三水亜矢さん(さみず・あや)産直コーディネーター
第1話「職業は、産直コーディネーター」(全5話)
2016.08.01
農家と使い手をつなぐ
「この世に生まれてきたからには“使命”があると思うのです。
“自分の使命は何か?”を、ずっと探していた気がします」
その答えを、「旬の農産物を、産地から届ける」ことに見出した方がいます。
三水亜矢さん。職業は“産直コーディネーター”。
扱うのは、イチゴやリンゴ、マンゴーといった国産の果物。果物の生産者と、パティシエや料理人などプロの使い手を結ぶのが主な仕事です。
契約している生産者は、北海道から沖縄まで70〜80軒。使い手となる顧客は常時100軒を超えます。個人への宅配はしておらず、業務用に限定しています。
「果物屋」と異なるのは、流通経路。
まず、生産者の果実の出荷状況を確認してリスト
“自分の使命は何か?”を、ずっと探していた気がします」
その答えを、「旬の農産物を、産地から届ける」ことに見出した方がいます。
三水亜矢さん。職業は“産直コーディネーター”。
扱うのは、イチゴやリンゴ、マンゴーといった国産の果物。果物の生産者と、パティシエや料理人などプロの使い手を結ぶのが主な仕事です。
契約している生産者は、北海道から沖縄まで70〜80軒。使い手となる顧客は常時100軒を超えます。個人への宅配はしておらず、業務用に限定しています。
「果物屋」と異なるのは、流通経路。
まず、生産者の果実の出荷状況を確認してリスト
化、顧客(パティスリー、レストラン)はリストを見て、三水さんに発注します。三水さんは生産者へ顧客情報を送り、生産者から直接、顧客へと届けられます。情報は三水さんを介し、商品は三水さんを介さずに届くので、流通のコストと日数を最小限に抑えられます。
パティシエから「こんなフルーツが欲しい」と相談があれば探し出し、新種の果物があれば使い方を含めて提案もします。
パティスリーが産直果物を扱うメリットは、
・生産者の顔が見える
・高品質の果物で他店との差別化ができる
・低コストで入手できる
一方で、こんなデメリットもあります。
・供給が不安定
・他の生産者情報を常に自分で探さないとならない
・新品種や注目生産地などのトレンドが分からない
三水さんというコーディネーターが介在することで、産直のメリットはそのままに、デメリットを解決できるというわけです。
自分の使命は何か?
なぜ、産直のビジネスだったのでしょう?
「自分の住む長野県に、素晴らしい食材が眠っている。これらをぜひ、パティシエやシェフに使ってもらいたい、と思ったのです」
三水さんの両親は山口県で農業をしています。大学を卒業して10年は、まさか自分が“農”に携わるとは思っておらず、野菜も果物もスーパーで購入していました。子どもの頃の記憶に比べて、「味がないなぁ」と思いながらも。
あるとき訪れた、できるだけ農薬を使わず、栽培に情熱を持つ生産者との出会い。畑で食べた果物の味は、「子どもの頃に食べていた、あの味」を鮮烈に思い出させ、生産者の人柄は、「この人たちを応援したい」という気持ちをかき立てました。
自分の使命は何か――?
ずっと持ち続けてきた問いに、ある人たちの顔が浮かびます。果物本来のおいしさを引き出そうと懸命に努力する人たち。食のプロ、とりわけ、パティシエたち。
旬の農産物を、完熟の状態で、プロに届けたらどうか?
ここに自分が関わることで、生産者と使い手の役に立てるのではないか?
情熱が、強い原動力になりました。
「自分の住む長野県に、素晴らしい食材が眠っている。これらをぜひ、パティシエやシェフに使ってもらいたい、と思ったのです」
三水さんの両親は山口県で農業をしています。大学を卒業して10年は、まさか自分が“農”に携わるとは思っておらず、野菜も果物もスーパーで購入していました。子どもの頃の記憶に比べて、「味がないなぁ」と思いながらも。
あるとき訪れた、できるだけ農薬を使わず、栽培に情熱を持つ生産者との出会い。畑で食べた果物の味は、「子どもの頃に食べていた、あの味」を鮮烈に思い出させ、生産者の人柄は、「この人たちを応援したい」という気持ちをかき立てました。
自分の使命は何か――?
ずっと持ち続けてきた問いに、ある人たちの顔が浮かびます。果物本来のおいしさを引き出そうと懸命に努力する人たち。食のプロ、とりわけ、パティシエたち。
旬の農産物を、完熟の状態で、プロに届けたらどうか?
ここに自分が関わることで、生産者と使い手の役に立てるのではないか?
情熱が、強い原動力になりました。
数十通のダイレクトメール。
実は三水さん、製菓材料メーカーに勤めたことがありました。産直をするなら顧客は東京のパティスリーだと思ったものの、メーカー時代は都内への営業していなかったので、どこに当たったらいいかまるで見当がつかない。そこで、1冊のスイーツ本を買いました。「その本に載っているティスリーに片っ端からダイレクトメールを送ろう」と思いついて。
「ほとんど何も決まっていない状態での、見切り発車のようなスタートでした。DMには『怪しい者ではございません』と、自分の経歴を付けたんです。今考えると、十分怪しいですね(笑)」
手紙にしたためたのは商品説明でなく、事業を始めるにあたっての自分の思い。畑でかじった果物の、新鮮で完熟したおいしさ。「畑で熟した“本当の味”をプロの方に知ってもらいたい」という思いでした。
「こんな産直の果物にご興味はありますか。どのような果物をご希望でしょうか?」
こう記したアンケート返信用の葉書は、驚くことに20件以上も戻ってきたのです。返事をしてくれた人は「オーボンヴュータン」河田勝彦シェフ、「キハチ」熊谷喜八シェフなど、錚々たる顔ぶれでした。
「ほとんど何も決まっていない状態での、見切り発車のようなスタートでした。DMには『怪しい者ではございません』と、自分の経歴を付けたんです。今考えると、十分怪しいですね(笑)」
手紙にしたためたのは商品説明でなく、事業を始めるにあたっての自分の思い。畑でかじった果物の、新鮮で完熟したおいしさ。「畑で熟した“本当の味”をプロの方に知ってもらいたい」という思いでした。
「こんな産直の果物にご興味はありますか。どのような果物をご希望でしょうか?」
こう記したアンケート返信用の葉書は、驚くことに20件以上も戻ってきたのです。返事をしてくれた人は「オーボンヴュータン」河田勝彦シェフ、「キハチ」熊谷喜八シェフなど、錚々たる顔ぶれでした。
三水さんの産直ビジネスは、こんな風に始まりました。