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JOURNAL / 世界の食トレンド

ベトナム最大のフルーツ生産地メコンデルタで取り組むサステナブルな農業

Vietnam [Mekong Delta]

2023.12.21

ベトナム最大のフルーツ生産地メコンデルタで取り組むサステナブルな農業

text by Rie Suzuki
(写真)「ル・ヴェルジェ・デュ・メコン」による、メコンデルタのフルーツを使った加工品。ジュースの他、複数のフルーツを組み合わせて作るコンフィチュール、コンポート、フローズンピュレも人気だ。同社の製品は現在、ベトナム国内の他、アジアやヨーロッパなど13カ国以上で展開している。

1990年、国連食糧農業機関(FAO)プログラムでベトナムを訪れて以来、各地を廻り、メコンデルタには湿度の安定した土壌と豊富な水、1年中降り注ぐ太陽があることを知ったボワザン氏。メコンデルタのフルーツの価値を高め、地元の人々の安定した生活基盤を構築するために、持続可能な農業を促進する先駆的な取り組みを進めている。


(写真)果樹園農家に生まれたフランス・アルプス出身のボワザン氏。食品加工学を学んだ後、科学者に。

(写真)果樹園農家に生まれたフランス・アルプス出身のボワザン氏。食品加工学を学んだ後、科学者に。

取り組みは多岐にわたる。例えば新しい品種を農家に持ち込み、農作業を手伝いながら、葉や枝の剪定、水やり、追肥、収穫のタイミングなど高度な栽培方法を指導。物流を組織化し農家との緊密な関係を維持するために、「Le Fruit Home」と呼ぶ集荷センターを各村に設置した。2019年には契約農家1200人に400台のスマートフォンを提供し、作業進捗アプリ「we trace」を導入した。併せて同社製品のための上質なフルーツを確保するために、収穫物はすべて買い上げ、価格の保証もしている。言語や文化の違いで始めは困難を極めたが、今では2000軒以上の農家が参加している。

(写真)近年の気候変動はメコンデルタでも深刻であり、温暖化により水面が毎年上昇している。ボワザン氏は気候変動問題にも積極的に取り組み、加工後の廃棄物で有機肥料も作っている。現在は20万本の果樹を栽培するが、さらに植樹を倍増させ8000トンのCO2除去を目指す。

(写真)近年の気候変動はメコンデルタでも深刻であり、温暖化により水面が毎年上昇している。ボワザン氏は気候変動問題にも積極的に取り組み、加工後の廃棄物で有機肥料も作っている。現在は20万本の果樹を栽培するが、さらに植樹を倍増させ8000トンのCO2除去を目指す。

収穫したフルーツはジュースやコンフィチュールに加工する。コンフィチュールはフルーツを手作業でカットし、フランスの伝統的な作り方で少量ずつ製造。バナナ&ドラゴンフルーツ、マンゴー&スターフルーツなど多様な組み合わせは、フルーツの味わいを知り尽くした現地の熟練コンフィチュリエを中心に、視覚、香り、味を頼りに生み出す。フルーツの味を生かすために砂糖は使わず、甘味は栽培するアセロラチェリーで補糖。着色料・保存料も使わないため、赤色はビーツの色素で着色する。ナチュラルな製法から生まれる確かな味わいが、メコンデルタのサステナブルな農業を実現する何よりの鍵と言えるだろう。

(写真)フルーツは一つひとつ、手で収穫。プロジェクトでは野生マンゴーの植樹など特定品種の保存も行なっている。

(写真)フルーツは一つひとつ、手で収穫。プロジェクトでは野生マンゴーの植樹など特定品種の保存も行なっている。



◎Les Vergers du Mekong
https://vergersmekong.com

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