プルーンがバターの代わりに!
ヘルシー“くだものスイーツ”を作って学ぶカリフォルニア プルーンの可能性
2016.11.18
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photographs by Hide Urabe
自然な甘味、栄養価の高さで人気のドライフルーツ、プルーン。実は、バターやマーガリンなど油脂の代わりになる機能があることをご存知ですか? そんな優れたフルーツ、カリフォルニア プルーンを使った、ヘルシー“くだものスイーツ”を作って学ぶMEETUPが10月17日に東京・代々木の服部栄養専門学校にて開かれました。その様子をレポートします。
この日はプロのパティシエ、料理研究家、お菓子作り愛好家など38人の方にご参加いただきました。1部は講師によるデモンストレーション、2部は参加者が実際に調理するという構成で行われました。
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熱心に耳を傾ける参加者の皆さん
プルーンを使ったヘルシースイーツのレシピを考案、作り方を教えていただくのは東京・西荻窪「エイミーズ・ベイクショップ」の吉野陽美さん。マフィンやカップケーキ、ブラウニー、パウンドケーキなど、今大人気のアメリカのホームメイドのスイーツを揃えるお店です。お菓子教室も開催する吉野さんの実演は、ポイントを押さえた説明でわかりやすいと評判です。お店でもカリフォルニア プルーンを使った焼き菓子を時々販売することもあり、よく売れるそうですよ。
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襟ぐりの開いた黒いTシャツが吉野さんの仕事着。シンプルでシックですね
美容と健康に効果絶大!
ヘルシーなフルーツ、カリフォルニア プルーン
今回のヘルシーくだものスイーツのテーマ食材、カリフォルニア プルーンは、フランスを原産地とするダジャン(d’Agen)種のプラム(西洋すもも)*を乾燥させたドライ・フルーツです。カリフォルニアの肥沃な大地、温暖な気候、高度な農業技術で作られ、天然の甘味をたっぷり含んだ栄養価の高い食材なのです。
*種のついたまま乾燥させても発酵しない糖度の高いプラムのみがプルーンとなる
<カリフォルニア プルーンのヘルシーポイント>
01 美容・健康効果……ビタミン、ミネラルなど栄養素がバランスよく含まれ、相互作用で美容・健康効果が期待できる
02 アンチエイジングに効く抗酸化パワー……老化の元凶、活性酸素を吸収する力がある
03 食物繊維パワー……水溶性、不溶性、2種類の食物繊維による腸の健康促進効果
04 骨の健康にも大活躍……毎日食べることで骨の健康状態改善に役立つ。乳製品と合わせると効果大
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世界のプルーン市場の40%、日本市場の97%を占めるカリフォルニア プルーン
パティシエが注目! バター代わりになる驚きの食材
さらに、カリフォルニア プルーンには驚きの機能があるのをご存知ですか? プルーンには保水性の高いソルビトール(糖質)とペクチン(食物繊維)が含まれており、ピューレ状にしてお菓子やパンに加えると、バターや油脂を加えたようにしっとり焼き上がるため、バターに代わる製菓材料としてプロも注目する食材なのです。
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カリフォルニア プルーンで作るヘルシーなくだものスイーツ
今回、吉野さんに考案していただいた、カリフォルニア プルーンを使ったヘルシーなスイーツレシピは2つ。「生地をしっとりさせるプルーン・ピューレの効果がわかりやすいスコーンと、プルーンのおいしさが引き立ち、楽しめるチョコレートケーキを考えました」と吉野さん。「生地に加えるバターとプルーン・ピューレの割合を変えて試作し、今回は半々で加えることにしました。求める焼き上がり、味わいによって、割合を変えてみてもおもしろいと思います」
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ヘルシー・プルーンスコーン
ざっくりしたスコーン生地にカリフォルニア プルーンの果実を混ぜ込んで。香ばしい全粒粉の風味にプルーンの凝縮された甘味、軽やかな酸味がマッチする。スコーン生地に加える油脂は、パターの半量をプルーンピューレに置き換えても、しっとり、ふっくら、外はクリスピーな食感はそのままに。
