Peru[Lima]
皮や搾りかすも捨てないで!廃棄を減らし栄養価を高める食育活動
2021.08.19
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text by Keiko Harada
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料理学校で講師を務めていたパルミロ・オカンポ(Palmiro Ocampo)氏は、実習中に出る大量の食品廃棄物に着目。大学の専門家と連携して廃棄部分に含まれる栄養素を調べ、それらを料理に再利用できないかと生徒たちと意見を交わす中で、野菜や果物の皮や搾りかすが持つ魅力と可能性を確信していった。
オカンポ氏は2014年、食品を最大限に活用することで持続可能な調理を促進するNPO「ホリ・コシーナ・オプティマ(CCori:Cocina Óptima)」を創設。リマ郊外のコメドール(貧困地区に必ず設置されている共同食堂)での実演と食育を行っている。
食生活に関する教育が遅れているペルーでは、1日の摂取カロリーは足りているのに栄養不良という人が少なくない。食品廃棄物を減らすだけでなく、食材そのものを余すことなく使い切ることができれば、栄養失調などの社会問題を解決する一歩になる。またサステナブルフードに興味を持つ国内外の企業やレストランでアドバイスを行う他、様々なカンファレンスに参加してその知識や経験を広めている。
そんな同氏の活動を支えているのは、国内大手飲料メーカーや銀行、カード会社など高級レストランとの提携が目立つ企業群だ。創造的な美食とサステナブルな料理は今や相互補完関係にあり、意識の高いシェフほどこの問題に取り組む傾向にあることを考えれば、企業が彼に関心を示すのも当然だろう。
オカンポ氏は現在、ペルーWWF(世界自然保護基金)のアンバサダーとしても活動しており、食品の持続可能な利用を通じて気候変動を始めとする環境問題にも取り組んでいる。
(写真)シナモンをまぶしたバナナの皮の砂糖漬けを添えたフルーツサラダ。バナナの皮には貧血予防に欠かせない葉酸と繊維が豊富に含まれているという。
◎CCori: Cocina Óptima
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