Spain [Álava]
賛否両論、“リオハワイン”地域から新たな原産地呼称が誕生か?
2021.07.12
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text by Yuki Kobayashi
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世界的にも有名なリオハワイン。リオハ原産地呼称(DOP)認定地域は、リオハ州68%、ナバーラ州12%、バスク州20%と3つの州にまたがり、3つの地域に分かれているが、その中の一つ、バスク州に属するリオハ・アラベサ地域のボデガ(醸造所)協会ABRAのプロジェクトが、業界を騒がせている。
2016年、ABRAは行政管轄のバスク州政府に、新たな「アラバDOP(Viñedo de Álava=アラバ県ブドウ畑の意)」の設置を申請した。
これに対し、リオハDOP委員会は「リオハ・アラベサ地域は、リオハDOPの名の下、32%のワインを生産しているが、その内40%はリオハ・アラベサ以外の地域で生産されたブドウも使用したワインである」「この申請には地理的、土壌的条件においてリオハとの決定的違いが欠如している」などを理由に反対した。
しかし2021年3月、バスク州政府はリオハの申し立てを棄却。ABRA協会は行政処理を進めこの申請を欧州議会に提出し、承認を待つ姿勢だ。リオハDOP委員会は、必要とあらば裁判に持ち込むと言う。
ABRA協会側は純粋に「企業側に立った判断」だと主張する。 「アラバDOPができたとしても、それはリオハDOPを脅かすものでない。一つのボデガが、自分の所有する畑とブドウの条件によりながら、“リオハ”もしくは“アラバ”と名乗る事が可能になる(注)。多様性は企業家にビジネスの可能性を、消費者には選択の豊富さを与えるもので、なんら問題にはならない」と、あくまでも申請承認まで活動し続ける姿勢だ。
政治的理由が背景にないとはいえ、スペイン人はこうした自治州をまたぐテーマには熱くなりやすい。果たしてアラバDOPが認定されるかどうか、論争はしばらく続きそうだ。
(注)リオハDOP規定では、同一施設で醸造されている場合は、他の呼称認定を名乗ることができないが、同じボデガが複数の施設で醸造を行う場合は、施設ごとに呼称認定を変えることが可能。アラバ原産地呼称ではこの規定はない。
(写真)リオハ・アラベサ地域には「YSIOS」(サンチアゴ・カラトラバ作)や「Marqués de Riscal」(フランク・ゲーリー作)といった著名建築家が手掛けた名物ボデガも存在する。
◎ABRA (Asociación de Bodegueros de Rioja Alabesa)
https://riojalavesa.com/
Rioja alavesa イメージ動画
https://www.youtube.com/watch?v=S5RhMhlaMVo&t=14s
◎Denominación de Rioja
https://www.riojawine.com/en/home-en/