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PEOPLE / シェフ名鑑(アーカイブ)

「地域を活性化する」

ヴィラ アイーダ 小林 寛司 Kanji Kobayashi

Oct 01, 2014

text by Naoko Ikawa / photographs by Tsunenori Yamashita

1973年1月26日生 / 和歌山県出身 / B型
調理師学校卒業後、大阪「アルバ」に2年勤め、94年に渡伊。ヴェネト州、ロンバルディア州で1年3カ月、トスカーナ州フィレンツェ郊外の「ラ・テンダロッサ」(1年)、「デルフィーナ」(3カ月)を経て、96年からカンパーニャ州ソレントの三ツ星(当時)「ドン・アルフォンソ1890」(1年1カ月)でパスタ部門のシェフを務める。98年帰国、同年12月「アイーダ」オープン。07年、敷地内に自宅を増築し、1室のみの宿泊スペースを併設。「ヴィラ アイーダ」としてスタート。

FAVORITE
音楽 : Superfly
本 : 『フミコのやわらかな指』(狐野扶実子著)
映画 : 『人生は奇跡の詩』(ロベルト・ベニーニ監督)

根菜のソットアチェート レモンのザバイオーネとヴィネグレット

10500円のコースの一品

黒大根、フェンネルの株など8種類を、根菜自体の水分とバターのみで蒸し煮し、仕上げに塩と白バルサミコ酢。生とも加熱ともつかない繊細な火入れを、卵黄・レモン汁・バター・ローズマリー・レモンの皮を泡立てたソースで楽しむ。


ほうれん草とリコッタチーズのラビオリ

10500円のコースの一品

ほうれん草は茹でるとえぐみが出るため、洗って水滴がついた状態からフライパンで水分を飛ばす。牛乳とレモンのリコッタとラビオリに詰め、ハーブバターソースで。カリカリに焼いたニンジンの葉とマルバの香りがアクセント。

必要とされるためのキーワード
発信力をもつ。

地方イタリアンの時代は終わった――98年、和歌山に店を構え、時代を引っ張ってきた小林寛司シェフの言葉である。「地方で野菜を作っていれば注目される時代は終わった、という意味。残っていけるのは、発信力のある人だと思う」 たとえば単に「地元の野菜を使います」でなく、一歩進んで、畑から味を作ること。小林シェフは、自家畑でのトライはもちろん、プロの農家とタッグを組んで「葉の芯をソテーにするから株を太く」「もっとアクを強く、酸っぱく」と要求する。すると育て方も収穫時期も、いや、種を蒔く時期から照準を合わせることができて、皿の精度が格段に高まる。

山も海もある和歌山は、野菜だけでなく果樹や肉・魚でもそれができる。14年前、孤軍奮闘していた小林シェフは、“点でなく繋がり”で戦えるようになった。生産者、料理人、中間業者が交流を持ち、お互いの仕事を知ることで同じ方向を向く。それが発信力のバネになる。「都会では絶対に真似できないことを考えます。それは料理だけでなく、人との関係でも、建物や雰囲気にしても」

東京や大阪と同じことをしても仕方がない。だから、あえて年に1〜2回は上京して食べ歩き、都会の方向を確認する。「東京はそっちなんや。じゃあそれは東京に任せて、僕はこっちという感じ」

今、見据えているのはオーベルジュ。小高い丘の上に6室程度の部屋と畑をもち、料理、ワインセラー、畑、庭などそれぞれに担当がいる。「誰もやっていないことをやりたくなる性格」だから、心はもう走り出しているに違いない。



◎ヴィラ アイーダ
和歌山県岩出市川尻71-5
0736-63-2227
11:30〜13:30 LO 18:00〜21:00 LO
月曜休(祝日の場合は翌日休)、月1回火曜不定休
カード 可
座席 全19席
タバコ 禁煙
アクセス JR岩出駅より車で約10分
http://villa-aida.jp/

昼、夜ともおまかせコースのみ 昼4320円 夜7560円、10800円 (税込・サ別)
【WINE】 グラス白赤各1種 864円~、ボトル5400円~
<宿泊>1室2名、朝食付き1名17850円~

(『料理通信』2012年5月号取材時点)

「2007年11月今直行すべき地方イタリアン3軒」 掲載
「2012年04月食の文化遺産巡り 【和歌山】」 掲載
「2012年05月100人のシェフが考える「必要とされる店」になるために」 掲載
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