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PEOPLE / シェフ名鑑(アーカイブ)

「家食から外食までを担う」

荻野伸也 /Shinya Ogino  

オギノ/Ogino

2015.05.25

荻野伸也シェフ
text by Rieko Seto / photographs by Yuji Kanno

1978年11月28日生 / 愛知県出身 / B型
大阪の調理師専門学校から同フランス校へ進学。99年、地元のフランス料理店「サクラ」へ就職。00年、東京・日比谷「プロムナード」(1年)に勤めた後、代々木「レストラン キノシタ」へ。02年より2年半スーシェフを務める。05年、目黒「キャスクルート」のシェフに就任。07年独立。09年移転オープンし、オンライン販売開始。11年、札幌「ヴィヴルアンサンブル」をプロデュース、12年2月代官山に「ターブル・オギノ」オープン。

FAVORITE
音楽 : 桑田佳祐
本 : 山崎豊子
映画 : クリント・イーストウッド監督の映画

MY LEGEND
木村秋則
「株式会社木村興農社」代表取締役。1949年、青森県弘前市生まれ。71年から家業のリンゴ栽培を中心に農業に従事。無農薬・無肥料栽培を10年以上模索し、成功。国内外で農業指導や講演会も行う。『奇跡のリンゴ』(石川拓治著/幻冬舎)。


お好きなだけパテ・ド・カンパーニュ

お好きなだけパテ・ド・カンパーニュ

1000円(アラカルト)またはコースの前菜として

レバーの風味を和らげるため鶏レバーを使用し、豚肉、背脂を赤ワインとスパイスに一晩漬け込んでミンチに。香味野菜と卵を加えて粘りが出るまで混ぜ、底の広いテリーヌ型で湯煎しながら低温のオーブンへ。しっとり柔らかな質感に。

バイエルディ

バイエルディ

約1時間半ソテーして甘味を引き出したタマネギをグラタン皿の底に敷き、薄切りにしたトマト、ズッキーニ、ナスを並べる。その上にニンニク、タイム、オリーブ油、塩をたっぷりかけ、220℃のオーブンで約20分焼いて旨味を野菜に閉じ込める。南仏の伝統料理。


必要とされるためのキーワード
店はほどよく「いい加減」に。

必要とされるためのキーワード 店はほどよく「いい加減」に。

料理人は、Tシャツ&Gパン姿。が、料理の質に抜かりはなく、ジビエやビュルゴー鴨も出せば高級ワインも供する。「見てくれより本質で勝負です。それ以外の面倒くさいことはどうでもいい」と、荻野伸也シェフ。店にほどよい「いい加減さ」があれば、お客もリラックスできる。調度品や慇懃なサービスにお金をかけない分、料理を安く提供でき、お客に喜ばれる。それが、「レストラン オギノ」を瞬く間に人気店に押し上げた所以だ。

「気軽な店作り」でフレンチの裾野を広げた荻野シェフが自問してきたのが、「働く意味」だ。「お坊さんだった祖父はよく、『人を楽にする働き方』を問うていました。ある時、北海道で大量の規格外野菜や害獣として撃たれた鹿が廃棄されていることを知り、気づいたんです。それを加工して付加価値をつけ、生産者を応援するのが料理人である僕の使命だと」。

持ち込まれた野菜は北海道の工場でまとめてピュレやソテーにし、東京に空輸して使用。11年には札幌に惣菜店「ヴィヴルアンサンブル」、今年2月には代官山にデリ&カフェ「ターブル・オギノ」も開いた。いずれも主役は、「形は悪くても味はいい」余剰食材。後者はカレーやパテ、コロッケなど手間をかけたスローフードをセルフサービスで、ファストフードのように味わえる。「フランス料理を文化として大衆化させたい」という彼の願いが、さらに一歩進んだ形として実を結んだ。「惣菜作りって楽しい! それがお客さんに喜ばれて、世の中にも貢献できたらいいですよね」と笑う、荻野シェフ。どこまでもエネルギッシュだ。



◎オギノ
東京都世田谷区池尻2-20-9
03-5481-1333
11:30〜13:30 LO(土曜、日曜、祝日のみ、5月まで休) 
17:30〜22:30 LO(日曜、祝日は〜21:30 LO)
定休日 月曜休

カード 可
座席 全35席(うちカウンター7席、半個室12席)
タバコ 禁煙

東急田園都市線池尻大橋駅より徒歩5分
http://french-ogino.com

昼2990円、4490円、夜4990円、6990円、アラカルトあり(税込・サ別)
WINE グラス 白赤各5種 780円~、ボトル 4380円~

(『料理通信』2012年5月号 / 2015年6月号取材時点)

「2009年06月満席の店をつくった若手料理人10人の仕事術」 掲載
「2010年08月もっと日常にテーブルウォーターを。」 掲載
「2011年07月レストランのテイクアウト・シャルキュトリー、食のプロを刺激する店」 掲載
「2011年12月パテ・テリーヌ&キッシュ図鑑 【パテ・テリーヌ】編」 掲載
「2012年05月100人のシェフが考える「必要とされる店」になるために」 掲載
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