Spain [Barcelona]
高級店を影で支える「スタジエール」論争勃発
2017.11.16
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今や花形スポーツ選手や売れっ子俳優並みに稼げる職業とされるトップシェフ。スペインではミシュラン星獲得店が174店舗を数えるが、その底辺を支えているのが「スタジエール」と呼ばれる実習生たち。ことに有名店での修業は成功への第一歩と希望者は後を絶たない。
しかし、初夏にとある高級料理店の実習生が新聞に過酷な労働実態を告白。長時間労働、無給に加え、内部で横行するパワハラ告発に、国内論争が勃発した。
これに対し、スペイン最年少でミシュランの星を獲得した「アバック」のジョルディ・クルス(写真)は、「実習生は奴隷ではない。宿と食事を与えられ、最高の環境で学んでいる。そんな彼らを羨ましく思う」「実習生が有給になれば店のメニューも変わり、サービスの質は落ちる」などとコメントし、論争が過熱。
他のトップシェフたちも多くがクルスの擁護に回った。実習生たちの待遇、保険や税金に関しては店舗によって様々で、法的コントロールはまだまだの段階。論争も長期戦になりそうだ。
(『料理通信』2017年10月号/「ワールドトピックス」より)
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text by Yuki Kobayashi
JOURNAL / 世界の食トレンド
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