブールが看板のカフェから、ニースなどのローカル料理店、フォーやメッゼ、クスクス、タジンといった異国がルーツの店も満載。難民による店やベジタリアン対応の店、蒸し餃子「モモ」の専門店など、コスモポリタンなパリならではのラインナップだ。今どきのパリの気分を感じられて、パリっ子の傾向を察知することができそうだ。

*1 1945年に設立された非営利団体
*2 高学歴・高収入で文化的かつスローライフを好むボヘミアン気質を持った人たち。

「Résidence de Refugee Food」の収益はすべてアソシエーションに寄付される。

(写真)社会還元、食の持続可能性に対して積極的に取り組む店にも光を当てた。クスクスが看板のモロッコ料理店「1000&1 SIGNES」はスタッフが全員、聴覚に障害を抱えている人たちで、彼らに働く場を提供している。シリア、アフガニスタン、ナイジェリアからの難民の料理を味わえる「Résidence de Refugee Food」の収益はすべてアソシエーションに寄付される。

MIDI MOINS CHER Paris Estérelle Payany 著


◎MIDI MOINS CHER:Le guide du déjeuner malin à Paris
Estérelle Payany 著
Editions ALTERNATIVES 刊
14ユーロ
ISBN-13:978-2073055439
https://www.editionsalternatives.com/site.php?type=P&id=2317

*1ユーロ=170円(2024年6月時点)

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