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RECIPE

いつものサバをワインに合うスパイシーなつまみに「サバのタンドール」

ブルーフード・レシピ

2023.06.08

photographs by Hide Urabe

連載:ブルーフード・レシピ

海に囲まれ、豊かな漁場を有する日本には魚食文化が根付いています。魚を食べるなかで培われ、受け継がれてきた知恵や知識を継承し、上手に食べることは、多様性豊かな海の保全につながります。日本周辺でとれる水産物(ブルーフード*)の魅力を再発見するレシピを人気店のシェフに教わります。味噌煮や〆サバだけじゃない、いつものサバがスパイシーなタパスに変身するレシピを紹介します。

*ブルーフードとは、淡水・海洋環境に由来する植物、動物、藻類など水生生物性食品のこと。食料危機や気候変動などの課題に対応し、健康的で持続可能な食料システム構築への貢献が期待されている。
**日本の漁獲量ランキング(農林水産省:令和3年漁業・養殖業生産統計)
1位マイワシ(21.1%)、2位サバ類(13.7%)、3位ホタテガイ(殻付き)(11.0%)、4位カツオ(7.6%)、5位スケトウダラ(5.4%)、6位カタクチイワシ(3.7%)、7位ブリ類(2.9%)、8位マアジ(2.8%)、9位マダラ(1.8%)、10位サケ類(1.8%)。

教えてくれたシェフ
東京・神田「関山米穀店」関山真平さん

ワインとタパスの店「関山米穀店」店主。茨城県出身。都内のスペイン料理店、銀座「ポン・デュ・ガール」などを経て2015年独立。スペインタパスに和の要素を加え、親しみやすいメニュー構成。小ポーションで常時約25種のメニューを展開する。店名は茨城の実家で祖父の代から営んでいた米穀店の屋号。


タンドリーをタパス流に

約25品揃えるつまみのうち、魚料理は3〜4品。普段店は1人で回すので、なるべく仕込んでおける料理を考えます。

「さばのタンドール」を考案したのは、滋賀「ヒトミワイナリー」の「キレデラ」というワインとの出会いがきっかけです。ほんのり甘く、にごりタイプの微発泡ワインにスパイスが効いた乳酸系のつまみを合わせたくなりました。

レシピはシンプル、家庭でも簡単です。コツは「余分な水分を抜く」こと。漬けだれに使うヨーグルトは最低1時間水切りし、魚は事前に塩をして、余分な水分と臭みを抜く。あとはヨーグルトにスパイスを練り込み、サバを6時間漬けて220℃のオーブンで10分焼くだけ。漬け込んだサバは3日間冷蔵保存できます。

漬けだれに使うカレー粉は市販のものでOK。パプリカパウダーを加えるのが僕流。独特の甘さと香ばしさが加わります。ケチャップは、ガラムマサラやショウガなど、スパイスの味をまとめてくれます。

すんなりできたレシピなので、お客さんの反応を見ながら調整するつもりでしたが、意外と評判は上々(笑)。知人のカレー店主にもスパイスの調合を聞かれました。「焦げ目の付いた漬けだれだけ、もっと食べたい!」なんて人も。実は先日、漬け込み時間を1時間と短くしてみたのですが、意外といい。長時間漬けるとサバはやわらかく、香りも穏やかな丸みのある味になりますが、短時間だとサバの味と尖ったスパイスの味がそれぞれ立ち、また別の味わいになりますよ。

「サバのタンドール」材料と作り方

[材料](6人分)
サバ・・・2 尾
ヨーグルト・・・2パック(450g 入り)
<材料A>
ケチャップ・・・80g
カレー粉・・・8g
ガラムマサラ・・・10g
ショウガ(すりおろす)・・・20g
パプリカパウダー・・・4g
黒コショウ・・・1g

