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JOURNAL / 世界の食トレンド

Sweden [Stockholm]

使えるのは水と塩だけ。“素材を味わう”を追求するレストラン

Jun 20, 2022

text by Sakiko Jin / photographs by Sakiko jin(food), Felix Odell(interior)

パンデミックが落ち着き、規制が解除されたスウェーデンでは、新しいレストランが続々誕生している。中でも2022年5月3日、ストックホルムにオープンした「ブルタリステン(Brutalisten)」が注目の的だ。店名の元となった“ブルータリズム”とは、コンクリートやガラスなど、素材をそのまま用いる建築様式のことを指す。


店のコンセプトである“ブルターリズム・キッチン・マニフェスト”では、素材にフォーカスを当て、1料理に使える素材は最大3種類まで、水と塩だけの添加が許されており、「ブルタリステン」ではそれに基づきメニューを3つのカテゴリーに分けている。

・セミ・ブルタリスト(Semi-Brutalist):1〜3種の素材を使用
・ブルタリスト(Brutalist):1素材と塩と水のみを使用
・オルトドックス・ブルタリスト(Orthodox-Brutalist):1素材のみを使用

生・焼く・茹でる・発酵など異なる調理法を用い、それによって抽出された素材のだしや旨味が基本の調味料となる。

「ブルタリステン」は、世界的に著名なアーティスト、カーステーン・ホーラー(Carsten Höller)が2008年、プラダ財団との協力によりロンドンで開催した展覧会「ダブルクラブ(TheDoubleClub)」で供したコンセプト、“素材そのものへのオマージュ”を基としている。

調理場を統括するのは、2005年にスウェーデンのシェフ・オブ・ザ・イヤー*の座に輝き、最近では大会審査員および素材選出の責任者としても活躍するステファン・エリクソン(Stefan Eriksson)。カーステーンと共に試作に試作を重ねて晴れてオープンに漕ぎ着けた、まさに“素材を味わう”ことを追求するレストランだ。

*ÅretsKockABが主催するコンテスト

(トップ写真)セミ・ブルタリスティックの1皿。生エビは西海岸のスムーゲン町から。ゴットランド島のネギを発酵させて散らした。
(写真2枚目)オルトドックス・ブルタリストの皿より。カブもアーモンド貝(Mandelmussla)も生でそのまま。どちらも瑞々しく、カブはカブからの、貝は貝からのわずかな甘味がじわりと感じる。

(写真3枚目)コンセプトのブルータリズムとは裏腹に、カーステーン・ホーラーがデザインしたキノコのランプなど、どこかお茶目でコージーな内装だ。



◎Brutalisten
Regeringsgatan 71, Stockholm
17:00~翌1:00(21:30LO)
日曜、月曜、祝日休
1皿35〜395スウェーデンクローナ
https://brutalisten.com

*1スウェーデンクローナ=12.9円(2022年5月時点)

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