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PEOPLE / 食の世界のスペシャリスト

生涯現役シリーズ #15

87歳。焼鳥屋の取締役会長。「ホッピーのおかげで、今がある」

東京・恵比寿「たつや」佐藤正光

2022.04.14

生涯現役シリーズ #15 87歳。「ホッピーのおかげで、今がある」 東京・恵比寿「たつや」佐藤正光

text by Kasumi Matsuoka / photographs by Masashi Mitsui

連載:生涯現役シリーズ

世間では定年と言われる年齢をゆうに過ぎても元気に仕事を続けている食のプロたちを、全国に追うシリーズ「生涯現役」。超高齢社会を豊かに生きるためのヒントを探ります。


佐藤正光(さとう・まさみつ)
御歳87歳 1930年(昭和5 年)12月5日生まれ
「たつや」

大阪生まれ。6人兄弟の長男。大阪で働いた後、28歳で上京。タクシー運転手やボウリング場支配人を務めた後、1976年、「たつや」をオープン。現在、恵比寿本店(1F店、地下店)と恵比寿南店の2店舗を展開。99年、社長を引退し、取締役会長に。常連を交えたイベント(釣り大会など)を企画し出かけるのが人生の楽しみ。社員旅行(年1回)の今年の行き先は、福島県のスパリゾートハワイアンズ。

(写真)ホッピーを片手に店のカウンターに座る佐藤正光さん。飲みながらも客の動きには瞬時に察知し、知り合いが入って来たら必ず声をかけ、隣り合った客には「ホッピー飲んでますか?」の一声も欠かさない。


楽しいかって? そりゃもう、最高ですよ(笑)

僕の人生に、ホッピーは欠かせない存在だね。自他ともに認める、筋金入りのホッピーファンだよ。安いし、スッキリしていて胃に重くない。ホッピーのおかげで、今がある。

僕ね、東京に出てきてから運が向いてきたの。元々は地元の大阪で職を転々としながら働いてたんだけれど、ある時「東京に出ないとダメだ!」と思い立って、上京したのが28歳の時。

店を始める直前は、目黒にあったボウリング場の支配人をやってました。しばらくして、ボウリングが下火になって、店を閉めることになった。当時、僕の下に副支配人が3人いてね。「せっかくだから、退職金を使って4人で何かやろう」って話になったわけ。

それでピンときたのが、焼き鳥屋。僕は、中目黒の焼き鳥屋に毎日通って、ホッピーと一緒に一杯やるのが至福の時間だったの。だから、そこの主人に頼み込んで、作り方を教わったんです。その後、恵比寿に店を開いたのが43年前になるね。ボウリング場の頃からの付き合いもあって、オープン以来、おかげさまで客の入りに困ったことがない。本当にありがたいことです。

(1992年に発売された)「黒ホッピー」発祥の店ということもあって、うちに来るお客のほとんどは、ホッピーを頼むよ。昔、焼酎とホッピーを混ぜる一般的な飲み方じゃなくて、黒ビールで割って出してた時期があったの。これが旨いんだよ。結局採算が取れずに出すのをやめちゃったんだけど、ファンも多い飲み方でね。そんな時、うちにホッピーのメーカーの人も来てくれてたこともあって、濃色麦芽を使った商品の開発に繋がったってわけ。

ホッピーの旨さは、冷えが肝心。ホッピーと合わせて、グラスも焼酎も冷えてないとおいしくない。だから全部、キンキンに冷やしてスタンバイ。うちでは1日2000本、34ケース分が毎日安定して出る。おかげでオープンから43年間、黒字続きです。

社長を退いて9年。今は、取締役会長ってことになってるけど、まあ、店の広報兼交際係ってとこかな。週に3日、店に来て、常連さんと一緒に飲みます。自宅がある朝霞から、片道1時間、電車に乗って店に行くんだけど、それが楽しみでね。僕がいる時に合わせてくれる常連さんも多いから、ありがたいよね。だいたい正午から1〜2時間飲んでから、常連たちと連れ立って、麻雀へ行くのが定番コース。え? 楽しいかって? そりゃもう、最高ですよ(笑)。でもこうやって楽しい人生送れているのは、支えてくれてる奥さんのおかげなんだよねえ。

1日の流れは、だいたい決まってるよ。朝は4時頃目が覚めて、テレビで時代劇を観てから、8時半頃に朝食。朝はおかゆかパンが多いかな。昼食は、週3日は店で焼き鳥とホッピー。夜は刺身やら肉やら、いろいろ食べてるよ。特に好きなのは、オニカサゴの刺身。釣りが大好きだから、自分で釣った魚を食べることもあるよ。そして絶対に欠かさないのが、ホッピー。毎夜、ジョッキ2杯を飲みます。これがないと、1日が終わらないんだよねえ。

こうやって今も元気なのは、ホッピーのおかげなんだよ。そろそろもう一杯飲もうかね。ホッピー外、お代わり!

黒ホッピー(480円)と焼鳥。焼鳥は全21種類で、各2本から注文可。モツは芝浦から仕入れた新鮮なものを使用している。佐藤さんは、店で3杯、家で2杯飲むのが定番。

黒ホッピー(480円)と焼鳥。焼鳥は全21種類で、各2本から注文可。モツは芝浦から仕入れた新鮮なものを使用している。佐藤さんは、店で3杯、家で2杯飲むのが定番。



毎日続けているもの「ホッピー」

◎たつや
東京都渋谷区恵比寿南1-8-1 STM恵比寿ビル
☎03-3710-7375
月~金曜8:00 ~23:00(22:00LO) 日曜、祝日8:00 ~ 22:00(21:00LO)
年末年始休
JR恵比寿駅より徒歩2分

※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2018年12月号掲載)
※年齢等は取材時・掲載時点のものです

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