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ヘルシー・プルーンチョコレートケーキ
チョコレートとプルーンって相性いいんですね。カリフォルニアワインに漬け込んだカリフォルニア プルーンをたっぷり加えて。カリフォルニア産の食材同士が生む大人の味わい。生地に加えるバターの半量をプルーン・ピューレに置き換えても、ブラウニーのようなしっとり、ねっちり、半生の食感に。プルーン・ピューレのなせる技です。
アメリカンスイーツ作りのコツを教わる
今回のmeetupには『料理通信』読者の皆様から本当に多数の応募をいただきました(落選してしまった皆様、ごめんなさい)。ヘルシーなスイーツ作りへの関心の高さはもちろん、アメリカンスイーツ作りのコツ、吉野さんのテクニックを見たい、知りたい、教わりたいと応募なさった方も多かったようです。
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スコーン生地を作る時に加えるバターにカリフォルニア プルーンのピューレを混ぜこみ、生地全体にプルーンがまんべんなく行き渡るようにします。粉と合わせる時にバターをただ冷やすのではなく、一度完全に凍らせるのが吉野さんのテクニック。こうすると粉とバターがパラパラの状態に混ざり、ずっと冷たいので生地もダレず、さっくりと焼き上がるそうですよ。
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チョコレートケーキの生地に卵を加える時は、ひとつずつ。ハンドミキサーで撹拌し、しっかり乳化させてから、次の卵を加えるのがポイント。ハンドミキサーを頻繁に使うのもホームメイドのアメリカンスイーツならでは、ですね。短時間でパパッと作れて、後片付けも楽そう。効率良くスイーツが作れそうです。
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真剣にメモをとる参加者の皆さん。作り方の手順、ポイントを確認しています
さあ、実際に作ってみましょう!
実演を見た後は、いよいよ実習です。参加者が2人1組のペアになって、2種類のスイーツを作っていきます。焼き上がりを含め、制限時間は60分。初めて顔を合わせた同士ですが、わきあいあいの雰囲気で作っています。
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パティシエなどプロがたくさん参加してくださった今回のMEETUP。手早く、時間内に片付けまで完了。さすがです
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吉野さんが会場を回り、参加者にアドバイスします。疑問点を尋ね、熱心にメモをとる参加者も
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焼き上がったら撮影タイムです
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焼きたてのスコーンを試食します。参加者のみなさんに感想を聞いてみましょう。
「バター100%と較べて焼き上がりが軽いですね。ヘルシーなので朝食や小腹が空いた時のおやつにもよさそう。作る時にバターを冷凍することで生地が扱いやすくなった。こんなにおいしいなら、加えるプルーンの配合を変えて、いろいろ試してみたいですね」(パティシエ/猪俣しおりさん)
「ヘルシーなお菓子作りに興味があり参加しました。プルーンってチョコレートと合うんですね。知りませんでした。小麦粉を米粉に変えて、グルテンフリーで作ってみようと思いました」(会社員/高橋さん)
「プルーンがバターの代わりになるなんて知らなかった。勤務しているお店は女性のお客様が多いので、ヘルシーな食材としてプルーンを取り入れたいと思いました。デザートを一人で担当しているので、手早く作れておいしいアメリカンスイーツはメニューに加えていきたいですね」(パティシエ/柿沼優里さん)
吉野さんのデモンストレーション、実習と充実した時間はあっと言う間に過ぎていきました。カリフォルニアプルーン協会グローバル・コミュニケーション・ディレクターのデビー・ミッチェルさんは、「吉野さんが作ってくださったお菓子はどれもとてもおいしくて、プルーンのナチュラルな甘さ、おいしさが生かされたレシピだと思いました。プルーンを素材として使う取り組みは米国より日本のほうが進んでいますね。これからもカリフォルニア プルーンをいろんなお菓子に使って、その味わいをもっと楽しんでください」と締めくくりました。
