完成まで72時間。自分好みのオリジナルジンを作れる“世界一小さい蒸留所”
Italy [Milano]
2023.11.13
text & photographs by Yuko Suyama
(写真トップ)「ネパールの爽やかなティミュット胡椒やインドネシアの鮮烈なクベバ胡椒など、世界の多様な胡椒を上手く調和させたジンを試したい」と、小さな工房内でこれからのオリジナルジンについて語る責任者ジャコモ・ドゥコリさん。店舗はミラノ、ナヴィリオ地区の有名な観光スポット、ラバンダイと呼ばれる昔の屋根付き洗濯場の路地近くにある。
2023年9月にミラノで開催された、第10回ジンイベント「Gin Day」も盛況に終わり、クラフトジンへの注目度は増すばかり。中でも22年、ナヴィリオ地区に誕生した「ジーノ 12 ディスティラリィ(GINO 12 DISTILLERY)~世界一小さい蒸留所」が話題だ。
人ひとりがやっと動ける小さなスペースで、目を引くのはコンパクトな蒸留器。「名前はジーナ。蒸留器には女性の名前をつけるのが慣わし」と責任者のジャコモ・ドゥコリさん。
常時フローラル系、スパイス系、ロンドン・ドライタイプなど20種のオリジナルジンとトニックウォーターを用意し、店の小窓からジントニックやジンベースのジェラートをテイクアウトで販売する。随時、パルミジャーノやサフランなど珍しいフレーバーのジンも追加。新しいフレーバーを追い求め、足繁く通ってくるジン好きのために、いつもジャコモさんは試作を重ねている。
そして、この蒸留所では客の好みに応じたオリジナルジンの仕込みも行う。アルコール度数は45度、フレーバーは25種類の中から最大5種選べ、その強さも5段階指定できる。グラフィックデザイナーによるイラストや似顔絵など、自分仕様のラベルも貼付可能だ。出来上がった世界で唯一無二のボトルは、72時間後に手元に届けてくれる。手土産として、思いを込めたバースデープレゼントとして、また企業のイベントや結婚式の引き出物としても好評である。
元々ここはパンデミック中に、隣にあるミラノ初のジン専門バール「ジーノ12」から生まれたアイデア。店の一角をドアで仕切り蒸留スペースに仕立てた。バールにはテラスや中庭席、広いスペースの椅子席もあり、オリジナルジンを用いた様々なカクテルを楽しむこともできる。
近々、このミクロな蒸留所は、ほんの数メートル移動し、小さいながら一人から二人が動けるスペースになる予定である。
◎GINO 12 DISTILLERY
Alzaia Naviglio Grande, 12 20144 Milano
☎+39-02-89422261
18:00〜翌1:00(土曜、日曜~翌1:30)
無休
<新店舗住所>
Vicolo Privato Lavandai 2B, 20144 Milano
営業時間、電話番号同じ
https://www.gino12distillery.it/
*1ユーロ=159円(2023年11月時点)