「料理を前進させる」
川手寛康/Hiroyasu Kawate
フロリレージュ/Florilege
2014.10.01
1978年8月14日生 / 東京都出身 / AB型
高校卒業後、2000年「恵比寿QEDクラブ」「オオハラ エ シイアイイー」を経て、02年より西麻布「ル・ブルギニオン」にて菊地美升シェフに師事。04年よりスーシェフ。06年渡仏。モンペリエ「ジャルダン・デ・サンス」にて働き、07年帰国後、白金台「カンテサンス」にてスーシェフを務める。09年独立。
FAVORITE
音楽 : 特になし
本 : 貴志祐介『クリムゾンの迷宮』『黒い家』
映画 : 『踊る大捜査線』シリーズ
ピジョン・ラミエの揚げ焙り焼き
森鳩の肉をコンベクションオーブンで45℃まで温めてから、小麦粉をまぶし、200℃の油で揚げる。「煙が出る一歩寸前の高温で一気に揚げると、肉の余分な水分が出て、味が凝縮される。衣はマックスまでサクサクに」。従来のジビエとは別種のおいしさ。
ホワイトアスパラガスの塩釜焼き
皮付きのホワイトアスパラガスを、岩塩・氷砂糖・卵白で覆って、オーブン焼きに。自らの水分で蒸し焼きになるため、旨味とジュが全開、シュクレ・サレ(甘くてしょっぱい)な味わいも浸透。穂先は形のまま使い、根元はピュレに。イカ、ウニを添えて。
必要とされるためのキーワード
複合性を大切にする。
「素材の組み合わせ、積み重ねた味の厚み、ワインとのマリアージュ……僕にとってのフランス料理とは複合性」と川手寛康シェフ。
この考え方はレストランのありようでも変わらない。
「店は、僕だけの力でつくられるものではありません。僕の料理をサーブし、説明するスタッフがいて、さらにソムリエがワインを合わせて、その都度、お客様の楽しみは膨らんでいく。そこにレストランの醍醐味がある」
顔の見える食材を使うのも同じ理由だ。「たとえば、長野県の藤井農園。うちとほぼ同じキャリアなのですが、めきめきおいしくなっている」。交流の深い生産者の野菜やワインを使うことで、シェフと生産者、両方の思いやエピソードが料理を彩り、レストラン空間はいっそう奥行きと厚みを増す。
「あの人の食材で、あの人に食べさせたいなって、顔を思い浮かべて調理する、それが僕の仕事の原動力。だから、このくらい小さい店がちょうどいい。グランメゾンじゃだめなんです(笑)」
◎フロリレージュ
東京都渋谷区神宮前2-5-4 SEIZAN外苑B1
03-6440-0878
12:00〜13:30 LO 18:30〜21:00 LO
定休日 水曜休
カード 可
座席 全20席(うち個室6席)
タバコ 禁煙
東京メトロ外苑前駅より徒歩7分
http://www.aoyama-florilege.jp
昼、夜ともおまかせコースのみ 昼4500円 夜10500円(税・サ別)
【WINE】 グラス白赤各3種1296円~、ボトル5400円~
(『料理通信』2012年5月号取材時点)
「2009年09月NEW OPEN」 掲載
「2009年10月食のプロを刺激する「魚使い」のワザ」 掲載
「2010年01月注目のニューオープンにグラスワインコースを作ってもらいました」 掲載
「2010年02月人気レストランで教わるシンプルスイーツ」 掲載
「2010年04月レストランの器、和食店の器」 掲載
「2010年08月焼肉会のみなさんに肉アンケート」 掲載
「2011年03月食のプロを刺激する店」 掲載
「2011年11月ヴィンテージ、こんな風に愉しんでいます!」 掲載
「2012年01月シェフを虜にする”日本の貴腐ワイン”」 掲載
「2012年05月100人のシェフが考える「必要とされる店」になるために」 掲載
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