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カリフォルニアプルーン協会グローバル・コミュニケーション・ディレクターのデビー・ミッチェルさん(左)。日本マーケティング事務所の本田紀子さん(右)は、カリフォルニアプルーンについて解説してくださいました。
美容・健康志向、食物アレルギーなど、生活者のニーズが多様化する中で、栄養価が高く、いろいろな機能があるカリフォルニアプルーンは、これからのお菓子づくりの可能性を広げる食材だとわかりました。皆様もぜひ、お試しください。
Recipes 1
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ヘルシー・プルーンスコーン
<材料>(7個分)
カリフォルニア プルーン(種抜き)……80g
バター……70g
カリフォルニア プルーンのピューレ……70g
<材料A>
全粒粉……200g
ベーキングパウダー……小さじ2
塩……ひとつまみ
卵……1個
グラニュー糖……30g
牛乳……75g
<作り方>
1)カリフォルニア プルーンは半分にカットする。
2)バターとカリフォルニア プルーンのピューレをゴムベラで混ぜる。薄くのばし、冷凍する。
3)材料A、2)を合わせ、フードプロセッサーで撹拌する。砂のようにサラサラな状態になったらボウルに移して冷凍庫で冷やしておく。
4)別のボウルに卵、グラニュー糖を入れ、ホイッパーですり混ぜる。牛乳を加え、ホイッパーで混ぜる。
5)3)に1)を入れてゴムベラで軽く合わせる。
6)4)を2回に分けて加え、ゴムベラで混ぜる。
7)手で生地を軽くまとめ、ラップに包み、冷蔵庫で30分間休ませる。
8)7)を取り出し、計量して7等分にし、丸く成形して天板に並べる。
POINT:成形までの全工程を通じて、生地を冷たい状態にキープする。
9)全粒粉(分量外)をふるい、180℃のオーブンで約20分間、こんがり色付くまで焼く。
10)オーブンから取り出す。好みでジャムやクロテッドクリームなどを添える。
Recipe 2
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ヘルシー・プルーンチョコレートケーキ
<材料>(20㎝×20㎝の型1台分)
カカオマス……120g
クーベルチュールチョコレート(60%)……48g
バター(常温に戻す)……56g
カリフォルニア プルーンのピューレ(常温に戻す)……56g
グラニュー糖……225g
卵……3個
<材料A>
薄力粉……100g
ベーキングパウダー……小さじ1/4
重曹……小さじ1/8
コーヒー粉末……3g
塩……ひとつまみ
牛乳(常温に戻す)……30g
カリフォルニア プルーンのワイン漬け*……100g
チョコレートチップ……50g
*プルーンの漬け方(作りやすい分量)
カリフォルニア プルーン(種抜き)200gは半分に切り、ボウルに入れる。赤ワイン80g、ラム酒20gを加えて冷蔵庫で2~3日間漬ける。
<作り方>
1)ボウルにカカオマスとクーベルチュールチョコレートを入れ、湯煎して溶かす。
2)別のボウルにバター、プルーンピューレを入れてハンドミキサーで混ぜる。グラニュー糖を2回に分けて加え、ハンドミキサーでその都度よく混ぜる。
POINT:バターとプルーンは常温に戻しておくと混ざりやすい。
3)卵を1個ずつ加え、ハンドミキサーでよく混ぜる。
POINT:分離しないように卵を1個ずつ加えてきちんと乳化させる。
4)1)を加えてハンドミキサーで混ぜる。
5)牛乳を入れてハンドミキサーでよく混ぜる。
6)材料Aを入れてゴムベラで軽く混ぜ、粉気が残っている状態で、カリフォルニア プルーンのワイン漬け、チョコレートチップを加え、ゴムベラでよく混ぜて艶を出す。
POINT:艶が出るまでよく混ぜることで、粉をつなぎ、しっとりした焼き上がりになる。
7)ベーキングシートを敷いた型に6)を流しいれ、パレットで表面を平らにならす。165℃のオーブンで22分間焼く。
POINT:完全に焼き切らず、半生の状態で。
8)オーブンから取り出し、冷ます。一日置いて馴染ませるとよい。
SHOP DATA
◎エイミーズ・ベイクショップ
東京都杉並区西荻北2-26-8 1F
☎ 03-5382-1193
11:00~19:00
月曜、火曜休(祝日の場合は営業)
JR西荻窪駅より徒歩4分
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[お問い合わせ]
◎カリフォルニア プルーン協会
☎ 03-3584-0866
http://www.prune.jp