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JOURNAL / 世界の食トレンド

ベトナム南部の名陶ソンベ焼きに新風を吹き込む、エコなセラミック・ブランド

Vietnam [Hồ Chí Minh]

2024.02.13

text & photographs by Rie Suzuki
(写真)新旧ソンベ焼の良さを取り入れた窯元「トゥーフー・セラミックス」の器。手のひらサイズの器にストライプや水玉など現代的な柄を施したり、あえて絵付けをせず土の色を生かした器も制作している。

ベトナム南部伝統の陶器ソンベ焼きが、近年、注目を集めている。現代の食習慣や用途に合わせた形にモダンな絵柄を取り入れるなど、新しい取り組みが行われているのだ。

20世紀後半まで存在していたソンベ省は、かつてカンボジアとの国境近くに位置していたが、現在ではビンズオン省とビンフォック省に分かれている。ソンベ焼きはベトナム北部バッチャンの名陶と対をなし、温もりある柔らかな手触り、南部らしい自由な絵柄はクメール文化やフランス文化の影響を受けてきた。

「ソンベ焼きに現代人の好みに合うように命を吹き込みたい」と話すのは「トゥーフー・セラミックス(TUHÚ Ceramics)」オーナーのヒエン(Hien)さん。失われていく手仕事や、職人やアーティストを次世代に繋げたい、彼らの生活の質を向上させたいと、2017年に誕生した窯元だ。環境への負荷を最小限に抑えるために、材料や製造方法、エネルギーの使用量を慎重に選択し、設計、梱包、製造、廃棄に至るまで留意する。


(写真)オーナーのヒエンさん。ディレクターとしてブランドを指揮するだけでなく、職人として製作にも携わる。店名の“トゥーフー”とはカッコウの鳴き声で、ソンベ焼の文化を広めたいとの願いを込めた。

(写真)ソンベ焼きの地色を生かした食器。家庭で毎日ご飯を炊くベトナムでは、この形の大きなお櫃が食卓に置かれるが、同店では1人用サイズを製作している。ややピンクがかった柔らかな色調が特徴。器の縁や底を丁寧に磨いて滑らかにし、安全性にも配慮している。各139000ベトナムドン。

(写真)葉や生地を使うエコ・プリントのコレクションでは、人の手で絵付けをするのではなく、アザミの一種ビリーゴートウィードの葉やジュート(黄麻)に絵の具を染み込ませ、陶器に貼り付け、模様を転写する。プレート各119000ベトナムドン~(直径18cm~)。

トゥーフー・セラミックスが手掛けるソンベ焼きは、ホーチミンやハノイの人気レストランでも採用されている。店のコンセプトや料理を生かすため、シェフと相談を重ね、時間をかけて店オリジナルの器の製作を行う。今ではベトナム料理だけでなく、様々な料理に使用され、美しい調和を見せている。

「アジアの食文化にはいつも大鉢や大皿があって、皆で分かち合い楽しむ」と話すヒエンさんだが、温かな料理を個々にサーブできるよう、手のひらサイズの器も多く手掛ける他、コーヒーカップや平皿など、現代人の食生活に合った器の提案もしている。

(写真)伝統的な芍薬の花を描いたマグカップ。赤色、黄色、ピンク色、青色など色使いも多様。絵柄は一つひとつ手描きのため、それぞれ異なる味わいをもつ。各149000ベトナムドン。



◎TUHÚ Ceramics
Địa chỉ: hẻm 11, số 11/4A Nguyễn Ư Dĩ, phường Thảo Điền, quận 2, Tp. Thủ Đức, Tp. Hồ Chí Minh
☎+84-349-096-060
9:00~18:00
https://tuhuceramics.com

*1000ドン=6円(2024年2月時点)

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