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JOURNAL / 世界の食トレンド

インドのフードシステムをニュースレターで配信。対話を生む若手リーダーに世界が注目

India[Bangalore]

2024.03.11

インドのフードシステムをニュースレターで配信。対話を生む若手リーダーに世界が注目

text by Akemi Yoshii
(写真)ニュースレター「エディブル・イシューズ」を配信する2人。アヌシャさん(写真右)は、フードシステムを改善・向上させるための技術導入を専門にしており、料理ロボットの開発に携わっている。エリザベスさん(写真左)は、シェフとして経験を積みながら、各地で歴史研究家、科学者、芸術家、シェフとのコラボレーションを行い、ビール醸造後の搾りかすの再利用を促すコミュニティも主宰。

環境を含め、社会全体が大きな変革期を迎えている今、人々を支え、未来を育くむフードシステムの構築は重要課題である。

エンジニアのアヌシャ・ムールティさんと料理人のエリザベス・ヨークさんは、2018年1月、イタリアのモデナ・レッジョ・エミリア大学大学院の修士課程「フードイノベーションプログラム」でクラスメイトとして出会った。アヌシャさんはテクノロジー導入の観点から、エリザベスさんは食関連の教養を深めるために、それぞれのバックグランドを活かしてフードシステムを学ぶために参加したのだ。

「コースワークは西洋的な視点が主体だったので、インドに当てはめるとどうなのか、まず現状を知るべきだと思いました」と2人の意見は一致。すぐに、インドのフードシステムを伝えるためのニュースレターの作成を始めた。翌月には、インドにおける細胞農業の未来や、フードデリバリースタートアップなどのニュースをピックアップした「エディブル・イシューズ(edible issues)」の第1号を、知り合いを中心に配信。これまでになかった「学び、対話し、異なる視点から食について考える場」の反響は広がり、配信を重ね、2018年7月にはインド・ムンバイ市のレストランで初めてのイベントを開催した。


ホームページのニュースレター・サムネイル一覧

(写真)ホームページのニュースレター・サムネイル一覧より。農業、政治、文化、環境、テクノロジー、レシピ、トレンドなど、食をめぐるありとあらゆるニュースを扱う。

大学院卒業後、2人はインドに戻り、バンガロールを拠点に引き続きインドのフードシステムを巡る“会話”を促す食の共同体としての活動を続けている。

毎月1回発行されるニュースレターは2024年1月で78号目となり、チームメンバーも増え、様々なイベントやワークショップ、プロジェクト、シンポジウム、リサーチなどを行う大きなコミュニティに成長した。

塊茎リサーチプロジェクト「Roots to Resilience」を発表

(写真)2023年12月にゴア州で開催されたセレンディピティ・アーツフェスティバルでは、塊茎リサーチプロジェクト「Roots to Resilience」を発表。料理、コミュニティ、文化の視点から塊茎を捉え、各地で集めたレシピやストーリーをウェブやイベントで公開している。

2人の活動はインド国内だけでなく、世界的にも注目されている。2022年には、「世界のベストレストラン50」が食に関わりのある若手リーダーを選ぶ「50NEXT」に教育者部門で選出された。

そんな2人が大切にしていることを、フードシステムを考える人々に向けたメッセージとして最後に紹介したい

「常に好奇心を持ち、学び続ける姿勢で、食に関する自分の認識を見直すこと。食とは、環境、社会、カーストや階級、サステナビリティ、経済、政治など、私達を取り巻くあらゆる力の結果であり、いつもそのことを意識しています」


2021年の国連食料システムサミットで対話イベント“Seaweed Dialogues”を開催した時の投稿画像

(写真)Instagramでは、メッセージ性の強い投稿が目を引く。海藻プロジェクトの一環として、2021年の国連食料システムサミットで対話イベント“Seaweed Dialogues”を開催した時の投稿画像。


◎edible issues
https://edibleissues.in/

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