<材料のポイント>

スペイン産のパプリカパウダー
スモーキーで独特の香ばしさと甘さがある、スペイン産のパプリカパウダー。スペインではタコなど魚介の煮込み料理に多用する。タンドールの漬けだれに加えるだけで、スペイン風のアレンジにできる、この料理の主役級の名脇役。

[作り方]
[1] ヨーグルトの水切りをする

ザルにキッチンペーパーを敷き、ヨーグルトを入れて1時間水気を切る。1パックで約250g 分取れる。

[2] サバをさばく

サバの頭を落とし、腹を開いて内臓を出す。血合いを除き、流水で血をきれいに洗い流す。

[3] 三枚におろす

背びれから刃を入れ、頭から尾へと上半分を切り、包丁を返し、尾から頭へと身をはぐ。小骨を抜く。

[4] 塩で〆る


強めに塩をして、ラップをして冷蔵庫で30分寝かせる。
POINT:塩を多めにふり、魚の臭みと余分な水分を抜く。フィレ1枚に10gが目安。

[5] 流水で洗う

流水で洗い、キッチンペーパーで水気を拭く。
POINT:漬けだれをよく染み込ませるため、水分は丁寧に拭う。

[6] ヨーグルトに調味料を混ぜる

ボウルに水切りしたヨーグルト500g と材料A を加え、ゴムベラでムラなく混ぜる。

[7] サバを漬け込む

サバを食べやすい大きさに切り、6に加え、漬けだれを絡める。そのままラップをして冷蔵庫で6時間漬け込む。

[8] 220℃で10分焼く

漬けだれを絡めたまま、耐熱皿に並べ、220℃で10分焼く。中心部に金串を刺し、熱くなっていたらOK。
POINT:グリルではなく、オーブンで水分を飛ばし過ぎずにしっとり焼き上げる。

[9] 焼き目をつける

バーナーで炙り、表面に焼き目をつける。皿に盛り、香菜、ナッツ(共に分量外)を散らす。

ヨーグルトの酸と、低温の火入れでサバはしっとりやわらかく、丸みのあるスパイスの味わいが、食べるごとに後を引く。ワインはシュナン・ブランなど、少し甘味があり、乳酸の雰囲気のあるものが好相性。



◎関山米穀店
東京都千代田区神田小川町3-9
☎03-5244-5446
16:00~23:00
日曜休
東京メトロ都営地下鉄
神保町駅より徒歩3分
Instagram:@sekiyama_beikokuten

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2016年7月号掲載)

海洋資源を保護し、持続的に利用する
今日からできる気候変動へのアクション

国連広報センターが「SDGメディア・コンパクト」に加盟する日本のメディア有志とともに、気候変動対策のアクションを呼び掛けるキャンペーン「1.5℃の約束 – いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」を実施しています。料理通信はこのキャンペーンに参加し、食にかかわる気候変動への取り組みを国内外から紹介しています。

海洋生態系による「ブルーカーボン」が温室効果ガス排出対策として期待されています。海の資源を守り、大切に使うことは気候変動対策につながることから、6月は、海洋保全について考え、アクションを起こすきっかけになる記事をお届けします。

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「ActNow」は、個人レベルでの気候アクションをグローバルに呼びかける国連のキャンペーン。どんなことが気候変動の抑制に役立つのか、身近な行動を10項目挙げています。「環境に配慮した製品を選ぶ」では地産地消が、「廃棄食品を減らす」では食品を廃棄せず使い切ることが気候変動の防止に役立つとされています。

環境に配慮した製品を選ぶ
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廃棄食品を減らす
食料を廃棄すると、食料の生産、加工、梱包、輸送のために使った資源やエネルギーも無駄になります。また、埋め立て地で食品が腐敗すると、強力な温室効果ガスの一種であるメタンガスが発生します。購入した食品は使い切り、食べ残しはすべて堆肥にしましょう。

(国連・ActNowキャンペーン:気候変動の抑制に対して個人でできる『10の行動』より)
イラスト:Niccolo Canova

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